2024年におけるAIエージェントを活用したウェブスクレイピングの最良事例
- 2025-02-16

2024年におけるAIエージェントを活用したウェブスクレイピングの最良事例
2024年は、大規模言語モデル(LLM)とエージェントシステムの進歩により、ウェブスクレイピング業界が劇的に変化した年でした。この記事では、大規模なインターネットデータのスクレイピング方法と、人間のようにブラウザとインタラクトできるAIエージェント型ウェブスクレイパーの構築方法について、具体的な事例を交えながら解説します。
従来のウェブスクレイピングの課題
従来、多くのインターネットビジネス(特にアグリゲーターやeコマース企業)は、価格やオファーの競争力を維持するために、膨大なエンジニアリングリソースをインターネットからのデータスクレイピングに費やしていました。
これらの企業は通常、以下のような方法でスクレイピングを行っていました。
- ウェブブラウザの模倣: ウェブブラウザを模倣し、URLに単純なHTTPリクエストを送信します。
- HTMLの取得: レスポンスとして取得したHTMLを解析します。
- DOM要素の特定: 目的の情報を含むDOM要素を特定するために、ウェブサイトごとに特化されたパーシング関数を記述します。
この手法の問題点は以下の通りです。
- ウェブサイト固有の開発: 各ウェブサイトの構造が異なるため、スクリプトはウェブサイトごとに個別に作成する必要があります。
- 保守性の高さ: ウェブサイトの構造が変更されると、既存のスクリプトが動作しなくなる可能性が高く、継続的な保守が必要となります。
- 高コスト: スクレイピングシステムの構築と維持に多大なエンジニアリングリソースと費用が必要になります。
AIエージェントによるウェブスクレイピング革命
LLMとエージェントシステムの進歩により、ウェブスクレイパーの構築コストは劇的に削減されました。 今や、Upworkなどのフリーランスサイトで見られる多くのタスクを、従来の数分の時間と費用で実現できるAIエージェント型スクレイパーを構築することが可能です。
AIエージェント型スクレイピングのメリット
AIエージェント型スクレイピングは、以下のメリットを提供します。
- コスト削減: スクレイピングシステムの開発・維持にかかるコストを大幅に削減できます。
- 効率性向上: LLMの能力を活用することで、データ抽出の速度と精度を向上させます。
- 柔軟性の向上: エージェントシステムにより、複雑なウェブインタラクションにも対応できるようになります。
- 自動化: ウェブスクレイピングタスクを自動化し、人的リソースを解放します。
- 多様なユースケース: リードジェネレーション、競合価格監視、市場調査、求人情報の収集など、幅広い用途に適用できます。
AIエージェント型ウェブスクレイピングの3つのカテゴリー
ウェブスクレイピングタスクは、その複雑さによって3つのカテゴリーに分類できます。
カテゴリー1:公開されているシンプルなウェブサイト
WikipediaのページやB2B企業のウェブサイトなど、認証や支払いなどを必要としない公開されているシンプルなウェブサイトからのスクレイピングです。
従来、これらのウェブサイトの構造は動的であるため、カスタムビルドが必要でした。しかし、LLMは以下のような能力を持つことでゲームチェンジャーとなっています。
- 非構造化データからの構造化情報の抽出: LLMに大量の生のHTMLを入力すると、そこから有用な情報を抽出できます。
- OpenAIの構造化出力機能: 目的のデータ構造を指定することで、100%正確にその構造に従った出力を得られます。
具体例:
OpenAI
の構造化出力機能を使って、ウェブサイトのHTMLから特定のデータ(例:製品名、価格、商品説明)を抽出するスクリプトを作成できます。
カテゴリー2:複雑なウェブインタラクションを必要とするウェブサイト
ニュースサイトのように、コンテンツの閲覧にログインやサブスクリプションを必要とするウェブサイトや、ポップアップ広告などでスクレイピングを妨害するウェブサイト、CAPTCHAなどのアンチボット対策が施されているウェブサイトなどが含まれます。
これらのウェブサイトでは、人間のインタラクションをシミュレートする必要があります。Selenium
、Puppeteer
、Playwright
などのパッケージが役立ちます。これらのパッケージは、当初はウェブアプリケーションのQAテスト用に設計されましたが、AIエージェント型スクレイパーにも利用できます。
課題と解決策:
ウェブサイトとのインタラクションにおいて重要なのは、正しいUI要素を特定することです。例えば、検索ボックスにテキストを入力させたい場合、エージェントがウェブブラウザと通信して、どの入力フィールドが検索ボックスなのかを正確に識別する必要があります。
ここで役立つのがAgentQL
です。AgentQL
は、正しいUI要素と、目的の情報を含むDOMを特定するモデルを構築するのに役立ちます。これにより、Playwright
などのパッケージを使って、より正確なウェブインタラクションをシミュレートできます。
具体例:
AgentQL
とPlaywright
を使い、ログインを必要とするウェブサイト(例:求人情報サイト)から求人情報を取得するスクレイパーを構築する事例を紹介します。
AgentQL の活用
AgentQL
はChrome拡張機能として提供されており、ウェブサイトのUI要素を検査し、クエリを作成することができます。
- APIキーの取得:
AgentQL
ウェブサイトからAPIキーを取得します。 - クエリ作成: 取得したいデータ項目(例:求人タイトル、企業名、給与)を指定したクエリを作成します。
- デバッグとテスト: クエリが期待通りに動作するかをChrome拡張機能で確認します。
以下はAgentQL
を用いたクエリの一例です。
{
"jobPosts": [
{
"orgName": "",
"jobTitle": "",
"location": "",
"salary": "",
"contractType": ["Full-time", "Contract", "Part-time"],
"remoteType": ""
}
]
}
Pythonスクリプトによる自動化
AgentQL
とPlaywright
を用いたPythonスクリプトの例です。このスクリプトは、IdeaList
という求人サイトから求人情報を取得し、Airtableに保存します。
# ... (ライブラリのインポートと環境変数の読み込み) ...
async def login():
# ... (ログイン処理: AgentQLを使ってUI要素を特定し、Playwrightでインタラクション) ...
await page.goto(INITIAL_URL)
# ... (メールアドレスを入力) ...
# ... ("I'm not a robot" チェックボックスをクリック) ...
# ... (パスワードを入力してログイン) ...
# ... (ログイン状態をJSONファイルに保存) ...
async def main():
# ... (ログイン状態の読み込み) ...
while status:
# ... (AgentQLを使って求人情報データを取得) ...
# ... (ページネーション処理: 次のページボタンをクリック) ...
# ... (URLの変更を確認してループを継続) ...
# ... (Airtableへのデータ保存) ...
# ... (メイン関数の実行) ...
カテゴリー3:複雑な推論を必要とするウェブサイト
「来月メルボルンへの最安値のフライトを探して」や「予算と期間内に特定のコンサートのチケットを購入して」といった、曖昧でステップバイステップのワークフローが明確に定義されていないユーザーリクエストを処理する必要があります。
このタイプのワークフローは非常に複雑で、次のステップを決定するための推論と計画能力が必要です。
具体例:
MultiOn
などのプラットフォームは、このような自律的に動作するウェブエージェントの構築に焦点を当てています。
まとめ:AIエージェント型ウェブスクレイピングの可能性
この記事では、AIエージェントとLLMを活用したウェブスクレイピングの最良事例を紹介しました。 2024年の技術革新により、ウェブスクレイピングは劇的に容易になり、費用対効果も向上しました。 シンプルなウェブサイトから複雑なウェブサイト、そして高度な推論を必要とするタスクまで、様々なシナリオに対応できるようになりました。
この記事で紹介した技術や手法を試してみて、ウェブスクレイピングの可能性を最大限に引き出してみてください。 さらに深く学習したい、または具体的な質問がある場合は、ぜひコミュニティに参加して、詳細なステップバイステップのコード例や、経験豊富なAI開発者からのサポートを受けてください。
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