ザスパクサツ群馬J3降格の真相:パワハラ疑惑からサポーター騒動まで徹底解剖
- 2024-12-30
ザスパクサツ群馬J3降格の衝撃:2024シーズンの苦闘とその後
2024年シーズン、J1の試合やJ2昇格プレーオフを残すのみとなった今シーズン。しかし、多くのJリーグファンを驚かせた出来事がありました。それは、ザスパクサツ群馬のJ3降格です。長年J2で奮闘を続けてきたザスパクサツ群馬が、なぜJ3に降格してしまったのか?その理由を様々な観点から徹底的に分析していきます。
2023シーズンの躍進と影:大槻監督の功績と問題の兆候
2023年シーズン、ザスパクサツ群馬は苦しい時期を乗り越え、希望に満ち溢れていました。現在のクラブ名で活動するチームは2005年に「ザスパクサツ」というクラブ名でJ2に参入。その後、J1昇格のチャンスはなかなか訪れませんでしたが、着実に成長を続けていました。しかし、2017年にはクラブ史上初となるJ3降格を経験。それでも2019年にJ3で2位となり、J2の舞台に復帰を果たしました。
2020年から2022年にかけての3シーズンは、毎年ギリギリでJ2残留という厳しい戦いを強いられてきました。クラブが不安定になるような大きなきっかけは見当たりませんでしたが、その流れが変わったのが2023年でした。
2022年からクラブの指揮を執っていた大槻毅監督の下、シーズン途中には11連勝無敗などの記録を樹立。プレーオフ圏内には一時的に到達したものの、最終的に順位を上げ、前年の20位から11位にジャンプアップするという近年では見られなかった躍進を遂げました。
大槻監督はシーズン終了後のインタビューで、チームの戦術について以下のように語っていました。
ボールを持ってなくても攻撃できる。守備でボールにアタックすれば攻撃になる。それはエリアによるけど。だから僕はボールを持ってなくても攻撃ができる、という言い方をする。それはもちろん、うまく行けばの話だけど。
この発言からも、大槻監督が独自の戦術にこだわり、選手たちにそれを理解させることに力を入れていたことが伺えます。しかし、同時に彼は短い時間、短い文章で本質的なことを選手に理解させることの難しさも痛感していました。
短い時間、短いセンテンスで本質的なことを選手に理解させることは簡単ではない。何か秘策を持っていますか?
この問いに対して、大槻監督は次のように答えています。
何だろう、でもその一回一回で伝えるだけじゃなくて、一週間の準備の中でキーワードだったり見なきゃいけないところを伝えられるから、選手もそういうのを気にしながらプレーしてくれていて。その準備が実際の試合で違っていた時には「これ違うな」って。うちの選手はそういうところがすごく柔軟性があるから、違った時にも「なんだ違うじゃん」というよりは「じゃあどうするのか」という雰囲気を出してくれる。そういうのはありがたいですよね。
選手たちの高い柔軟性と自主性を評価しつつ、チームを率いていた大槻監督でしたが、その一方で、影の部分も存在していました。
パワハラ疑惑の衝撃:表と裏の顔
2024年シーズンも大槻監督の続投が決まり、クラブ史上初のJ1昇格への期待が高まっていました。大槻監督自身も新体制発表会で、日々のトレーニングの積み重ねが個人の成長、ひいてはチームの成長につながると語り、J1昇格への強い意欲を見せていました。しかし、2024年のザスパは波乱万丈のシーズンを送ることになります。
開幕戦直後の2月29日、週刊誌で大槻監督のパワハラ疑惑が報じられました。記事によると、チームスタッフとして働いていた男性A氏が、大槻監督からのパワハラ被害を訴えたとのことです。
A氏は、週刊誌の取材に対し、以下のように証言しました。
外ヅラはいいので、サポーターやスポンサーからはすごく評判のいい監督でした。でもチームスタッフに対して当たりがキツく、常に文句を言っているような人なんです。先日暴言を吐かれた中で嫌気が差しい、チームを辞める決意をしました。
外に示す顔と、スタッフへの接し方の違いを指摘し、日常的にパワハラに当たるような言動を繰り返していたことを明らかにしました。さらに、A氏は次のように続けました。
私は2022年から2年間に渡り、ザスパでマネージャーとして働いていました。その間、大槻監督からは「1年目の文才でよく俺と対等に話せるな」など、毎日のように暴言を吐かれ続けました。「スタッフは奴隷契約だから」とも言われました。実際1年目は朝6時半から夜の9時頃まで働く生活。そんな中で奴隷契約と言われた時はぞっとしましたね。まるでブラック企業で働いているかのような扱いを受けていました。昨年夏、練習試合の集合時間が前日に変更になり、私がチームに一斉連絡をしたことがありました。しかし翌日、大槻のお気に入りの選手が遅刻してきたんです。その選手にも集合時間が変わったことを伝えていましたが、なぜか大槻から遅刻を私のせいにされ、「Aが悪い」と皆の前で叱責されました。「大槻は選手らにも使え る駒がいない。ベンチ外の選手の練習なんか俺は考えない。」と暴言を吐いていました。大槻の事を嫌う選手も少なくないですが、監督として結果も残しているので、大槻のワンマンチームのようになっていきました。彼に対して何も言えない空気があったんです。
長時間の労働、理不尽な叱責、そして「奴隷契約」という発言。A氏の証言は、大槻監督のチーム内での独裁的な支配を強く示唆するものでした。
クラブの対応とサポーターの怒り
A氏は、大槻監督体制が続くのであればチームを辞めると決意し、2023年シーズン終了後に退職しました。週刊誌側はクラブに対して事実確認の質問状を送付しましたが、ザスパ側は、トレーニングの映像を確認し、該当する発言があったことは認めたものの、パワハラとは認識していないとの回答をしました。
クラブに保管している当日のトレーニングの映像を確認し、当該の発言については確認できましたが、戦後のやり取りを見る と高圧的ではなく、当該のスタッフにも確認したところハラスメントとは持っていないとの回答を得ております。
さらに、A氏の証言にある「奴隷契約」などの過激な発言についても否定。選手たちの遅刻をA氏の責任にしたことについても否定しました。
ザスパは後日、公式ウェブサイトで改めて大槻監督のパワハラ疑惑に対する声明を発表し、パワハラ行為は確認できなかったと強調しました。
選手、スタッフへのヒアリングで、パワハラハラスメントとされるような行為は確認できませんでした。また、本件に限らず、ハラスメントとされる行為や言動を受けた等の新たな申し出もございませんでした。
さらに、一部メディアに情報提供をしたとされるスタッフに対して再確認を行い、パワハラを受けた認識はないという回答を得たこと、報道されたメディアからの取材自体を受けておらず、写真も撮影されていないことなどを明らかにし、週刊誌の報道を事実と認めませんでした。
しかし、開幕直後からのこの騒動はチームに大きな影響を与えました。開幕から6連敗とスタートダッシュに失敗。サポーターの怒りもピークに達し、4月27日のV・ファーレン長崎戦後、多くのサポーターがゲーテ前に集まり、赤堀社長と松本強化本部長の説明を求めました。
一部サポーターによると、クラブ側は4月7日の時点で長崎戦後に今後の方向性について話し合う約束をしていたにもかかわらず、長崎戦後もフロント関係者はサポーターの前に姿を現さなかったため、サポーターはフロントの裏切り行為として、ゲーテ前で待ち構えたというのです。
サポーターたちはスタジアム周辺で「ザスパを返せ」「不信にちゃんと向き合え」と怒号を上げ、チームバスを取り囲む事態にまで発展。選手や関係者はバスに乗り込めない状況となり、タクシーでスタジアムを後にしたと報じられました。
試合終了から4時間以上経過した午後8時20分頃、約100人のサポーターの前に、ようやく松本強化本部長が現れ、謝罪と説明を行いました。
私のマネジメント不足。多くの選手が頑張ってくれている、今年はこそという思いでやってきたが、うまくいっていない。30日に赤堀社長と話し合えることを話したい。
しかし、赤堀社長は既にスタジアムを離れており、サポーターの怒りはさらに増幅。松本強化本部長は謝罪を繰り返すのみでした。
サポーターズ・カンファレンスと監督解任
4月30日にはサポーターズ・カンファレンスが開催され、赤堀社長はチームの現状について説明しました。
正直に申し上げまして、トップチームがスタートダッシュに失敗した事、これは事実です。不甲斐ない結果に終わっているという認識であります。当初の目標から大きくかけ離れた進捗だという風に認識をしています。ただ怪我人が多いという事とか、チームの戦術戦略としてではなくて個人個人が失点を重ねているというようなこともデータとして事実です。ただこれは去年と比べて異常なことであると考えています。全くの想定外であり、皆様にとって期待はずれの結果である点については本当に申し訳なく思っています。我々J2の順位というものをまだまだ目指していきますけれども、今の結果は結果です。再建という現状を極めて深刻に受け止めています。
厳しい現状を受け止めつつ、今後の対策などをサポーターと話し合いました。しかし、長崎戦後も2連敗した段階で、クラブは大槻監督の解任を発表します。
クラブ公式の声明では、シーズン14節終了時点で1勝3分け10敗と低迷していたこと、5月6日の清水エスパルス戦後の大槻監督との話し合いの結果、苦渋の決断であったと説明しました。さらに、前シーズン11位にチームを躍進させた功績についても触れ、大槻監督への感謝の言葉も添えました。
前シーズン11位にチームを躍進させたことは、紛れもなく大槻監督の手腕によるものであり、改めて大槻監督によるおよそ2年半の多大なるクラブへの尽力に深く感謝を申し上げます。
大槻監督自身は、解任にあたり
シーズン途中でチームを離れることになりま した。2年4ヶ月大変お世話になりました。勝ち点を積み上げられない現状について責任を感じています。
と謝罪の言葉を述べ、サポーターへの感謝の言葉を述べていました。
新体制と今後のザスパクサツ群馬
降格が決まった直後、クラブ公式より赤堀社長が声明を発表。謝罪とともに、今シーズンの苦戦を振り返り、支えてくれた人々への感謝を述べました。
ファン、サポーターの皆様におかれましては、チームがなかなか勝てない中、ホームでも遠いアウェーの地でも常に変わらぬ熱い声援でチームを鼓舞、励まし、後押ししていただきました。多大なるご支援をいただいたパートナー企業の皆様、今年は例年にない多くの選手交代が続く中でも、献身的なサポートをいただいた運営サポートスタッフや設営・手配応援隊の皆様を始め、クラブを支えてくださった全ての方々の応援に改めて感謝を申し上げます。また選手、監督始めチームスタッフも決して下を向くことなく、日々の努力や相互理解、トレーニングを積み重ね、強化スタッフはチームマネジメントやスカウティング、選手補強に奔走、人材課、事業スタッフも試合運営始め、お客様やスポンサー、パートナーの為、懸命に業務を遂行し続けてくれました。その努力が功労に対して結果を持って報いることができな かったのは全て私の責任です。誠に申し訳ありません。
そして、来シーズンの再起に向けて、新たな体制を構築することを表明。群馬県出身で元日本代表ミッドフィールダーの細貝氏が、来シーズンから社長兼GMに就任することが発表されました。
細貝氏は就任にあたり、
すごく嬉しかった。僕がこのクラブをすごく好きだったからこそ嬉しかったし、光栄に感じました。群馬県前橋市で育った僕がザスパクサツ群馬でプレーでき、更に県全体のサッカーが成長していかなければいけないと思っていた中で、このクラブで新しい仕事に携われて、責任ある立場として群馬を良くしたいという思いで引き受けました。
と、地元クラブへの強い愛着と、クラブ再生への意気込みを語りました。赤堀社長は、細貝氏に社長を託した理由を以下のように説明しています。
群馬県前橋市の出身であり、最後は群馬に帰ってきて現役を終えたキャリアもあり、名実ともにザスパ再生の象徴として、群馬サッカー界のシンボルに最もふさわしい人物である細貝さんに社長になっていただくのが最良の判断だと思いました。
しかし、いきなり経営者となる細貝氏には、懐疑的な意見も寄せられているようです。それでも細貝氏は、
今まで20年間も選手だったので、本当に自分が出来るのかと思われたケースはたくさんあると思っています。もちろん群馬が好きだとか、情熱があるというだけではなくて、自分がここにいる意味をより明確にして仕事に励んでいきたい。例えばドイツのレバークーゼンやヘルタベルリンといった規模の大きいクラブでの経験を少しでもこの群馬に落とし込みながらより拡大させていく。こうした長期的な形でクラブをいい方向に導いていけるように努力していきたい。お互いをリスペクトしてやっていきたい。一方通行ではなく、それでいて仲良くやっていこうという訳でもない。意見があればお互い言い合ながらいつでも話せる、人と人がしっかりと接する中でクラブを良くしていきたい。もちろん僕自身も分からない事に関しては進んで学んでいく姿勢を忘れないようにしていきたい。
と、これまでの経験を生かし、長期的な視点でクラブを再生させていく決意を表明。赤堀社長との連携についても、お互いの意見を尊重しながら進めていくことを明かしました。
このように、2024シーズンはザスパクサツ群馬にとって、絶望のシーズンとなりました。しかし、来シーズンからは再スタートを切る機会が得られました。1年でJ2復帰を果たせるか、今後のザスパの動向に注目が集まります。皆さんは、ザスパが復活するために何が重要だと思いますか?コメント欄で教えてください。
まとめ:ザスパクサツ群馬の苦難と未来への展望
この記事では、ザスパクサツ群馬のJ3降格という衝撃的な出来事とその背景、そして今後の展望についてまとめました。パワハラ疑惑、サポーターとの衝突、監督解任、そして新体制への移行…様々な出来事が発生し、クラブはどん底まで落ち込みました。しかし、クラブは新たな一歩を踏み出そうとしています。細貝新社長の就任は、地元への強い愛着と、クラブ再生への強い意志を感じさせます。彼の手腕と、サポーター、関係者の支援が、ザスパクサツ群馬の復活に繋がることを期待しましょう。