西武鉄道の恐ろしい終電体験記:飯能発阿賀野行き最終列車の旅
- 2024-12-27
西武鉄道の恐ろしい終電体験記:飯能発阿賀野行き最終列車の旅
この記事では、西武鉄道の飯能駅から阿賀野駅に向かう最終列車に乗車し、その過酷な体験を余すことなくレポートします。深夜の終電、秘境駅、そして予想外の展開…忘れられない一夜をお届けします!
東京の喧騒から、静寂の終電へ
2024年12月11日、21時45分。東京・池袋駅に立っていました。今日の目的は、西武鉄道池袋線の終電、飯能発阿賀野行きの乗車体験です。タイトルやサムネイルにもあるように、これは決して普通の終電ではありません。
なぜこの終電が「恐ろしい」のか?
この列車の何が「恐ろしい」のか、先に説明しておきましょう。
- 阿賀野駅は、池袋線の正式な終点ではあるものの、系統は飯能駅で分離されています。 つまり、飯能駅から阿賀野駅まで直通する列車は極めて少ないのです。
- この飯能発阿賀野行きは、一日一本の終電限定運行! まさにレア中のレアな運行形態です。
つまり、この列車に乗り遅れたら、深夜の飯能駅で途方に暮れることになるのです…まさに「恐ろしい」終電なのです。
4000系車両:レトロな車内設備
23時30分頃、東飯能方面から4000系車両が到着。1988年デビューの少し古い車両ですが、これがまた味があるのです。
- 行先表示は幕式! 最新のLED式とは異なり、かつての鉄道の風情を漂わせる幕式表示。たまに見られる、レアな行先表示に胸が高鳴ります。
- 半自動ボタン式ドア! 懐かしい半自動ドア。ボタンを押してドアを開ける、その動作一つ一つにノスタルジーを感じます。
- ボックスシートとトイレ完備! ボックスシートが主体で、さらにトイレまで完備!長距離の乗車でも快適さを確保している点に驚きました。
数年前までは、池袋発長瀞行きの運用に就いていたとのこと。その歴史を感じさせる車内設備は、この終電の旅をさらに特別な時間にしてくれました。
飯能駅からの乗客:そして、発車
23時40分頃、4番線に池袋23時発の武蔵51号が到着。その3分後には1番線に池袋22時52分発の急行が到着。両列車からの乗客が乗り継ぎ、阿賀野行きの終電は発車時刻を迎えます。
飯能駅から直接乗車する乗客は少なく、池袋方面からの乗り継ぎが大半でした。終電ならではの乗降確認の丁寧さ。そして23時45分、1分遅れで飯能駅を発車しました。
飯能から阿賀野へ:車窓からの風景
飯能駅を発車すると、すぐに大きく左にカーブ。池袋方面の線路と分岐し、JR八高線と合流します。東飯能駅に到着。八高線八王子方面は既に運転終了。反対側は、小河原行きが1本だけ残っているようでした。
東飯能駅を発車すると、再び大きな左カーブを越え、進路を西へ変えます。少し走ると、進行方向右側に武蔵野車両基地が見えてきました。車両基地はもちろん、研修所も隣接し、西武車両の点検や修理が行われています。
そして到着したのは、小河原駅。駅周辺にはニュータウンが広がり、乗客の半分くらいが下車しました。
小河原駅までは沿線に建物がそこそこありましたが、武蔵野大病院を過ぎると景色が一変。一面に山が広がり始めます。地図を見ても、一面緑色。阿賀野駅に着く頃にはどんな風景が広がっているのか、ワクワク感が高まります。
終着駅、阿賀野:静寂と絶望の狭間で
23時45分頃発車した飯能駅を出発してから21分後、終点の阿賀野駅に到着。
駅に降り立った瞬間、冷たい空気が鼻を突き抜けました。見上げれば満天の星空。しかし、その美しさの裏には、不安を感じさせないわけでは無かった。
本日の飯能方面からの運行は終了。残された選択肢は、「帰路につく」ことのみ。目の前には、「危険 道迷い注意」「クマ注意 目撃情報あり」 などの張り紙が…。
阿賀野駅周辺の状況:何もない…
駅前の様子は、まさに「何もない」。Googleマップで周辺のホテルを検索してみても、結果は「ホテルありません」。最寄りのホテルまで2.7㎞、徒歩38分。もちろん、ネットカフェもカラオケもない。コンビニですら、最寄りが6.2㎞、徒歩1時間23分…。
これは、完全に「野宿確定」です。そして、食料難も…。
本日の宿泊先は、これしかありませんでした。
ベンチホテル!
夕食は、一日我慢することにしました。
ベンチホテル探訪:驚きの広さ!
チェックインの前に、駅周辺を散策してみました。駅前は住宅街といった感じで小さな集落が広がっています。その集落の後ろには、小河原川が流れていました。
小河原川を渡ると、国道299号線が見えてきます。長野県茅野市諏訪湖方面から群馬県上野村、埼玉県秩父市などを経て、埼玉県入間市まで約205㎞を繋ぐ道路です。
この道をひたすら進んで行けば、スマホで確認したホテルにたどり着けます。逆に歩けば飯能市街地にも行けます。しかし、深夜でも交通量が多く、大型トラックが多い上、一部歩道がない区間もあるようなので、無理に歩かず、ベンチホテルに宿泊した方が安全です。
阿賀野駅の入口の交差点はT字路ですが、T字路の上部もちょっとした道になっていて、進んでいくと空き地に出ます。かつては神社だった場所で、数年前に鳥居があったとか。駅の方へ戻っていくと、誰かが米を落としていったのでしょうか。一瞬笑ってしまいましたが、恐らく雪解け防止の物でしょう。
アガノ駅:脇水と線路の歴史
駅に戻ると、「阿賀野脇水」の看板を発見。地下道をくぐるその看板には、強い興味を惹かれました。正確には地下道というよりは、線路をくぐる通路といった感じです。スマホのライトで照らしているから視界は確保できていますが、備え付けの照明は全くなく、ライトを消したら真っ暗。
足場を抜け、少し坂を登ったところに脇水がありました。その水が出る角度や勢い、音からして、まるで「ションベン小屋」みたいですね。
この脇水の後ろには、暗くて全く映りませんが、手前には墓地、奥には大きな山があって、上空から見ると、切開跡の採掘が行われているのがわかります。
これは、池袋線の終点と飯能駅の構造に関係していて、1915年に西武鉄道の前身である武蔵野鉄道の手により、池袋―飯能間の開通したものです。武蔵野鉄道としては、これ以上の延伸は考えていなかったそうですが、株主であった旭セメントが阿賀野の切開跡を輸送するために阿賀野まで線路を伸ばしてくれと要望し、延伸工事を行うことになったのです。
飯能駅からそのまま伸ばすのは、入間川や天覧山が邪魔になり困難だったため、グルッとスイッチバックを用いて迂回するように線路が敷かれたというわけです。
阿賀野駅を見てみると、現駅の3本の線路の横に倍くらいの空き地がありますが、かつてはここに線路が敷かれていて、貨物列車の入れ替えなどが行われていたのではないでしょうか。
ベンチホテル:チェックインとルームツアー
地下道が不気味だったせいか、ベンチホテルを見た瞬間に安心感がこみ上げてきました。それでは、チェックイン、ルームツアーをしましょう。
素材は木製で厚みは36㎝とかなり分厚い。叩いた音は結構軽いので、中が空洞なんでしょうね。
縦幅は驚きの5mを超える6.5m。横幅は54㎝。カップルどころか、家族で泊まれますね。一人だと完全に持て余しますが、広いことには越したことはありません。幅は一般的なベンチと比べると10㎝以上広いので、かなりゆったりとしています。屋根があり、端には壁というには心もとないですが、ちょっとした風除けがあり、ある程度のプライバシーは確保できます。
ベンチホテル阿賀野駅前店には、ファミリールームのほかシングルルーム、さらに別館まで設けられており、シングルは縦180㎝、横40㎝と標準的。別館は縦150㎝、横34㎝とやや小さめですが、満天の星や月を楽しめます。どちらを選ぶかはあなた次第。
その他の設備としては、ミニバー(ポッカ、サッポロ、アサヒ、サントリー各2本)、電話ボックス、ポストに加え、コインロッカー2台、手洗い場まで完備。ベンチホテルとしては申し分ない設備と言えるのではないでしょうか。
阿賀野駅発車:そして、帰宅へ
それでは、おやすみなさい。
おはようございます。現在は4時12分。先ほど照明の点灯が解除されました。一泊した感想としては、寝心地はもちろん申し分なし。縦横ともに余裕があり、のびのびと寝られました。もう一泊しても良いかなと思うくらいでした。気温は1℃でしたが、横に壁があったおかげで、ある程度防寒でき、快適でした。これはあくまでも私の感覚ですので、間違っても鵜呑みにしないでくださいね。
事前に用意しておいた朝食をいただき、チェックアウト。始発に乗って帰宅します。
阿賀野駅は今回初めて降りたのですが、構内踏切があることに驚きました。踏切から電車を見上げるこの視点、かっこいいですよね!
昨晩終電で使われた編成が折り返し、阿賀野始発の飯能行きになるようです。発車時刻は5時ちょうど。この始発がなかなか考えられていて、東飯能駅に5時18分に到着するのですが、JR線ホームに停車しているのは小河原始発の始発で、JRから西武への乗り換えはもちろんのこと、西武からJRへの乗り継ぎも考慮されていて、6分間の停車時間が設けられており、八王子駅に6時前に到着でき、さらに、終点飯能駅では対面1分乗り換えで急行池袋行きに乗り継ぐことができて、池袋には6時7分に到着できます。
ということで、今回は西武鉄道の恐ろしい終電、飯能発阿賀野行き最終列車のご紹介でした。もしよろしければチャンネル登録と高評価をぜひぜひお願いします!最後までご視聴いただきまして、誠にありがとうございました。