NewJeansとADORの法的紛争:活動停止と法的措置の全貌
- 2025-01-19

NewJeansとADOR:泥沼化する法的紛争の全貌
2024年末から続く、K-POPガールズグループNewJeansと所属事務所ADOR(Ador)間の法的紛争は、ますます複雑化し、業界全体に衝撃を与えています。 本記事では、活動停止、訴訟、ビザ問題など、この紛争の全貌を徹底的に解き明かします。
NewJeansの活動停止とADORとの契約解除
2024年11月28日、緊急記者会見でADORは、NewJeansメンバーの活動停止を発表しました。その理由は、メンバーの活動停止に繋がったADORとNewJeansの契約問題です。 ADORは、メンバーであるハニが所属事務所ADORとの専属契約違反を犯したと主張しています。
具体的には、ADORは、所属アーティストであるNewJeansのメンバー、ハニが、契約上の義務違反を理由に、契約を解除すると発表しました。ADORによると、ハニは所属事務所であるADORとの間で結んだ専属契約において、14日以内に違反行為を是正しなかったため、契約が解除されたとのことです。 この発表により、NewJeansの活動は突如停止することになりました。
この決定に対し、ADOR側は、ハニは契約違反を犯していないと主張し、2024年12月5日、ソウル中央地方裁判所に専属契約有効確認訴訟を提起しました。 ハニ側は、NewJeansとADORと共に歩んでいくという姿勢を維持しており、不必要な誤解を解消するために努力を続けると表明しましたが、ADOR側の姿勢は変わらず、12月6日、ハニは契約違反がない事実を適切に主張できておらず、会社支援と投資があったため、解決策が見つかるまで契約解除は不可能だと主張し続けていると発表しました。
契約解除後の展開とADORによる法的措置
ADORは、ハニとの契約解除後、2025年1月9日、公式アカウントを通じて、1月10日午後7時にアップロード予定だったNewJeansのコンテンツ公開を中止すると発表しました。この措置は、法的紛争の影響によるものと推測されています。
さらに、ADORは、ハニだけでなく、他の関係者にも法的措置を取っています。2025年1月10日、ソウル西部地方裁判所第12民事部で、ADORは、ハニが契約を解除したという一方的な主張ではなく、民事訴訟を起こしました。この訴訟では、ADORと、ADORに所属するアーティストであるNewJeansのメンバーハニに対して損害賠償請求が行われています。
ADORによる訴訟の主な主張点:
- 契約違反: ハニがADORとの専属契約に違反した。
- 損害賠償請求: 契約違反により発生した損害の賠償を求める。
ハニのビザ問題と不法滞在疑惑
事態はさらに複雑化し、ハニが韓国で不法滞在状態にあるという情報が流出しました。 韓国法務省ソウル出入国管理庁は、ハニの不法滞在に関する通報について、第三者である特定外国人の出入国管理法違反などの個人的な詳細については回答できないと発表しました。
ハニはオーストラリアとベトナムの二重国籍者であり、韓国で活動を続けるためにはE-6ビザ(芸術興業ビザ)の延長が必要でした。しかし、ADORとの契約解除により、ビザの延長が困難になった可能性があります。
ハニのビザ問題のポイント:
- 二重国籍: オーストラリアとベトナムの二重国籍を持つ。
- E-6ビザ: 芸術興業ビザの延長が必要。
- 契約解除の影響: ADORとの契約解除がビザ延長に影響した可能性。
このビザ問題とADORとの契約問題が絡み合い、ハニが不法滞在状態に陥ったという疑惑が浮上しているのです。 これは、ADORとハニの法的紛争の深刻さを改めて示すものと言えます。
ADORと関連会社による訴訟:Irriitとの類似性疑惑と巨額の損失
事態はさらに複雑さを増しています。ADORの関連会社であるSource MusicとBelift Labは、ハニが所属するアイドルグループと、ハニが別途契約していたIrriitとの間に、デビューコンセプトや衣装などが酷似しているとして、Irriitを相手に20億ウォン(約2億円)規模の損害賠償訴訟を提起しました。Irriit側も反論し、20億ウォン規模の民事訴訟をADOR側へ提起。
Source MusicとBelift Labの主張は、IrriitがNewJeansをコピーし、巨額の損失を与えたというもの。一方、Irriit側は、NewJeansとの類似性は事実ではなく、契約違反はなかったと主張しています。この訴訟は、K-POP業界における知的財産権の保護の重要性を改めて問いかけるものとなっています。
Irriitとの類似性疑惑と訴訟のポイント:
- コンセプト、衣装等の類似性: Irriitのデビューコンセプトや衣装などがNewJeansに類似しているとの主張。
- 巨額の損失: 広告キャンセル等による約2億円の損失発生。
- Irriit側の反論: 類似性と契約違反を否定。
ADORによる仮処分申請と今後の展開
事態の収拾を図るためか、ADORは2025年1月13日、ソウル中央地方裁判所に仮処分申請を行いました。この申請は、NewJeansのメンバーがADORの同意なく広告主と接触したり、撮影を行ったりすることを防ぐことを目的としています。
この仮処分申請は、ADORとNewJeans間の法的紛争が、単なる契約問題にとどまらず、メンバーの独立行動の抑制や、企業のブランド価値を守るための措置へと発展していることを示唆しています。
仮処分申請のポイント:
- 目的: NewJeansメンバーの独断行動を防ぐこと。
- 内容: 企画会社との契約禁止、広告契約締結禁止など。
- 背景: ADORとNewJeans間の信頼関係の崩壊。
業界への影響と今後の展望
ADORとNewJeansの法的紛争は、K-POP業界全体に大きな影響を与えています。 一方的な契約解除、ビザ問題、多額の損害賠償請求など、この紛争は、業界の契約慣習や知的財産権保護、そしてアーティストの権利に関する議論を巻き起こしています。
仮に数年後にADORとNewJeansの契約が有効だと判決が出たとしても、その時点ではすでに状況回復が不可能な状態になっている可能性が高いとADORは判断している様子です。 そのため、ADORは仮処分申請を通して、早期に混乱を収拾し、企業価値を守る必要があると訴えています。
ADORは、今回の仮処分申請を通じて、NewJeansのためにも法的責任が拡大する前に、間違った判断や行動を正すきっかけを作りたいという意図を明らかにしました。 しかし、この紛争が、今後、K-POP業界における契約のあり方やアーティストの権利保護に関する議論を深める一因となることは間違いありません。 NewJeansのメンバーの将来、そしてK-POP業界全体の未来に大きな影を落とす可能性もある、非常に深刻な事態と言えるでしょう。 今後の裁判の行方と、その結果がK-POP業界にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。 そして、このケースが今後の契約や法的紛争における前例となる可能性も高く、業界関係者にとって重要な教訓となるでしょう。