中小企業経営者の税務相談:退職金、融資、ポイントカード、政治家の脱税問題まで徹底解説!
- 2024-12-15
中小企業経営者の税務相談:よくある疑問を徹底解説!
こんにちは!脱税専門家の菅原です。今回は、中小企業経営者の方々から寄せられた税務に関する様々な質問に答えていきたいと思います。動画では、退職金、融資、ポイントカードの税務処理、さらには政治家の脱税問題まで、幅広いトピックを網羅しています。本記事では、動画の内容をより深く、そして分かりやすく解説していきます。
退職金のための融資は可能?
質問:60歳で退職金を目的に、政府系金融機関や信用金庫から融資を受けることは可能でしょうか?
結論:難しいです。
銀行は基本的に、融資したお金で事業を拡大・発展させ、返済に繋げることを期待します。しかし、退職金は事業の継続とは無関係であり、返済能力の担保が難しいと判断されるため、融資は困難です。
ただし、例外もあります。
- 経営者の方で、後継者がいる、もしくは事業継続の計画がある場合
後継者への事業承継や事業継続計画が明確であれば、銀行は融資を検討する可能性があります。後継者への事業引継ぎのための資金、事業拡大のための資金などが認められれば、退職金の一部を充当する可能性も出てきます。
- 事業継続のために退職するケース
例えば、会社の経営状況が悪化し、経営再建のために経営者が退職し、事業を立て直す計画がある場合。この場合、退職金ではなく、事業再建のための融資として認められる可能性があります。
要するに、「退職金のため」という理由だけでは、融資はほぼ不可能です。銀行は事業の継続性と返済能力を重視します。
小規模企業共済の貸付金の使い道は自由?
質問:小規模企業共済に加入していますが、貸付金の使い道は何でも良いのでしょうか?住宅ローンの頭金として利用できますか?
結論:可能です。
小規模企業共済は、積み立てた資金の一部を借りることができる制度です。借り入れの際に「資金使途」を記入する欄がありますが、実際には、その使途は厳格にチェックされません。 仮に「住宅ローンの頭金」と書いても、その後追跡調査されることはありません。
なぜなら、これはあくまでも自分の積み立てた資金を借りる行為だからです。銀行からの融資とは異なり、事業資金の拡大や返済能力の担保は関係ありません。
しかし、注意すべき点はあります。
- 不正な使途は避けましょう
「事業資金」以外の使途であっても、明らかに不自然な利用目的(例えば、ギャンブルなど)は避けましょう。税務調査が入った場合、不利益を被る可能性があります。
- 資金使途の欄は正直に記入しましょう
仮に「事業資金」と記入し、実際には住宅ローンに充当した場合、税務調査で問題となる可能性は低いです。しかし、嘘の記入は、後々問題になる可能性がありますので、正直に記入することをおすすめします。
ポイントカードのポイント利用は課税対象?
質問:自社で発行しているポイントが、値引き処理で課税対象になるという会計士さんの意見は正しいですか?
結論:ケースバイケースです。
ポイントは、会計処理の方法によって課税の扱いが異なります。
ケース1:本体価格からの値引き(課税)
- 例:1000円の商品を販売。顧客が200ポイント(200円相当)を持っている場合。
- 計算:1000円 − 200円 = 800円(本体価格)
- 消費税:800円 × 10% = 80円
- 最終価格:800円 + 80円 = 880円
この場合、ポイントは本体価格からの値引きとして処理されます。そのため、消費税の計算は値引き後の価格で行われるので、課税対象となります。
ケース2:最終価格からの値引き(非課税)
- 例:1000円の商品を販売。消費税込みで1100円。顧客が200ポイントを持っている場合。
- 計算:1100円 − 200円 = 900円
この場合、ポイントは最終価格からの値引きとして処理されます。消費税は既に含まれているので、ポイントの値引きは消費税には影響しません。したがって、非課税となります。
ポイントの会計処理は、ポイントをどのように使用するかによって課税の扱いが変わる点に注意が必要です。
政治家の脱税問題と国民の納税義務
質問:政治家が裏金で数千万を脱税していましたが、国民も確定申告しなくても良いのではないでしょうか?憲法第14条に照らしてどう思いますか?
結論:政治家の脱税と国民の納税義務は別問題です。
憲法第14条は「すべて国民は、法の下に平等である。」と謳っています。しかし、政治家の脱税行為と国民の納税義務は、直接的に関係ありません。
政治家が脱税行為を行っているからといって、国民が税金を納めなくても良いという理屈にはなりません。政治家の行為は、法の不平等な運用を問う問題であり、国民の納税義務とは別次元の問題です。
むしろ、政治家の不正な行為は、税務調査官の調査を厳しくする要因となり、結果として国民の税務調査がより厳しくなる可能性があります。
新規経営者年金制度の節税メリットは?
質問:取引銀行から「新金経営者年金」という商品を勧められましたが、経費処理できるなら節税メリットがあるでしょうか?
結論:節税には繋がりますが、デメリットもあります。
新金経営者年金は、毎月の積み立てを役員報酬として経費計上できます。そのため、法人税の節税効果が期待できます。しかし、重要なのは**「役員報酬は定期同額」**というルールです。
もし途中で積み立て額を変更した場合、その変更分は経費として認められず、損金不算入となります。そのため、節税効果は限定的です。
デメリット:
- 役員報酬は定期同額である必要があり、変更は難しい。
- 社会保険料も増加する。
- 損金不算入となる可能性もある。
これらの点を考慮した上で、加入を検討する必要があります。
マイクロ法人で低報酬:退職金の準備期間は?
質問:マイクロ法人で低報酬で運営していますが、近い将来退職金を目的として報酬を上げようと考えています。最低でも退職する何期前から準備が必要でしょうか?
結論:最低でも3年前から準備を始めましょう。
退職金は、役員報酬と連動して金額が決まるケースが多いです。そのため、退職金を増額したい場合は、退職前に役員報酬を段階的に上げていく必要があります。しかし、退職直前に役員報酬を大幅に増額すると、税務当局から不自然と判断され、退職金の減額につながる可能性があります。
税務署は、退職金を多く得るためだけに、直前に報酬を上げたという不正を疑います。そのため、最低でも3年前から、計画的に役員報酬を上げていく必要があると考えられます。
小さな会社の経費:自宅を事務所として使用する場合
質問:小さな会社を経営していて、自宅の一部を事務所として使用し、家賃の半分を会社経費にしています。中古住宅を購入し、自宅兼事務所にした場合、会社から個人への家賃支払いは可能でしょうか?また、個人として受け取った家賃は、所得税の対象になりますか?節税方法があれば教えてください。
結論:可能です。しかし、所得税の対象になります。
自宅の一部を事務所として使用し、会社に家賃を支払うのは可能です。しかし、個人として受け取った家賃は、不動産所得として所得税の対象になります。
メリット:
- 会社は経費計上できる。
- 社会保険料はかからない。
- 青色申告特別控除などの節税措置が利用できる。
具体的な節税方法
- 事務所部分に係る諸経費を、不動産所得の経費として計上する。
- 固定資産税、火災保険料などを按分して経費計上する。
このように、会社経費と個人所得の両面から節税対策を講じることで、税負担を軽減することができます。
この音声ファイルに基づいた記事は以上です。中小企業経営者の皆様にとって、少しでも参考になれば幸いです。