確定申告無視の末路:金額が少なくてもバレるカラクリと、2024年からの改正点
- 2024-12-15
確定申告無視の末路:金額が少なくてもバレるカラクリと、2024年からの改正点
確定申告を無視した人の末路、ご存知ですか?金額が少なくてもバレるカラクリが存在します。本記事では、長年確定申告を無視した人、副業で確定申告を無視した人、そして確定申告を無視する行為と罰則について、実例を交えながら詳しく解説します。さらに、2024年から改正される罰則についても触れていきます。
長年確定申告を無視した芸能人のケース
まずは、長年に渡り確定申告を無視した芸能人の実例を見ていきましょう。この芸能人は個人事業主として活動していましたが、2009年に法人化。しかし、2010年から2012年まで3年間、確定申告を全く行いませんでした。
結果、税務署から連絡が入り、過去3年間分の申告と納税を余儀なくされました。なぜ税務署は3年間も放置していたのでしょうか?それは、税務署が1年目に調査に入っても良いのですが、3年間待ってから調査した方が、コストパフォーマンスが良いと判断したからです。税務調査では一般的に3年間遡って調査を行うため、3年間放置して一気に調査を行う方が効率的だったのです。
驚くべきことに、この芸能人は2013年から2015年まで、再び3年間確定申告を無視しました。再び税務署から連絡を受け、過去3年間分の申告を行いました。しかし、この時は申告のみを行い、納税を怠りました。
その結果、税務署から滞納税の督促が来ます。それでも無視を続けた結果、2016年5月、この芸能人の銀行預金が差し押さえられ、滞納税が徴収されました。
しかし、問題はここで終わりません。2016年から2018年まで、さらに3年間確定申告を無視し続けた結果、2018年9月、国税局による本格的な税務調査が入りました。
調査の結果、過去4年間の領収書、衣装代、高級腕時計など、2000万円の費用を不正に計上していたことが判明。悪質な脱税として、重加算税が課せられました。
重加算税とは?
重加算税とは、本来の税額に追加して課せられる罰金のことで、無申告加算税とは異なります。無申告加算税にはいくつかの種類があり、期限後申告の場合、税務調査前であれば税額の5%、税務調査後であれば15%、50万円を超えた分は20%が課せられます。
この芸能人の場合、1回目と2回目の期限後申告には無申告加算税が課せられましたが、3回目の国税局調査では、領収書などの不正な計上(仮装隠蔽)が認められ、重加算税が課せられました。仮装隠蔽があった場合の重加算税は35%、さらに無申告だったため40%の重加算税が追加で課せられました。
つまり、税金の1.4倍を支払うことになったのです。延滞税は、期限から全期間分が課せられるため、4年前の分まで遡って課税されました。この結果、相当な金額の罰金を支払うことになったのです。
この芸能人のケースは、決して金額が大きくなければ大丈夫ではないことを示しています。たとえ少額であっても、複数年にわたって確定申告を無視し続けると、国税局による厳しい調査と、巨額の罰金に繋がることが分かります。
副業の確定申告を無視した科学者のケース
次に、副業の確定申告を無視した科学者のケースを見てみましょう。この科学者は研究機関に勤めながら、本が売れたり、テレビ出演をしたり、講演会を行ったりと、年間1億円を超える副収入を得ていました。
しかし、2006年から2008年までの3年間、確定申告を無視しました。理由は、源泉徴収されているから大丈夫だと考えていたためです。
源泉徴収と確定申告
源泉徴収とは、給与や報酬から税金を差し引いて納税することです。多くの会社員は、給与から所得税が源泉徴収されています。
しかし、この科学者の場合、源泉徴収は給与のみ。副業による収入からは源泉徴収されていませんでした。
テレビ局や出版社は、ギャラや印税から源泉徴収した税金を税務署に納付していますが、年に一度、支払調書を税務署に送っています。
税務署は、この支払調書で科学者がどれだけの収入を得ていたか把握しており、源泉徴収だけでは税金が足りないことを知っていたのです。
その結果、2009年8月、国税局による税務調査が行われました。過去3年間分の期限後申告と納税を余儀なくされ、無申告加算税が課されました。
この科学者の場合、悪質性は無かったため、重加算税は課されませんでした。しかし、副収入が大きかったため、追加で徴収された税金は1億6000万円にのぼりました。
このケースは、源泉徴収されているから大丈夫と安易に考えてはいけないことを示しています。高額な副収入を得ている場合は、必ず確定申告を行う必要があります。
複数の人間が関与した脱税スキーム
3つ目のケースは、2017年頃に仮想通貨で巨額の利益を得た「億り人」と、その人物に節税コンサルティングを行ったコンサルタントのケースです。
億り人は、8000万円の利益を得たにも関わらず、4400万円の納税を逃れるために、コンサルタントに8000万円をコンサルティング料として支払いました。そして、コンサルタントは現金6000万円を億り人に返却しました。
この結果、億り人の利益は0となり、確定申告をする必要が無くなりました。しかし、この行為は明らかに脱税です。
さらに、コンサルタントは、関係会社口座に8000万円を入金していたため、このお金の流れを隠蔽することで、自分自身も確定申告を免れようとしていました。
反面調査で発覚
この脱税スキームは、コンサルタントが複数の億り人に同じ手口で節税コンサルティングを行っていたために、税務署の反面調査によって発覚しました。反面調査とは、調査対象者だけでなく、その取引先や関係先にも調査が入るものです。
結果、億り人は、コンサルティング料として支払った8000万円が経費として認められず、4400万円の納税義務が残りました。さらに、コンサルタントに支払った2000万円も戻ってこないため、税金と詐欺のダブルパンチを食らいました。
コンサルタントは、脱税の容疑で逮捕され、有罪判決を受けました。
無申告でも大丈夫なケース
ここまで、確定申告を無視した結果をみてきましたが、必ずしも全ての無申告が問題になるわけではありません。
- 年収2000万円以下の会社員
- パートやアルバイトで1箇所で勤務している人
- 年金が400万円以下の受給者
これらの人は、年末調整が行われるため、確定申告は不要です。
個人事業主の場合も、利益が税金用語でいう「合計所得」が48万円以下であれば、無申告で問題ありません。住民税も考慮すると、大都市の場合は45万円以下、地域によっては42万円や40万円以下となるケースもあります。
金額が少なくてもバレる可能性
金額が少額でも、バレる可能性があるケースがあります。
- 支払調書: 副業などで支払調書が発行されている場合、税務署は収入を把握できます。
- 情報提供: 知人や関係者からの情報提供で税務署が調査を開始することもあります。
金額が少なくても、税務調査に入られれば、過去3年間分の確定申告を迫られる可能性があります。
2024年からの改正点
この芸能人の事件がきっかけとなり、無申告に対する罰則が強化されました。2024年からは、税務調査後の加算税が300万円を超えた部分について30%に引き上げられ、さらに繰り返し無申告を行った場合は、加算税がさらに10%増加します。
重加算税についても、繰り返し無申告を行った場合は、加算税が10%増加します。
つまり、300万円を超えた部分の加算税は最大50%にも達する可能性があるのです。
まとめ
確定申告は、国民の義務です。たとえ金額が少なくても、確定申告を無視すると、税務調査や高額な罰金につながる可能性があります。本記事で紹介したケースを参考に、正確な確定申告を行いましょう。不明な点があれば、税理士などに相談することをお勧めします。
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