月間31億PV!韓国発キュレーションサイト「Naverまとめ」がサービス終了した理由とは?
- 2024-12-31
月間31億PV!韓国発キュレーションサイト「Naverまとめ」がサービス終了した理由とは?
はじめに:ニュースサイトが多すぎて困っていませんか?
現代社会では、膨大な数のニュースサイトが存在し、どれを読めばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そんな悩みを解決してくれるのがキュレーションサイトです。様々なニュースサイトの中から、ジャンル別に重要なニュースをピックアップして表示してくれる便利なサービスです。
かつて、日本でも「Naverまとめ」という、月間31億PVという驚異的なアクセス数を誇ったキュレーションサイトがありました。しかし、2020年9月に突如サービスが終了。その理由について、今回は深く掘り下げて解説します。
Naverまとめとは?~キュレーションサイトのパイオニア~
Naverまとめは、韓国最大のインターネットサービス企業であるNaver Corporationの子会社、Nextory Library株式会社が運営していたキュレーションサービスでした。 多くのユーザーがインターネット上の特定のテーマに関する情報を繋ぎ合わせ、記事を作成していました。
Naverまとめの3つの特徴:
- 月間31億PVという驚異的なアクセス数: その人気ぶりは圧倒的でした。
- 一般ユーザーが記事を作成: 専門の編集者だけでなく、一般ユーザーも自由に記事を作成・投稿できるシステムでした。
- キュレーションサイトの草分け的存在: Naverまとめは、後のスマートニュースやグノシーといったキュレーションサイトの誕生に大きな影響を与えた、いわば元祖キュレーションサイトと言える存在でした。
なぜNaverまとめはサービス終了したのか?~公式発表と裏側~
Naverまとめのサービス終了は、LINEグループによる公式発表では、**「サービス環境、市場環境の変化による単独サービスとしての今後の成長性や、LINEグループ全体での選択と集中」**とされています。しかし、この発表だけでは、月間31億PVを記録したサービスがなぜ終了せざるを得なかったのか、疑問が残ります。
Naverまとめの成功と強大なドメインパワー
Naverまとめは、約11年間で累計17,718億PVという膨大なアクセス数を記録しました。その背景には、強いドメインパワーがありました。
当時、Googleの検索アルゴリズムでは、強いドメインを持つウェブサイトの記事は検索上位に表示されやすい傾向がありました。Naverまとめは、一般ユーザーが大量の記事を作成する仕組みを持っていたため、膨大な数の記事が日々生成され続けました。 質の良し悪しに関わらず、その圧倒的な記事数と、長期間にわたる運営によって培われたドメインパワーによって、Google検索の上位を常に占めていたのです。
ユーザーからの嫌悪感と著作権問題
Naverまとめは、その人気とアクセス数の裏で、多くのユーザーから嫌悪感を抱かれていました。
- 情報の質の低さ: 一般ユーザーが作成した記事は、情報の精度や信憑性に欠けるものが多く、質の低い記事が大量に存在していました。
- 著作権侵害: ユーザーが他のサイトから無断で情報を転載するケースが頻発していました。特に有名なのが「クックパッド事件」です。クックパッドの有料会員向けレシピが、Naverまとめで無断転載されたのです。これはクックパッドの著作権を侵害するだけでなく、Google検索でクックパッドの記事よりも、無断転載されたNaverまとめの記事が上位表示されるという事態も引き起こしました。
これらの問題により、Naverまとめは多くの批判を浴びることとなり、ユーザーからの反発は大きくなっていきました。
Welq問題とGoogleアルゴリズムの変更
Naverまとめの終焉に大きく影響を与えたのが、Welqというヘルスケア情報キュレーションサイトの問題です。WelqもNaverまとめと同様に、不正確な医療情報や著作権侵害が多数発生しており、特に「死にたい」という検索ワードで上位表示されたことによって大きな炎上騒ぎとなりました。
このWelq問題をきっかけに、Googleは検索表示アルゴリズムを大幅に変更。これによって、キュレーションサイトの記事が検索上位に表示されることが難しくなり、Naverまとめの検索流入数は激減。2017年8月には25億あった検索流入数は、2020年9月には7億まで減少しました。
Naverまとめサービス終了:その真の理由
以上の問題を総合的に考えると、Naverまとめのサービス終了は、以下の理由が考えられます。
- ユーザーからの嫌悪感と批判: 質の低い情報や著作権問題で、多くのユーザーから嫌われていた。
- Googleアルゴリズム変更: ドメインパワーに頼ったSEO戦略が通用しなくなった。
- 広告収入の減少: PV数の減少に伴い、広告収入が大幅に減少した。
- LINEグループの選択と集中: 収益性の低い事業を整理し、収益性の高い事業に注力するという戦略の一環として、サービス終了が決まった可能性が高い。
公式発表では「市場環境の変化」とされていますが、その背景にはこれらの問題があったことは間違いありません。
Naverまとめから学ぶこと:インターネットの情報リテラシーの重要性
Naverまとめのサービス終了は、キュレーションサイトが抱える問題を浮き彫りにしました。それは、情報発信プラットフォームの管理の難しさ、そして、ユーザーの情報リテラシーの重要性を改めて示すものとなりました。
私たちがNaverまとめの失敗から学ぶべきこと:
- インターネット上の情報に、批判的に接する必要がある: 情報の正確性や信頼性を確認する必要があります。
- 情報リテラシーを向上させることが重要: 情報の真偽を見抜く能力を磨く必要がある。
- 著作権を尊重する必要がある: 他者の著作物を無断で利用することは、決して許される行為ではない。
Naverまとめは、キュレーションサイトという新しい情報発信プラットフォームの可能性を示した一方で、その危険性も浮き彫りにしました。 今回の事例を通して、インターネット上での情報収集や発信において、より慎重な姿勢を持つことが重要であると改めて認識することが大切です。 Naverまとめの功罪をしっかりと理解し、より健全なインターネット文化の構築に貢献していきましょう。
終わりに:Naverまとめへの賛否両論
Naverまとめは、多くの批判を受けながらも、10年以上もサービスを継続しました。 それは、多くのユーザーにとって便利なサービスであり、何らかの問題解決に貢献した側面もあったことを示唆しています。
Twitterでは、Naverまとめのサービス終了を惜しむ声も数多く見られました。 全てが悪いわけではなく、便利な面もあったサービスの終焉は、一抹の寂しさを感じさせるものです。しかし、その存在は、インターネット文化の発展に一役買ったことは間違いありません。