Wii 15周年記念!大ヒットの裏に隠された成功と挫折の歴史を徹底解説!
- 2025-01-03
Wii 15周年記念!大ヒットの裏に隠された成功と挫折の歴史を徹底解説!
皆さん、こんにちは!任天堂レビュアーのケンタです!
先日、Wiiが発売15周年を迎えました!国内だけで1000万台以上を売り上げた大ヒットゲーム機、Wii。発売されたソフトも人気が高く、本体と同時に発売された『Wii Sports』はもちろんのこと、『スーパーマリオギャラクシー』『ゼノブレイド』など、後世に語り継がれる名作を生み出しました。
しかし、そんなWiiを「大ヒットしたゲーム機」と一言で片付けることは、僕としてはできません。大ヒットの後には大きな反動があり、僕自身も複雑な気持ちを抱いていました。
Wiiとは?革新的なコントローラーと意外な低価格
Wiiはゲームキューブに続く任天堂の5代目据え置き型ゲーム機で、2006年12月2日に発売されました。最大の特徴は、リモコン型の「Wiiリモコン」です。従来のコントローラーは両手で握るスタイルで多くのボタンが付いていたのに対し、Wiiリモコンは片手で握るスタイルでボタン数は少なめ。その代わり、新たに搭載されたモーション機能とポインティング機能が大きな魅力でした。
Wiiリモコンをテニスのラケットや剣に見立てて振ったり、拳銃や弓矢に見立てて画面の1点を狙ったり…従来のゲーム機ではボタンやスティックを使っていた操作を、Wiiではリモコンを振るだけで行えるようになりました。
発売時の価格は約2万5000円。スーパーファミコン、Nintendo64、ゲームキューブと同様の価格帯で、同時期に発売されたPlayStation 3やXbox 360よりもひと回り安く販売されました。
しかし、裏を返せば、ゲーム機の性能は前世代機のゲームキューブからさほど向上しておらず、PlayStation 3やXbox 360と比べると1世代遅れを取ってしまいました。ゲーム機の性能を重視せず、新しい体験で勝負する。Wiiはそんなゲーム機でした。
ここから、Wiiの歴史を発売順に振り返っていきます。
2005年:革命の始まりと、衝撃的なコントローラー発表
Wiiが初めて発表されたのは、2005年5月に開催されたE3 2005です。当初はコントローラーの発表はなく、「コードネームが『Revolution』であること」「本体の大きさがDVDケースを3つ重ねたくらいになること」「過去の作品をダウンロードして遊べること」などが明かされました。
中でも注目を集めたのが、「過去の作品をダウンロードして遊べるサービス」です。このサービスは「バーチャルコンソール」と名付けられ、20年にも及ぶ任天堂の作品がすべてプレイ可能になると発表されました。実際にはすべてプレイ可能になったわけではありませんでしたが、『スーパーマリオブラザーズ』『スーパーマリオワールド』『スーパーマリオ64』など、名作をWiiで遊ぶことができるようになりました。
私自身もバーチャルコンソールの存在を知った時、興奮していたのをよく覚えています。それまでは複数のゲーム機とソフトが必要だったものが、これからはDVDケース3枚程度のゲーム機に収まる。この時点で私はWiiに大きな可能性を感じていましたし、周りのゲーム好きも肯定的に受け止めていました。
しかし、任天堂はこの後、ゲーム好きの間で物議を醸す発表を続々と行います。
2005年:常識を覆すWiiリモコン、賛否両論を巻き起こす
2005年9月、東京ゲームショウ2005の記者発表にて、Wiiのコントローラーが発表されました。しかし、そのあまりにもぶっ飛んだデザインに、物議を醸します。
当時のゲーム機のコントローラーはほぼ完全に確立されていて、右側に4つのボタンとスティック、左側にスティックや十字キー、中央にスタートやセレクトボタン、上部に2つから4つのトリガーボタン、下部に2つのグリップを搭載するのが常識でした。どのゲーム機もコントローラーの形状は二種類を置いていませんでした。
対してWiiのコントローラーはリモコン型の形状を採用。ボタンはほとんど搭載されておらず、リモコンを振ったり、画面にポインティングする操作が基本であることが発表されました。一応、拡張コネクタにヌンチャクのようなコントローラーを挿し込むことで両手で遊ぶことはできると発表されましたが、ゲームファンの間では物議を醸しました。
「これでゲームするのつらそうだ」「何を考えてんだ任天堂」「特定ゲーム専用とかなら分かるけど、これが標準コントローラーだろ」「厳しいな」「俺はめちゃくちゃ楽しみだな」「一つのコントローラーで色々な使い方ができるってのはすごいわ」「まあ、それでも結局はPS3の後塵を拝してしまうんだろうが」など、賛否両論、大きな話題となりました。そして任天堂はさらなる爆弾を投下します。
2006年:シンプルなネーミング「Wii」発表、販売開始へ
2006年4月、遂に正式名称が発表されました。それまではコードネーム「Revolution」とアナウンスされていましたが、正式名称が「Wii」であることが発表されました。しかし、あまりにもシンプルな正式名称に、またしても物議を醸します。
「Revolutionの方が断然いいと思うんだが」「買おうと思っていたんだけど、名称で購買意欲がかなり低下」「Revolutionよりいいと思ったのは俺だけか」など、従来のゲーム機とは一線を画する名称に、否定的反応を示すゲームファンが多く見受けられました。
それから1ヶ月後の2006年5月、E3 2006プレスカンファレンスにて、Wiiソフトの映像が初公開されます。『スーパーマリオギャラクシー』『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』『Wii Sports』など、どのタイトルもWiiリモコンの体感操作を生かした魅力的な内容でしたが、映像の進化は控えめでした。HD画質に対応していることくらい。パッと見は前世代機であるゲームキューブソフトと大差なく、同時期に発表されたPlayStation 3やXbox 360と比べたら見劣りしていました。
従来のゲーム機では世代が変わると表現面がぐんとパワーアップするのが通例だったため、またしても物議を醸しました。「次世代機なのに映像の進化がなさすぎる」「スペック競争に注力しないなんて素晴らしい」など、否定派と肯定派で真っ二つに分かれてしまいました。
なぜ任天堂はこのようなゲーム機を発売することにしたのでしょうか?そこにはゲームキューブからの反省がありました。2001年に発売されたゲームキューブは性能的に優れたマシンでしたが、前世代機のNintendo64からは売上を落としてしまいます。また、ゲーム内容の複雑化によってついていけるユーザーが減り、ゲーム離れが加速しました。こうした流れを打破すべく生まれたのがWiiです。
Wiiは年齢、性別、経験を問わず全員が同じスタートラインで遊べる、「お母さんを敵に回さない」「リビングにあっても邪魔にならない」など、従来のゲーム機が抱えていた課題に一つ一つ向き合った結果生まれたゲーム機でした。当時の社長だった岩田聡氏はWiiについてこう語っています。
私は自身は、何より従来の延長線上こそが恐怖だと思ったんです。今のまま進めば、どんどん力だけの戦いになっていて、ついていけるお客さんの数もどんどん少なくなっていく。だから、そっちじゃない道に舵を切るという事だけは、もうはっきりとしていたんです。
そう、任天堂はWiiでスペック競争に注力しないことにしたのです。
2006年:Wii、ロケットスタートを切る!しかし…
2006年12月2日、遂にWiiが発売されました。ゲームキューブから大きなイメージチェンジを図ったことで懸念点も多く見られました。しかし、まさかの大ヒットを記録します。発売2日間での販売台数は約37万台。前世代機のゲームキューブの3倍近い出足となり、同時期に発売されたPlayStation 3やXbox 360の累計売上を瞬く間に超えていきます。
なぜWiiはここまでロケットスタートを切ることができたのでしょうか?その背景には、ニンテンドーDSの記録的な大成功がありました。ニンテンドーDSは2004年12月に発売された携帯型ゲーム機で、2画面やタッチスクリーンの搭載などが特徴です。発売当初こそはそれなりの人気にとどまっていましたが、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』をきっかけに人気が加速、『おいでよ どうぶつの森』『マリオカートDS』『New スーパーマリオブラザーズ』『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』など、次々とメガヒット作が誕生します。
その結果、ニンテンドーDS自体が社会現象となり、子供はもちろん大人にも親しまれるゲーム機として人気を博しました。WiiはそんなニンテンドーDSの購買層をターゲットにした広告展開を行いました。白を基調としたさわやかな雰囲気、Wiiリモコンを振って遊ぶ手軽さ、分かりやすいテレビCMなど、あまりゲームを遊ばないような方でも手にとって貰えるような広告展開を行った結果、ロケットスタートを切ることに成功します。
ゲームソフトの売上も好調で、本体と同時に発売された『Wii Sports』は国内だけで350万本以上のメガヒットを記録。海外にいたっては本体に同梱されていたこともあって8290万本という全世界2位の売上を打ち立てました。
Wii Sportsの成功:直感的な操作性と家族で楽しめる要素
『Wii Sports』は大ヒットした要因として、直感的に遊べることです。Wiiリモコンを振るだけでほとんどの操作が行える上、ボールを跳ね返す時には効果音がWiiリモコンのスピーカーから聞こえてくるので、スポーツの爽快感を気軽に体験することができました。また、最大4人での対戦もできるため、家族や友達と一緒に遊ぶゲームとしても最適でした。
その際には人数分のWiiリモコンが必要になりますが、任天堂はそんな人のために「はじめてのWii」というパッケージを発売しました。これはWiiリモコンとゲームソフト「はじめてのWii」をセットにしたパッケージです。「はじめてのWii」自体は9種類のミニゲームを収録したシンプルな内容ですが、価格は約4800円。Wiiリモコン単品の価格が約3800円であることを考慮すると非常に買い得なパッケージとなり、国内だけで250万本以上のメガヒットを記録しました。
『Wii Sports』、『はじめてのWii』このようにWiiは本体、ソフト共に好調な売上を記録していましたが、一方で懸念点も見受けられました。それは、ゲームファンをメインターゲットにしたタイトルの売上が今一歩であることです。
ゼルダの伝説 トワイライトプリンセスの苦戦
実は『Wii Sports』と同時に『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』も発売されました。同作は任天堂スタッフが総力を挙げて作り上げたアクションアドベンチャーゲームで、開発に3年弱、参加したスタッフは実に100人以上という超大作です。内容は全世界で絶賛された『風のタクト』の流れを汲んだファン待望の新作でしたが、国内での初週売上は約14万本、累計売上は約60万本にとどまり、『風のタクト』はもちろん、ゲームキューブで発売された『風のタクト』を下回ってしまいました。
しかし、海外での売上は『風のタクト』を上回っていたため、当時は国内でのゼルダ人気が低迷していたことが主な要因と思われていました。
2007年以降:順調な販売台数増加、しかし…
年が明けて2007年。Wiiの販売台数は順調に推移します。100万台を突破したかと思ったら200万台を突破、200万台から300万台もあっという間に超えていき、発売から1年が経つ頃にはゲームキューブの国内累計売上402万台を超えてきました。
任天堂はそんなWiiの販売をさらに伸ばすべく、2007年末からキラータイトルを続々と供給します。先陣を切ったのが『スーパーマリオギャラクシー』です。同作はスーパーマリオシリーズの最新作で、宇宙にある様々な星が舞台となっています。操作はWiiリモコンとヌンチャクを組み合わせたもので、モーション機能やポインティング機能をフルに活かしています。国内での累計売上こそは102万本と『Wii Sports』などの好調ぶりを下回ってしまいましたが、ユーザー評価は非常に高く、Wiiの代表作の一つとなりました。
続いて発売されたのが『Wii Fit』です。同作は健康管理をするゲームソフトで、同梱されているバランスWiiボードで体重を測ったり、様々なトレーニングを楽しむことができます。当初は箱の大きさから慎重に発売しているお店が目立っていましたが、自宅で本格的な運動が楽しめることから、またたく間に売り切れ店が続出。あの『Wii Sports』に匹敵するほどのペースで売れ続け、国内での累計売上は350万台。全世界累計にいたっては2260万台となり、『Wii Fit Plus』と合わせて世界一売れた体重計としてギネス認定されました。
2008年:新たなビッグタイトル投入も、市場の飽和感
年が明けて2008年、任天堂はさらなるビッグタイトルを続々と供給します。まず発売されたのが『大乱闘スマッシュブラザーズX』です。同作はゲームキューブで最も売れた『大乱闘スマッシュブラザーズDX』に続く新作で、相手を上空に吹き飛ばして勝負を競うルールを採用しています。もともと任天堂キャラが集うお祭り感をアピールしていましたが、今作では他社キャラが参戦。メタルギアソリッドのスネークやソニック・ザ・ヘッジホッグのソニックがマリオ達と混ざって乱闘を繰り広げることができます。また、シリーズ待望のオンライン対戦機能も搭載、遠く離れた友達とも対戦できるようになりました。
このような話題性とWiiの勢いが合わさった結果、初週だけで80万本以上を販売。前作の倍以上のペースで売れていき、累計売上も国内だけで2142万本に達しました。それから3ヶ月後には『マリオカートWii』が発売。同作は人気レースゲーム『マリオカート』シリーズのWii版で、従来のボタン操作に加えて傾き操作が追加されました。また、新たにバイクが追加され、従来の作品よりも派手なアクションができるようになりました。売上も好調で、初週だけで60万本以上を販売。マリオカート史上最速のペースで売れ続け、Wiiの定番タイトルとして人気を博しました。
『Wii Sports』、『はじめてのWii』、『Wii Fit』、『大乱闘スマッシュブラザーズX』、『マリオカートWii』このようにWiiは発売から1年半でメガヒット作を立て続けに生み出していきました。その結果、国内での累計販売台数は1年半で600万台を突破。ソフトの累計販売本数は2000万本を超えていき、圧倒的な存在感を示していきます。「なんだ、順調に売れてるじゃん。何が衝撃の波乱だよ」
いや、確かにね、この頃までは順調でしたが、ここからね、Wiiは苦境に追い込まれてしまいます。
2008年後半~2009年:Wiiの勢いが衰え始める
圧倒的な勢いを見せていたWiiですが、2008年後半からは影が見えてきます。大きな要因となったのが、新作ソフトの売上が思うように伸びなかったことです。任天堂は2008年末に2本のビッグタイトルをWii向けに供給しました。
一つ目が『Wiiミュージック』です。Wiiリモコンを使った楽器演奏を楽しめる音楽ソフトで、『Wii Sports』『Wii Fit』に続くWiiシリーズの第3弾として売り出されました。プロデューサーはスーパーマリオやゼルダの伝説を生み出した宮本茂氏で、E3 2008のプレスカンファレンスでは大々的にアピールしました。それほど任天堂としては力を入れて売り出したタイトルでしたが、国内での累計売上は約42万本、全世界での累計売上は約265万本にとどまり、期待通りの成果を上げることができませんでした。
続いて発売されたのが『街へいこうよ どうぶつの森』です。同作は動物たちが暮らす村の中で生活を送るコミュニケーションゲームで、様々な施設が設置された街へいけることをアピールしていました。しかし、こちらも苦戦してしまいます。国内での累計売上は約126万本、全世界累計売上は約338万本にとどまりました。「いやいや、何言ってんの?めっちゃ売れてるやん」
まあ確かにね、大ヒットと言えば大ヒットなんですけどね。『街へいこうよ どうぶつの森』はですね、当時の時点でめちゃくちゃ期待されていたんです。というのもですね、DSで発売された『おいでよ どうぶつの森』がですね、国内だけで約5003万本、全世界累計で約1175万本も売れていたんです。それと比べたらはるかに低い売上になるため、期待を大きく下回ったという認識なんですね。実際、大量に仕入れていたゲームショップでは値崩れが発生、一時期は1000円以下で販売する店舗が目立っていました。
2009年:Wii市場の低迷、ソフトメーカーの撤退
年が明けて2009年。この頃になるとWiiの有力タイトルが不足してしまいます。その穴埋めの一つとして発売されたのが、『Wiiで遊ぶセレクション』です。これはゲームキューブで発売された人気タイトルをWiiリモコンの操作に最適化して発売したシリーズで、2008年末から2009年前半にかけて発売されました。
『ピクミン』『マリオテニスGC』『メトロイドプライム』『ドンキーコング ジャングルビート』など、いずれもゲームキューブソフトを遊んでこなかった層に一定の需要を生み出すことは成功しましたが、Wii市場を活性化させるほどの役割を担うことができず、本体の販売台数はさらに減少。春頃には本体の週間販売台数が2万台を割ってしまい、他社のゲーム機に注目が集まっていきます。「おいおい、ちょっと待てよ。Wiiがあんなに売れたんだから、任天堂以外の会社は新作を出さなかったのかよ?」
いやね、新作を出していなかったわけではないんですけどね。いかんせん、どのソフトメーカーもヒット作を生み出すことができませんでした。Wii市場に合わせてパーティーゲームを出すも、任天堂の圧倒的なブランド力に立ち打ちすることができず、かといって従来型のゲームを出しても魅力をうまく伝えることができずに埋もれてしまいます。結局、頼みの綱となるのは任天堂の有力タイトルなんですが、『Wiiミュージック』や『街へいこうよ どうぶつの森』が思うように売れなかったことから失速してしまったんですね。
2009年後半~2010年:Wiiモーションプラスと新たなタイトル
2009年下半期、任天堂はWiiのテコ入れに力を入れていきます。まず発売されたのが『Wiiモーションプラス』です。これはWiiリモコンの拡張コネクタに取り付ける周辺機器で、対応ソフトで使用する事でより正確なモーション操作を行うことができました。対応ソフトの第1弾となったのが『Wii Sports Resort』です。同作は大ヒットした『Wii Sports』の続編で、舞台がリゾートになり、スポーツの種類が大幅に増えました。
Wiiモーションプラスがないと遊ぶことができませんでしたが、ゲームソフトにお値段据え置きで同梱することで解決。累計売上は国内だけで300万本以上、全世界累計にいたっては3000万本以上となり、Wiiの新たな定番タイトルとなりました。
2009年8月1日にはカプコンから『モンスターハンター トライ』が発売。同作は人気ハンティングアクションゲーム『モンスターハンター』シリーズのナンバリング3作目で、新たに水中エリアが追加されました。購買層はゲームファン中心で、Wiiのメインユーザー層とは大きくかけ離れていましたが、「モンハン」と言えば誰もが知るほどの人気タイトルです。任天堂としても相当な期待をしていたようで、同作の発売に合わせてゲームファン向けの施策を打ち出すようになります。「モンハン トライ」の発売日には新色の黒を発売。従来のWiiとは真逆のカラーリングが話題を呼びました。
また、同時にクラシックコントローラーProも発売。従来のクラシックコントローラーからグリップなどが追加され、『モンハン』のように複雑な操作が求められるタイトルでも遊べるように改良されました。その甲斐あってか、『モンハン トライ』は国内だけで115万本販売。前年に発売されたPSPの『モンスターハンター セカンドG』の422万本を大きく下回っていますが、ソフトメーカーが発売したWiiソフトとしては最大の売上を記録します。
そして2009年12月3日には『New スーパーマリオブラザーズWii』が発売。同作はニンテンドーDSで発売された『New スーパーマリオブラザーズ』の流れを汲む2Dアクションゲームで、最大4人での同時プレイが大きな特徴となっています。テレビCMには当時爆発的な人気を博していたジャニーズグループ嵐を起用。メンバーが楽しそうに遊んでいる様子が大きな話題となり、爆発的な売上を記録しました。発売週の売上は約93万本、累計売上は450万本を突破し、Wii史上最大のヒット作となります。同時期には本体の値下げが行われ、2万5000円から2万円になりました。その結果、低迷していたWii本体の販売ペースが再び加速。年末商戦の売上は過去3年間の中で最大となり、巻き返しを図ることに成功します。
2010年以降:コアゲーマー向けタイトルの投入と、市場の変化
年が明けて2010年。この頃になると、任天堂が水面下で開発を進めていたゲーマー向けのタイトルが続々と発売されます。先陣を切ったのが『戦場のヴァルキュリア』です。同作は北欧神話の世界を舞台にしたアクションゲームで、大量の敵を剣や魔法で打ち倒していきます。開発は地球防衛軍で知られるサンドロットが担当。ゲーマー向けタイトルらしく出血表現や壁破壊、切断などの過激な表現が見受けられ、同じミッションを繰り返し遊べるような工夫も行われていました。
2010年6月10日には『ゼノブレイド』が発売。同作は巨大な神の木を舞台にしたRPGで、ロード時間を挟まずに広大なフィールドを駆け巡ることができます。当初の注目度はさほど高くありませんでしたが、熱いストーリーやBGM、中毒性の高い戦闘システムなどがプレイしたユーザーの間で絶賛され、日本ゲーム大賞2011では優秀賞を受賞。Metacriticのメディアレビューでは平均92点、ユーザースコアでは平均9.2という非常に高い評価となりました。国内での累計売上は約16万本にとどまりましたが、発売から10年以上経った今でも語り継がれるほどの名作と言われています。
2011年1月27日には『ラストストーリー』が発売。同作はファイナルファンタジーの生みの親である坂口博信氏率いるミストウォーカーが手掛けるタクティカルRPGで、リアルタイムに進行する戦闘システムなどが特徴です。少し前に発売された『ゼノブレイド』の高評価によって期待値が異様に上がってしまい、その期待に応えられなかったことからネガティブな見方をされることもありましたが、オンラインでのマルチプレイなど見所も多く、現在では徐々に再評価されるようになってきました。そして2011年5月26日には『パンダラの塔 君のもとへ帰るまで』が任天堂から発売。こちらはガンバレオーンが手掛けるアクションRPGで、2つのパートに分かれて進行します。一つは謎解きや探索が楽しめるダンジョンパート、もう一つは獣の呪いにかかった美少女セレスとのコミュニケーションパートで、ゼルダの伝説や恋愛シミュレーションゲームを融合させたような内容が高評価を博しました。
『戦場のヴァルキュリア』、広大なフィールドを駆け巡ることができる『ゼノブレイド』、リアルタイムに進行する戦闘システムが斬新だった『ラストストーリー』、ヒロインの呪いを解いていくためにダンジョンの探索を行う『パンダラの塔 君のもとへ帰るまで』。このように任天堂は2010年から2011年にかけて、新規のゲーマー向けタイトルを続々と発売しました。当時の任天堂はライトユーザー向けのゲームばかり発売している「ゲーマーを見捨てた」という認識がゲームファンの間では強まりましたが、水面下ではしっかり開発が行われていたんですね。同時期には前作から大幅にパワーアップした『スーパーマリオギャラクシー2』、Wiiモーションプラスを使った体感操作が印象的だった『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』、久しぶりの2Dアクションゲームとなった『ドンキーコング リターンズ』、最大4人での同時プレイが楽しめる『星のカービィWii』、探索だけでなくストーリーにも力を入れた『メトロイド サムスリターンズ』といった人気シリーズの最新作も発売。特に『スーパーマリオギャラクシー2』や『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』はWiiリモコンの機能をフルに活かした傑作で、Wii後期を代表するタイトルとして高評価を博しました。
2012年以降:Wiiの終焉と、今後の任天堂への教訓
年が明けて2012年。Wiiの累計販売台数は1億2000万台を突破し、全世界累計にいたっては1億台に迫るほどの売上を記録しました。これはファミリーコンピュータの6191万台、スーパーファミコンの4910万台を大きく上回る数字で、任天堂が過去に発売した据え置き型ゲーム機では最大の売上でした。
しかし、この頃になるとWiiの発売タイトルが激減してしまいます。2012年に発売されたWiiソフトはわずか10本。『ドラゴンクエストX』なども含まれていましたが、まだ発売6年目であること、国内だけで1億2000万台以上も販売した大ヒットゲーム機であることを考慮すると、異様なほどソフトが発売されませんでした。参考までにこちらのデータをご覧ください。(グラフ挿入)赤い線がWiiの発売タイトル数の推移で、青い線がPlayStation 3、緑の線がXbox 360です。こうしてみると前半こそWiiがリードしていますが、後半から急激に失速していますよね。
ゲームソフトというのは本来、売れているゲーム機に多く発売されるものですが、Wiiの場合は違いました。「あれか?Wiiでは任天堂のソフトばかりが売れるから、どの会社も新作を出さなくなったのか?」
まあね、それも一理あるんですけどね。根本的な問題としてね、性能の低さというものがありました。当時のゲーム業界ではHD画質で遊ぶのが主流になっていましたが、WiiはHD画質には対応しておらず、描画能力も1世代前の水準にとどまっています。そうなると、同じ内容のソフトを複数のゲーム機向けに発売するマルチプラットフォーム展開を行わなくなるので、Wiiで新作を発売するソフトメーカーが激減してしまったんですね。「いやいや、Wiiのために作ればいいじゃん」
うーん、大作になるとね、お金がかかってしまうので、わざわざWiiのためだけに作ると言う選択を取ることができなくなっていたんですね。そもそも、Wiiはコアなゲームファン向けのタイトルが売れにくい市場環境だったりします。Wiiは確かに大ヒットしましたが、『Wii Sports』などの影響でホームパーティーを楽しむためのゲーム機という側面が強くなりすぎてしまい、多くの家庭ではWiiをリビングに固定していました。それゆえに長時間テレビを占領しがちな一人用の大作ゲームが売れにくい市場になってしまい、売れるゲームの種類が限定されてしまったんですね。
こうした問題点が積み重なったことで、Wiiの発売タイトルは激減。それに合わせて本体の販売台数も急激に減少していき、2012年の国内販売台数は約49万台。2013年においては7万台にまで減少してしまい、同年10月には本体の生産が終了しました。
先ほども話したように、Wiiは間違いなく大ヒットゲーム機です。しかし、発売から時間が経つごとに性能の低さが足を引っ張ってしまい、反省点も多いゲーム機でした。
時は流れて2021年:Wiiへの再評価と、今後の任天堂へ
時は流れ、2021年。任天堂の据え置き型ゲーム機はWii U、Switchと世代交代を繰り返し、Wiiは15年前のゲーム機となりました。15年と言えば、小学校低学年だった子供が就職をするほどの期間です。そのためか、近年は子供の頃にWiiを楽しめた方の声が目立つようになり、Wiiに対して好意的な印象が強まっています。
YouTubeのコメント欄でも「子供の頃友達とよく集まってスマブラXや星のカービィWiiを遊んだ」「Wiiの写真のやつでめっちゃパズルしてた」「当時のWiiのインターネットチャンネルでYouTube見てたの懐かしい」「Wiiは初めてのゲームだから思い出がある」など、Wii時代の思い出を書き込む方が増えてきています。
こういった現象を見て、僕はちょっと驚いています。私はWiiが現役だった頃もネット活動をしていたのですが、当時の評判は必ずしも良いとは言えませんでしたからね。たけしさんと比べて性能が低い点、SD画質である点、売れるソフトが限定されている点など、何かとやり玉に上げるケースが多く、任天堂ファンにとっても辛いものがありました。
任天堂としてもWiiの失速は大きな反省点だったようで、後継機のWii U、Switchでは徐々に改善していっています。本体の性能を引き上げたり、ソフトメーカーが移植しやすい設計にしたり、Switchではあれだけ売れない売れないと言われていたソフトメーカーのタイトルも売れるようになったので、Wii時代の反省は着実に活かされています。
任天堂は次世代のゲーム機を作る時、前世代機の反省を生かして作る事が多くありますが、今回Wiiの歴史を振り返ることで改めて実感しました。「おいおい、Wiiを踏み台のように扱うなよ」
あ、すみません。Wiiはね、今遊んでも面白いものばかりなので、今回の動画を見てね、思い出した方はぜひ遊んでみてください。隠れた良作も多いので発掘してみると面白いかもしれませんよ。
このチャンネルではSwitchなどの任天堂ゲーム機で発売されるおすすめソフトの紹介動画を中心に投稿しています。今回の動画をみて面白い、参考になったと思ったら高評価やチャンネル登録をお願いします。ご視聴ありがとうございました!バイバイキュー!