CES 2025で発表されたNVIDIAのAI製品・ツールを徹底解説! GeForce RTX 50シリーズからNVIDIA ACEまで

CES 2025で発表されたNVIDIAのAI製品・ツールを徹底解説! GeForce RTX 50シリーズからNVIDIA ACEまで

CES 2025で発表されたNVIDIAのAI製品・ツールを徹底解説! GeForce RTX 50シリーズからNVIDIA ACEまで

2025年1月上旬にアメリカで開催された世界最大級のテクノロジー見本市、CES 2025。世界最大の半導体企業であるNVIDIAは、最新のAIブームを支える革新的なAI製品・ツールを多数発表しました。本記事では、CES 2025で発表されたNVIDIAのAI製品・ツールを4つの章に分け、分かりやすく解説していきます。

第1章:GeForce RTX 50シリーズ - 生成AIに特化した次世代GPU

NVIDIAはCES 2025で、生成AIに特化した次世代チップ「Blackwell」を搭載したGPU、GeForce RTX 50シリーズを発表しました。このシリーズは、一般消費者向けに生成AIを積極的に活用したいユーザーにとって、必須のGPUと言えるでしょう。

GeForce RTX 40シリーズの後継機として、性能の大幅な向上を実現しています。RTX 5090、RTX 5080、RTX 5070 Ti、RTX 5070の4つのモデルが発表され、それぞれBlackwellアーキテクチャのメリットを最大限に活かしています。

1. BlackwellのAI機能:第5世代TensorコアとDLSS 4

Blackwellは、NVIDIAが開発した生成AIに特化した最新のAIチップです。一般消費者向け製品ではGeForce RTX 50シリーズで初めて採用されました。

Blackwellには、AI処理を高速化する第5世代Tensorコアが搭載されています。この高性能コアにより、AI関連タスクの処理速度が劇的に向上しています。

さらに、DLSS 4というテクノロジーも搭載されています。DLSS 4は、ゲームの動きをカクカクさせずに滑らかにするだけでなく、操作と画面の反応のずれを少なくする効果があります。さらに、低解像度の画像をAIが自動で高解像度で美しい映像に変換してくれる機能も備えています。

もう一つの重要な機能として、第4世代レイ トレーシング コアがあります。これは光の反射や屈折をリアルタイムでシミュレーションする専用装置で、前世代の第3世代と比較して性能が向上しています。より現実的な光の反射や屈折、影の表現が可能になり、リアルな映像表現を実現しています。

2. RTX 50シリーズの性能比較:AI TOPSとメモリ構成

RTX 50シリーズは、RTX 5090、RTX 5080、RTX 5070 Ti、RTX 5070の4モデルが用意されています。これらは全てBlackwell、DLSS 4、第5世代Tensorコア、第4世代レイ トレーシング コアを搭載していますが、AI TOPS、メモリ容量、メモリ帯域幅、NVIDIAエンコーダーとデコーダーの数に違いがあります。

  • AI TOPS: AIの処理性能を測る指標で、数値が大きいほど性能が高いです。
  • メモリ容量: 大量のデータを一時的に保存し、AIなどを効率的に処理するために重要です。容量が多いほど、より大きなモデルを扱うことができます。
  • メモリ帯域幅: 大量のデータを高速に処理するために重要です。帯域幅が広いほど、データの読み書き速度が速くなります。
  • NVIDIA エンコーダー/デコーダー: データの変換と処理を行う機能です。数が多ければ、全体的な性能が向上します。

これらの数値は、RTX 5090、RTX 5080、RTX 5070 Ti、RTX 5070の順に性能が高くなっています。 すべてのモデルで、前世代のGeForce RTX 40シリーズと比較してAI TOPSが約2倍に向上しています。

3. RTX 50シリーズの価格と発売日

各モデルの価格は、性能の高い順に以下の通りです(日本円は為替レートによって変動します)。

  • RTX 5090: 1999ドル(約393,800円〜)
  • RTX 5080: 999ドル(約198,800円〜)
  • RTX 5070 Ti: 749ドル(約148,800円〜)
  • RTX 5070: 549ドル(約108,800円〜)

海外のNVIDIA公式ページによると、RTX 5090とRTX 5080は2025年1月30日に、RTX 5070 TiとRTX 5070は2025年2月に発売予定です。

第2章:Project Chimera - 小型スーパーコンピューターでAI開発を加速

NVIDIAは、CEOのジェンスン・フアン氏が片手で持てるほど小型のスーパーコンピューター、Project Chimeraを発表しました。AI研究者やデータサイエンティスト向けの製品で、価格は3000ドル。2025年5月に販売開始予定です。

Project Chimeraは、ARMベースのCPUとNVIDIAのGPUを組み合わせた新しいチップ、「GB100 Grace Hopper Blackwell スーパーチップ」を搭載しています。このチップには、生成AIに特化した次世代チップBlackwellが搭載され、超高速・超大量の計算が可能です。さらに、128GBの低電力メモリと4TBのSSDを内蔵し、このクラスで最高の電力効率と性能を実現しています。

Project Chimeraは、LinuxベースのNVIDIA DGX OSを搭載し、ローカル環境で最大2000億パラメーターの大規模言語モデルを実行できます。さらに、2台接続することで、最大4050億パラメーターのLLMまで実行可能になります。

第3章:NVIDIA Omniverse Replicator - 自動運転やロボット開発を加速させる世界基盤モデル

CES 2025で発表されたNVIDIA Omniverse Replicator(正式名称はCosmos世界基盤モデル)は、自動運転車やロボットなどに現実世界の学習プラットフォームを提供する、強力なツールです。2000万時間のロボット工学と運転データを含む、膨大なデータを使ってトレーニングされており、テキスト、画像、ビデオなどの入力とロボットセンサーやモーションデータの組み合わせから物理ベースの動画を生成できます。

NVIDIAの公式ページでは、Omniverse Replicatorを試せるデモも公開されています。デモページで「テキストトゥワールド」を選択し、物理法則に基づいた現実世界で動くロボットなどのイメージをテキスト入力して「ジェネレートニュービデオ」ボタンを押すと、動画が生成されます。このデモは無料で20回ほど試すことができます。

開発者は、NVIDIAの開発者コミュニティでNVIDIAのライセンスのもと、Omniverse Replicatorを自由に利用できます。すでに、ワンエックスなどのロボット企業で活用されており、自動運転やロボット工学分野の開発コストを大幅に削減し、開発を加速させることが期待されています。

第4章:NVIDIA ACE for Games - ゲーム内のAIキャラクターを進化させる

NVIDIAは2023年に発表した、生成AI技術を用いてオープンワールドゲームなどに登場するNPCキャラクターに生命を吹き込む、会話型NPC技術「NVIDIA ACE」をCES 2025でさらに進化させました。

CES 2025において、NVIDIAはACEを会話型NPCから、AIを使って人間のプレイヤーのように認識・計画・行動する自律型ゲームキャラクターへと拡張したと発表しました。

韓国のゲーム開発企業Kraftonと協力し、プレイヤーと音声で直接会話できるAI搭載NPCを実現する「Co-playable Character System」を発表しました。このシステムは、Kraftonの子会社であるPUBG Studiosが発売するゲーム「PUBGバトルグラウンズ」に導入され、AIキャラクターがユーザーの指示に従ってアイテムの探索や敵への対応を行う様子が収録されたデモ動画が公開されました。

NVIDIAによると、今後中国のゲーム企業NetEaseが発売するゲーム「Naraka: Blade Point」など、他社のタイトルでもNVIDIA ACEの技術が導入される予定です。

まとめ:NVIDIAのAI技術が様々な業界に影響を与え続ける

CES 2025で発表されたNVIDIAのAI製品・ツールは、GeForce RTX 50シリーズの高性能GPUから、Project Chimeraの小型スーパーコンピューター、Omniverse Replicatorの世界基盤モデル、そしてACE for Gamesの革新的なAIキャラクター技術まで、多岐にわたります。

NVIDIAは今回紹介した以外にも、トヨタと自動運転技術関連での連携を発表したり、AIスタートアップのBlack Forest Labsと共同で画像生成AIの開発を行うなど、様々な業界との連携を発表しています。2025年のNVIDIAは、多くの業界に影響を与え続ける存在となるでしょう。

本動画で紹介した記事やツールのリンクは、動画の概要欄に貼ってあります。AIツールに興味のある方は、ぜひ自分の手で試してみてください。

それでは、次回の動画でお会いしましょう!