YoStar社の驚異的な成長物語:中国発のゲーム会社が日本市場を席巻した軌跡
- 2024-12-31
YoStar社の驚異的な成長物語:中国発のゲーム会社が日本市場を席巻した軌跡
はじめに:YoStar社とは何か?
突如ですが、皆さんはYoStar社が一体どのような企業なのか、どこまで理解しているでしょうか?彼らは中国系資本を持つゲーム会社ですが、あくまでもパブリッシャーであり、ゲーム開発会社ではないという点が重要です。元々は零細ゲーム企業であったことなど、知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、YoStar社の創業から現在までの歴史を、会社そのものにスポットを当てて徹底解説します。おそらく、現在ネット上にある中で最も深く、詳細に、体系的にYoStar社の歴史を解説した記事になっていると自負しています。
YoStar社の組織構造:パブリッシャーとデベロッパーの役割
歴史の解説に入る前に、YoStar社というゲーム会社について、まず会社の組織構造を分かりやすく分解した上で本題に入りたいと思います。
まず、YoStarは中国本土に本社があり、正式名称を上海悠星と呼び、2014年に設立されました。「悠星」の部分がYoStarです。そして、ブルアカなどのヒットスマートフォンゲームを日本で運営している会社は、この上海悠星の子会社として2017年に設立された株式会社YoStarとなります。
本社である上海悠星と子会社のYoStarは共に、ゲームパブリッシャーという立場で事業を行っています。
このチャンネルの動画内では何度もご説明してきましたが、ゲームを世の中にリリースするためには、パブリッシャーとデベロッパーという2つの役割が必要です。
- デベロッパー: プログラミングを書いたり、デザインをしたりして、ゲームそのものを開発する役割。
- パブリッシャー: 作るゲームを企画したり、企画が決まったら制作資金を用意してデベロッパーに依頼し、制作を指示したり、ゲームが完成したらその宣伝や運営を行う役割。
つまりは、先日紹介したタイトルは全て、YoStarとは別にそれぞれの開発会社が存在しているのですね。この記事では、それらの開発チームにも言及し、解説していきます。
ACG文化とYoStar:前提知識として
もう一つ、YoStarの歴史を見ていく中で前提知識として持っておきたい点がACGです。
ACGとは、中国圏において用いられる、日本のアニメ、漫画、コンピューターゲームの文化を反映したコンテンツを総称する言葉です。この記事に登場する人物は、全員ACG文化へ深く傾倒しています。だからこそ、YoStarの作るゲームはキャラデザインが日本風に最適化されており、本場日本でも強い反響を呼んでいるわけです。この記事に出てくる全てのゲームがこのACG文化に根付いているという前提を持って読んでいただけると分かりやすいと思います。
YoStar社の起源:Studio Game MasterとMaiKaチーム
さて、前提が長くなってしまいました。ではここから本題に入りたいと思います。
YoStarの前身は、Studio Game Masterという同人ゲームを制作する中国の学生団体でした。現在も上海悠星の代表を務める姚孟氏が中心となって運営されていたこの団体ですが、2013年頃、同じく中国で活動していた同人学生団体MaiKaチームと知り合い、ゲーム制作を行うことになります。
のちのち、この2チームは中国のACGゲーム市場を牽引する存在になっていきます。
MaiKaチームは宇宙という人物を中心に、2008年頃から活動を行っていた同人サークルで、宇宙氏が大学を2年で中退した後、本人を含む3名で立ち上げています。将来的にはゲームを作りたいと考えていたものの、技術がなかったことから、まずは同人誌制作を開始。中国で最大規模の同人誌即売会であるコミックマーケット(コミケ)などの舞台を中心に制作活動を行っていました。
ガールズフロントライン誕生秘話:同人ゲームから商業ゲームへ
その後、2009年に制作した**『ガールズフロントライン』**というビジュアルノベルを基点として、以降の彼らの創作物は形作られていきます。
翌2010年には、前作の続編を小説ではなくゲームというアウトプットで展開することに決めた彼らは、プログラムが書ける他サークルチームと連携し、制作を開始。2011年リリースを目標に、『ガールズフロントライン2』というタイトルで制作が開始されましたが、初のゲーム制作であったこともあり、想定通りには行かなかったようで、初期段階で制作が中断となります。
その後、YoStarの歴史にとっても、後にキーパーソンとなる優秀なデザイナー、ハイマオがMaiKaチームに参加。さらに2013年には、姚孟氏率いるStudio Game Masterと知り合うことになり、中断していたゲーム制作が再開します。
MaiKaがデベロッパー、Studio Game Masterがパブリッシャーとそれぞれ役割を分担することになり、ついに同年、**『コードネーム:ベイカリーガール』**という名前でPC向けにリリースすることになります。
本作は見た目とは裏腹に、ミリタリー色の強い骨太な戦略シミュレーションゲームとして制作され、同人作品であるがゆえ、荒削りな部分も多いものの、歯応えのある戦闘が楽しめる作品として界隈で話題となりました。
こうしてStudio Game MasterとMaiKaのタッグによるデビュー作のリリースは無事終わり、収益はほぼ折半で分配されたとされています。同年、宇宙は休む間もなく、早速次回作のリリースに向けて構想を練り始めます。
ガールズフロントライン:成功への道と試練
そして企画されたのが、コードネーム:ベイカリーガールと世界観を共有する**『ガールズフロントライン』**という作品でした。
宇宙はユーザーに愛され、長生きするゲーム、裏を返せば長期的に収益を生み出せるゲームを作ろうと考え、さらに当時モバイル端末上のゲームで戦略RPGのジャンルが少なかったことに目を付け、当初からスマートフォンでのリリースを想定していました。
また、2013年当時、日本のカドカワゲームスが開発、DMMが提供し、ブラウザゲームとして人気を博していた艦隊これくしょんで用いられていた艦艇の擬人化という要素を参考に、『ガールズフロントライン』は銃の擬人化というコンセプトを取り入れることにしました。
こうして本作は13年から14年末までに開発は順調に進み、本作もMaiKaとStudio Game Masterのタッグによって、発売に向けた準備が進められました。
前作の同人作品とは違って、今回は本格的に商業化を図っていたこともあり、このタイミングでMaiKaは三本网络科技(Sanborn Network Technology)、Studio Game MasterはYoStarという名前で正式に株式会社として法人を作り、両者共に投資家からの資金調達を行います。
当初の想定では、中国の大手パブリッシャー企業と契約をして販売する目論見をしていましたが、2014年当時、ACG要素を内包するサブカルゲームは成功事例が少なかったことから、あまり見向きがされず、結果前作の体制同様にYoStarがパブリッシャーを務めることになりました。
YoStarはArray Networkというパブリッシュを担当する子会社を作り、表向きは、このArrayがリリースするゲームという形で、2015年6月のコミケ16日目、大々的には初めて『ガールズフロントライン』を2015年中にリリースすることを発表し、先駆けて8月頃にベータテストを実施することを発表します。
そして8月31日に第1回目のベータテストが実施されますが、抽選で500人の枠へ6000人もの応募があるなど、制作チームの想定を上回る反響ぶりで、中国のACGコミュニティが本作に絶大な期待をしていることがここで明らかとなります。
試練と成長:サーバークラッシュとShinFanの介入
ゲーム内容に関しても評判は上々で、既に中国国内でACGゲームの先駆者であった艦これの後継期待作として話題を呼びます。
10月16日にはUIとゲームプレイに改善が加えられた第2回ベータテストが実施され、今度は1万人を超えるユーザーへ参加権を解放します。しかし、実施直後、一気にユーザーが殺到したことでサーバーがパンクし、なんと8時間も復旧に時間がかかってしまうという事態が発生。ネットでプチ炎上は起きたものの、それがかえって話題を呼び、『ガールズフロントライン』の認知を広げるという結果オーライのアクシデントでしたが、裏側ではこの一件をきっかけに開発チームに暗雲が立ち込めていました。
このサーバー事故、そもそもの原因の根っこは両者の経験不足にこそあり、界隈では無くライブゲームの運営が初めてであること、そして両者共にバックエンドの開発知識に疎かったことが大きな原因でした。
この弱点が決定的に現れたのが、2016年1月に行われた第3回目のベータテストで、ここでまたしても開始直後にサーバーがクラッシュ。さらに今回は復旧までになんと9時間かかるという事態を演じてしまいます。さすがにこれにはネット上も荒れ、直接抗議の声が殺到したと言います。
そんなプレッシャーがかかる中で、YoStarと三本の関係にも徐々に亀裂が入り始めていました。YoStar率いるArrayチームは、立て続けにサーバークラッシュが起きた原因が三本にあると不満を募らせ、一方三本はArrayが自社の収益に動かず、ただ静観していることにフラストレーションを溜めていったと言います。
さらに、『ガールズフロントライン』のリリースに期待を寄せて投資をしていた両者の裏方にいる投資家からも圧力が高まり、彼らは精神的にも追い詰められていきました。
新たな展開:ShinFanの策略とYoStarの反撃
なんとかサーバーが復旧し、ベータテスト期間が終わっても、今度はプレイヤーデータの収集がうまくいっていないことが分かり、またしても両チームは揉め、気は言うごとに急速に関係が冷え込んでいきます。
そんなムード最悪の中、この状況を見て接触してきたある第三者の組織がいました。それがArrayにも過去投資をしていた実績のあった**信帆资产管理(ShinFan Asset Management)**という投資会社です。
このShinFanチームの接触を機に事態はYoStarにとって最悪の展開を迎えることになります。
ShinFanはYoStarチームではなく、裏でこっそりと三本チームへ直接接触を試みていました。そこでは『ガールズフロントライン』が無事に正式リリースを迎えられるよう、開発資金を提供することと、加えてバックエンドにも詳しい専門家やエンジニアの人員援助を行うことを提案。これだけでもただの救世主ですが、ShinFanは交換条件としてある決断を三本へ迫ります。
それが、YoStarとのパブリッシュ契約を解消し、ShinFanと繋がりのある別のパブリッシャーと再契約することでした。これがShinFanの真の目的であり、この頃徐々に国内でも熱気を帯びていたACGゲームのムーブメントに乗り込もうと画策したわけです。
投資会社というのは資金を提供するだけでなく、経営にもアドバイスをしたり、優秀な人材を連れてきたりと、会社の経営に深く関与するものなので、そういった意味ではShinFanはあるべき投資家の姿ではありました。しかし、それまでのYoStarと三本の関係性を考えると、この提案はやはりありえない蛮行ですよね。
しかし、ゲームの運営は冷徹なビジネス。感情論を抜きにして『ガールズフロントライン』の成功を優先した三本の宇宙は、ShinFanのこの提案を受け入れる返答をしてしまいます。
ShinFanも両チームの間に軋轢が生じていることは当然分かっていたわけですから、そこにうまく付け込んだんですね。
これを知ったYoStarの姚孟氏は当然大激怒し、裏切り行為として宇宙に詰め寄るも、返答は変わることはありませんでした。しかもYoStarにとって不運だったのが、三本とは旧知の間であったこと、仲間割れするなどとは全く想定していなかったため、そもそも法的拘束力を持つ契約書を交わしておらず、ShinFanと三本の契約をブロックする反撃手段が全くないという状況でした。
姚孟氏はすぐに対抗策として、Future Gamesという第三者のパブリッシャー企業を連れてきて、ArrayとFutureの間で『ガールズフロントライン』のパブリッシュ権限を宇宙に先んじて締結してしまおうというパワー・プレイを画策します。これはFuture側が応じず、密約に終わりましたが、当然この動きは宇宙の耳に入り、これが決定的となり両者の関係はついに決裂。何度か話し合いの場が持たれたものの合意には至らず、ついに2016年3月15日に三本とShinFanの契約が正式に成立します。
ガールズフロントラインの成功とYoStarの苦難
その後も諦めのつかない姚孟氏は宇宙の元を何度か訪れ交渉するも、事態は変わらず、ついに同年5月20日、『ガールズフロントライン』はリリースを迎え、ゲーム自体は批評的にも商業的にも見事に成功を収めます。
こうして姚孟氏は思ってもみない最悪の結末でこの日を迎えることになってしまったのです。
姚孟氏はメンタルがこの頃追い詰められていたとインタビューで答えていますが、ここで諦めることはありませんでした。というよりも、諦めるわけにはいきませんでした。
なぜなら一連の騒動の裏側で、YoStarは2015年末から子会社開発による新作ゲームの制作を進めており、それが**『異世界からのノノ』**というタイトルでした。
本作も作風はACG文化を踏襲しており、2017年1月、パブリッシュと運営も全てYoStarが務める形でリリースを迎えます。『ガルフロ』がダメならこっちで!と行きたいところでしたが、本作残念ながらACGコミュニティからはイマイチの評価。本場日本向けにもローカライズを行い配信したものの、キャラクターデザインやゲーム性など、どこか尖りさに欠ける出来で、こちらも鳴かず飛ばず。全く収益を上げることができませんでした。
アズールレーンとYoStarの再起:日本市場への戦略的進出
この時社員は10人ほど。リリースした頃にはキャッシュフローも立ち行かなくなり、姚孟氏は自身の家も売却するなどして、なんとかして経営を継続させていたと言います。その背景には当然、『異世界からのノノ』の運営を継続しなければならないことと、それと別にまたまた次の玉を仕込んでいたためでした。
それがアズールレーンというゲームを制作していたManjuuという会社とのパブリッシング契約でした。
アズールレーンのプロデューサーであったユーワンは、もともと中国の動画共有サイトbilibiliの投稿者で、当時のACGの盛り上がりを受けて「同人ゲームでもいいから何か作ろう」と、後に社長となる林舟氏らを含めた大学の友人ら数人と共に、2015年1月にManjuu社を立ち上げ、ゲームの開発を始めていました。
当時中国国内では既にいわゆる艦これフォロワーのゲームが数多くリリースされており、Manjuuはその流れに乗って艦艇の擬人化要素こそ取り入れたものの、他のフォロワー作品とは違うものを作ろうという目標を掲げ、差別化を意識して開発されたと言います。
Manjuuがビジュアルやデザイン全般とシナリオを担当、協力会社の4シー社が開発と設計を行う体制で制作が進められ、2016年秋頃にはYoStarと知り合い、パブリッシングの権利交渉が始まりました。
交渉の結果、中華圏でのパブリッシュは国内に圧倒的なネットワークを誇り、コンテンツのパブリッシング事業も行う超大手bilibiliが担当することになったものの、日本でのパブリッシング権についてはYoStarが勝ち取ることに成功します。
それには『異世界からのノノ』のリリースに向けてちょうどYoStarの日本子会社を抱えていたことと、何よりもACGへの愛が深く、日本人向けの最適化に関しては絶対の自信があるという猛烈なアピールが姚孟氏からあったためとされています。
アズールレーンの大成功とYoStarの成長:新たな挑戦と未来
そして、2017年5月に中国本土、9月に日本でリリースされた本作は、艦これフォロワーである話題性と、それをいい意味で裏切る差別化戦略が見事にハマり、またたく間に人気を博し、特に日本ではリリース後4ヶ月でプレイヤー数が500万人に達する大きな反響を呼びます。
姚孟氏に唆され、YoStarの日本子会社を立ち上げ、代表に就任していた李宏達氏も、ここまでの人気を予想しておらず、子会社の社員も10人程度とごく少数であったため、とにかく対応に追われたと後のインタビューで語っています。
ともあれ、この数人の子会社メンバーを中心に運営開始当初にユーザー数の急増で見られた緊急メンテナンスやサーバーダウンなどのトラブルに対して、Twitterの公式アカウントで状況と対応策を随時報告するなど、丁寧な対応を行ったことが信頼を高め、ユーザーの繋ぎ止めを成功したとも言われています。
こうしてYoStarはどん底の状態から金の卵を見事に引き当て、一気にスマホアプリ市場で躍り出ることに成功したのです。
YoStarの更なる躍進と今後の展望:Blue ArchiveとEternal Geyser
YoStarはその後、アズールレーンの世界16ヶ国のグローバル展開もパブリッシャーとして担当することになり、業績を大きく拡大。また、新タイトルのパブリッシュも続々と進め、2018年6月にはCat Food Studioという開発会社から中華圏でリリースされていたオンライン対戦麻雀ゲーム**『じゃんたま』**の日本リリースを担当し、19年4月に展開を開始。サービス開始当初からVTuberを活用したプロモーションを積極的に展開することで、麻雀という決して裾野の広くないジャンルでも若年ゲーマーを中心としたターゲット層をうまく取り込むことに成功します。
また、『Epic Seven』というタイトルでも同年11月にSmileGate Megaportという開発チームと組んでパブリッシングしていましたが、こちらは22年5月にパブリッシング業務全体をSmileGate側に移管しており、以降はYoStar運営では無くなっています。
このようにアズールレーン、じゃんたま、Epic Sevenと連発してリリースを成功させた裏で、YoStarはさらにデカダマを仕込んでいました。2017年初頭、アズールレーンの制作が佳境を迎えている時、姚孟氏はまた別のキーマンと新プロジェクトの立ち上げを画策しており、その人物というのが過去にガルフロを一緒に制作しており、三本に所属していたハイマオでした。
ハイマオは2016年5月のガールズフロントラインリリース以降、しばらくは三本にそのまま席を置いていましたが、徐々に三本の宇宙を中心とした経営チームとゲームの方向性に関して意見の相違が生じ、2017年1月に独立していました。ハイマオはガールズフロントラインではUIやストーリーラインを担当し、本作のヒットは彼無しではありえなかったと言われる功労者であり、そんな優秀な彼にいち早くコンタクトを取ったのがYoStarでした。
YoStarはハイマオが新しく立ち上げる会社に資金を入れ、姚孟氏個人の持ち分も加えると26%ほどの株をYoStarが保有する子会社構成でHypergryphというゲーム会社が誕生します。そして同時に新作ゲームの開発がスタートし、それが**『アークナイツ』**というタイトルで、2年間の開発を経て、2019年5月に中華圏、2020年1月に日本を含むグローバルでYoStarパブリッシャーとしてリリースされます。
『アークナイツ』は基本シングルプレイのみのタワーディフェンスジャンルで、ゲーム性自体が高く評価された他、ハイマオがリードデザイナーとなって描かれたケモ耳要素ありの魅力的なキャラデザインなどで評判を呼び、リリース後1ヶ月でグローバルダウンロード数が700万を突破。23年11月までに全世界で11億ドル以上の収益を上げ、そのうち40%が日本市場と、これまた本場日本で爆発的な人気を博します。
ブルーアーカイブ:さらなる成功と今後の展望
当然このヒットは、ハイマオのふる里である三本の売上にも大きくダメージを与えたと言われていることから、姚孟氏がついにやり返したと言ってもいいのか、なんとも複雑な話です。
21年10月にはテレビアニメの制作も発表され、アニメーション制作を日本法人のYoStar Picturesが手掛け、ゲーマーだけではない潜在層へ幅広く認知を取れる活動を進めていきます。
ちなみにYoStar Picturesは日本法人代表の李宏達氏の構想によって誕生した組織で、ゲームコンテンツを盛り上げるためにはアニメーションは重要な要素である一方、外部のアニメスタジオは近年多忙を極めていることから外注することがなかなか叶わず、ならば自分たちでアニメ制作ラインを持とうという経営判断が惚けたんでは生まれています。
そしてそして、YoStarの勢いは止まりません。2024年現在、YoStar作品の中で最大のヒットタイトルであり、ノリに乗っているゲーム**『ブルーアーカイブ』**をアークナイツリリースの1年後となる2021年2月にリリースしています。
このゲームはNexon Gamesが開発、YoStarがパブリッシャーの体制で制作が進められ、Nexonでマビノギ英雄伝など開発経験のある木村弘毅氏が統括プロデューサーを務める形で、日本でヒットすることを大命題にして2018年から開発がスタートしていました。
2020年2月にProject MXという名前で存在が初めて明らかになり、ベータテスト実施を経て、本作は珍しく日本がトップバッターでリリース。いい意味でカジュアルで全体的な完成度が高い、他の美少女ゲームとは一線を画す立ち位置であったことや、既にこの頃日本においてもYoStarが出す新作なら流行りそうだと無条件で期待されるほど信頼と実績を積み上げていたこと、何よりもその期待を結果裏切らなかったことで1ヶ月目には100万ダウンロードを達成。特に2022年から2023年にかけてユーザー数は急増し、世界累計収益が4億ドルを突破し、23年度単体ではアークナイツを抑えてYoStarで1番の稼ぎ頭となっています。
24年4月からはテレビアニメ『ブルーアーカイブ The Animation』の放映が開始され、こちらのアニメーションはYoStar PicturesとStudio Candy Boxという体制で制作されています。
Eternal Geyser:成功への道のりは険しい
23年5月にはアズールレーンの制作にも入っていた4シーの開発による新作RPG、『Eternal Geyser』をYoStar主導でリリース。配信当初は堅調にユーザーと売上を確保したものの、本作は唯一先述の先輩タイトルのようにはいかず、24年現在、売上は落ち込んでいる状態です。
とはいえこれは当然といえば当然で、ユーザーの課金時間というのは有限であり、それを奪い合う状況の中で、好発のコンテンツというのはどうしても何か抜きん出た差別化ポイントがないと中々見向きがされないもの。
ACGゲームという舞台に目を向けてみても、見方を変えれば近年供給過多、ユーザーからすると少し食傷気味になってきているとも言える状況で、そこに食い込むほどの何かがEternal Geyserには無かったのかもしれません。
とはいえYoStarは既にACGゲーム市場のトップシェアを誇っている以上、Eternal Geyserがヒットしたとしても、それはYoStarのタイトル間で売上を食い合っている状況に等しいでしょう。であるならば、現状のEternal Geyserは刺さる人にだけ刺されればいいというスタンスで、過度な人員を配置せず、粛々と運営が継続されているものと思われます。
なので、そういう意味では今YoStarが一番欲しいタイトルは、ACGの枠を超えたブルアカともアークナイツともどれとも被らない、パイの拡大ができるゲームなのではないでしょうか。
YoStarの10年:未来への展望
24年現在、YoStarは創業からまだたった10年しか経っていません。そう考えると、この成長スピードの異常さには驚きですし、創業者の姚孟氏のACGへの深さからACG市場に振り切って、攻気強く当てに行った胆力は改めてかっこいいなと思いました。
中国発の会社でありながら、今日本のゲーマーのツボを一番理解しているのはYoStarなのかもしれません。
YoStarの歴史、いかがだったでしょうか?今回の記事は以上です。この記事が良かったと思っていただけましたら、ぜひともチャンネル登録、高評価よろしくお願いします!モチベーション上がります!
このチャンネルでは、その時代時代に記録を残したゲームを作り出した会社、チームに焦点を当て、徹底解説した動画を投稿しています。Twitterやコメント欄では、この会社について解説してほしいなど、動画自体の意見もいつでも受け付けておりますので、どしどしお待ちしております。
それでは次回の動画をお待ちください。最後までご視聴ありがとうございました!