サウナに閉じ込められたらどうなる?意外な危険性と驚くべき事実

サウナに閉じ込められたらどうなる?意外な危険性と驚くべき事実

サウナに閉じ込められたらどうなる?意外な危険性と驚くべき事実

はじめに:サウナの癒しと危険性

フィンランド発祥のサウナ文化は、現代社会のストレスから解放される癒やしの空間として、世界中で人気を博しています。「すべての人は平等に作られているが、サウナ以上に平等な場所はない」というフィンランドのことわざがあるように、サウナの中では地位や名声といった社会的な雑音から解き放たれ、静かに自分自身と向き合うことができます。現代社会に疲れた人々にとって、サウナは心身のリフレッシュに役立つ貴重な時間と言えるでしょう。

しかし、サウナの心地良さを享受する際には、忘れてはならない重要なことがあります。それは、サウナの安寧は、時間制限があるからこそ成り立つという事実です。もし、サウナの扉が壊れて何十分、何時間もの間サウナに閉じ込められたらどうなるのでしょうか? 単なる「リラックス」の空間から一転、命の危険に直面する事態に陥る可能性も否定できません。

本記事では、サウナに閉じ込められた場合に何が起こるのか、その危険性や具体的な事例、そして安全にサウナを楽しむための対策について詳しく解説します。

サウナの歴史と現代における人気

サウナの歴史は長く、少なくとも数千年、場合によっては1万年の歴史を持つと言われています。特にフィンランドのサウナは有名で、古くから出産や死化粧をサウナで行っていたことなどからも、フィンランド文化はサウナを中心にして発展してきたと言っても過言ではありません。

近代の日本においても、サウナは何度か流行しており、ここ数年は「第三次サウナブーム」と呼ばれるほど多くの人がサウナに熱中しています。SNS上では「サウナは健康に良いのか、悪いのか?」といった議論が活発に行われていますが、果たしてサウナの真実は一体どのようなものでしょうか?

サウナとデトックス効果:その真偽

サウナで汗をかくことで、体内の毒素が抜けるというデトックス効果が良く言われています。デトックス効果という言葉が用いられることもありますが、これに関する根拠は薄いと言わざるを得ません。

サウナで汗をかくのは、体が体温を下げようとするためです。この時の汗は99%以上が水で構成されており、その他の物質はごくわずかしか含まれていません。 「毒素」が何を意味するのかは不透明な部分がありますが、論文によれば2リットルの汗に含まれる揮発性有機汚染物質は0.017g程度と、ほぼ無視できる量であると結論付けています。

そもそも、体から不要な物質を取り除くのは肝臓や腎臓の役割であり、発汗は本来その機能とは無関係です。

サウナの健康効果:裏付けのある効果と不明な点

デトックス効果の科学的根拠は薄いものの、サウナの健康効果は多くの論文で支持されており、その効果の範囲は多岐に渡ります。

  • 高血圧、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患、心停止のリスクを有意に低下させる
  • ストレスや不安感の軽減による精神的な健康の確保
  • 認知症の予防効果
  • 運動後の回復の促進

などが挙げられます。

しかし、サウナに入ることによってこれらの効果がなぜ発現するのかは、未だ十分には解明されていません。仕組みがわかっていないのに原因と結果の関係があると結論づけることは、時に重大な誤解を招くことになります。

有名な例として、アイスクリームの販売量と溺死する人の数の関係が挙げられます。両者は非常に強く関連していますが、アイスクリームが溺死を引き起こすわけではありません。どちらも気温が高いという共通の要因があるだけです。サウナと健康効果の関係も、同様に原因と結果の関係ではない可能性が残されています。

サウナに閉じ込められた場合の危険性:具体的な事例と症状

サウナの健康効果を謳う一方で、時間制限を無視した利用は非常に危険です。

  • 2017年チェコでの事例: サウナの扉の取手が取れてしまい、中にいた母子が亡くなった事故が発生。
  • 2011年フィンランドでの事例: 81歳の男性がサウナ中に急激に体調が悪くなり、自力で脱出できなくなった事例が存在。

これらの事例は稀ではありますが、サウナ利用者の膨大さを考えると、決して無視できるものではありません。サウナによって温度や湿度といった環境は様々であり、閉じ込められた時のあなたの体調や病歴によっても結果は大きく変わります。

サウナに閉じ込められた時の体の反応:熱中症から死に至るまで

30分程度でも命に関わるような事例が多々あることから、サウナのような高温環境に人体は長く耐えられないことは明らかです。サウナに閉じ込められた場合、最初に経験する異常は熱中症です。

熱中症とは、体内の体温調節機能が追いつかなくなることで発生します。いくら汗をかいて血管を拡張しようとも、体温の上昇が抑えられなくなります。詳細なメカニズムは不明ですが、これだけでも脱水症状に陥る可能性があり、非常に危険です。

サウナ内は地球上では滅多に経験できない高温環境です。そのため、熱中症の症状だけでなく、様々な合併症を引き起こします。

  • 全身の火傷: 熱中症に伴う循環器系の機能低下と血圧の低下により、皮膚への血流が極端に減少。皮膚の温度が下がらず、やがて壊死します。
  • 多臓器不全: 筋肉を構成するタンパク質などが血流に乗り、心臓への負担が急増。これを横紋筋融解症と呼び、呼吸困難や意識障害を引き起こします。最悪の場合、急性心不全による多臓器不全に至り、死に至る可能性があります。

ある事例では、15分から30分間サウナに閉じ込められ、救出後翌日には下半身や腕を中心に赤みと水ぶくれが目立つようになり、最終的には赤黒く斑点模様が広がり、治療の甲斐なく翌日死亡した例も報告されています。

高温環境下では、皮膚だけでなく、皮下脂肪や筋肉でも壊死が起こることがあります。特に筋肉の壊死は危険度が跳ね上がります。

サウナに放置された場合の更なる危険性:脱水とミイラ化

もし、多臓器不全を引き起こし、万が一にも助かる見込みがなくなった後もなおサウナに放置されたらどうなるのでしょうか?

皮膚からは水分が蒸発し続け、皮膚が極端に乾燥状態に陥ります。すると、皮膚の最も外側の部分である表皮の大部分が自然と剥がれ落ちるようになります。

別の事例では、サウナで3日ほどたって発見された遺体は、全身が真っ黒に変色し、ミイラ化していたという報告があります。しかし、現実のミイラとは異なり、腐敗も同時に進むため、綺麗とは言えない状態であったとのことです。

まとめ:サウナを楽しむための注意点

サウナは数十分でも、場合によっては容易に死に至る可能性があります。一般的には健康に効果があるとはいえ、過ぎたるはなお及ばざるが如し。サウナに限らず、体に何らかの作用がある以上、用法・用量を守らない場合は、体に悪影響を及ぼすことは周知の事実です。

サウナの場合、10分程度を大きく超えることは推奨されていませんし、十分な水分補給も必須です。現代社会だけでなく、この世から解放されるような事態にならないよう、いくつかの注意点を守りながらサウナを楽しみましょう。

しっかりとした付き合い方をすれば、サウナは素晴らしいものに変わりはないのですから。

今回の「バイエンス」はここまで。行ってらっしゃい!