2025年、日米株価の行方:専門家が語る現状分析と未来予測
- 2024-12-15
2025年、日米株価の行方:専門家が語る現状分析と未来予測
皆さん、こんにちは!Pivotの佐々木です。今回は、日経平均株価と米国株の今後の見通しについて、日生基礎研究所首席研究員の井出信吾氏に話を伺いました。
注目のポイント:
- 日経平均株価は、実力水準に近づきつつある。
- 米国株は、やや割高感があり、大規模調整のリスクがある。
- 米国経済は堅調だが、消費者の心理は複雑。
- 日本の実質賃金がプラスに転じる可能性があり、日本経済にプラスに働く。
- トランプ氏の再選の可能性と、その影響についても言及。
日経平均株価:4万円回復の背景と今後の展望
最近のニュースでも話題になった、日経平均株価の4万円回復。井出氏によると、これは一時的な回復ではなく、日経平均株価がこれまで出遅れていた分を取り戻しつつある現象であると分析されています。
日経平均の実力水準は4万円を少し超えるぐらいなんですよ。これまでは、少し出遅れていただけなんですね。
実際、数週間前までは3万8000円台だった水準が、今週には3万9000円台に上昇。そして、ついに4万円に到達したという事実。
日米の金融政策も、株価にポジティブに作用したと言えるでしょう。FRB(連邦準備制度理事会)は利下げを、日銀は利上げを見送る可能性が高いと予想されています。このことが、円安にも繋がり、4万円回復に繋がったと井出氏は分析しています。
しかし、この上昇が今後も続くかどうかについては、慎重な見方が必要です。
米国株:割高感と大規模調整リスク
米国株、特にナスダック指数は、堅調な推移を見せています。しかし、井出氏は、この状況について警鐘を鳴らしています。
アメリカ株は順調に見えるけれど、だからこそちょっと割高。危険水域に来たなと思っています。
グラフを見る限り、8月には日米ともに乱高下し、市場関係者を震撼させました。しかしその後、米国株は順調に上昇し、最近も最高値を更新、ナスダックは2万ポイントを超えました。
対照的に日経平均株価は、もたついている印象です。しかし、井出氏は、これは日本株が出遅れているだけだと考えています。
井出氏の分析によれば、米国株の大規模調整のリスクは高いと指摘。
目先のアメリカ株の大幅調整のリスクはありますよ。必ずそうなるという訳ではありませんが、10%~15%程度の急落がいつあってもおかしくない。
さらに、井出氏は、今後1年以内に大規模調整が起こる確率を80%以上と予測しています。
もちろん、米国企業の業績が急成長し、割高感が解消される可能性もゼロではありません。しかし、現状の業績を鑑みると、現在の株価は高すぎる状態が続くと井出氏は見ています。
米国経済の現状:堅調な基盤と消費者の複雑な心理
米国経済は、依然として堅調です。インフレ率はコロナ時の9%超えから、現在は2%台に落ち着いてきています。直近発表された数値も市場予想通りで、FRBの今月の利下げも確実視されています。
しかし、消費者の心理は複雑です。
アメリカの消費は凄い堅調です。
この消費の堅調さの裏には、実質賃金のプラスがあると考えられます。ここ数カ月、実質賃金のプラス幅は拡大しています。つまり、賃金上昇率がインフレ率を上回っているのです。
これは、消費を支えている重要な要因だと井出氏は指摘しています。
しかし、この消費の堅調さが、FRBの利下げペースを緩やかにする可能性も示唆しています。インフレ率が再度上昇する兆候も見られるため、FRBはバブルを避けたいと考えていると井出氏は見ています。
日本の現状:実質賃金のプラス転換と今後の期待
日本においても、朗報があります。実質賃金がついに水面上に浮上する兆しを見せているのです。
2年以上続いたマイナスが、着実に縮小。直近の数値はプラスマイナスゼロとなりました。インフレ率の落ち着きと賃金上昇の継続を考え合わせると、来年は実質賃金のわずかなプラスを維持できる可能性があります。
これは、日本経済にとって間違いなくプラス材料となるでしょう。
アメリカ株の割高感:バブルの再来か?
井出氏は、アメリカ株、特にS&P500やナスダックの割高感を指摘しています。PER(株価収益率)は22倍を超えており、これは過去のコロナバブル期を彷彿とさせます。
2020年~2021年、コロナによる給付金で、多くの投資家が個人投資アプリ「ロビンフッド」などを使い、AppleやTeslaなどの株を購入。これがコロナバブルの主要因でした。
このコロナバブルは2022年に終焉を迎え、ナスダックは30%も下落しました。
現在の状況は、コロナバブル時と似ており、10%~15%程度の急激な調整がいつ起こってもおかしくないと井出氏は警告しています。
アメリカ株の割高感と今後の予測
では、アメリカ株の割高感は今後どうなるのでしょうか。
井出氏は、7~8割の確率でソフトランディング(景気減速による緩やかな着陸)できると見ています。しかし、残りの2~3割の確率で、景気後退(リセッション)やスタグフレーション(インフレと景気後退の同時発生)に陥るリスクもわずかに残っているとしています。
そのリスクの一つとして、クレジットカードの延滞率の上昇が挙げられます。消費は堅調ですが、支払いが滞っている人が増えているのです。
もし、延滞率が落ち着かず高止まりすれば、消費行動の減速につながる恐れがあります。
日本株の今後の見通し:堅調な企業業績と市場心理
日本企業の業績は、堅調です。多くの企業が過去最高益を更新する見込みです。
日本の企業業績はしっかりしているんです。
しかし、企業側の予想では減益予想ですが、市場予想では増益予想が出ています。これは上期の実績が過去最高益だったのに対し、下期は大幅減益という予想があるためです。しかし、井出氏は市場予想に信憑性があるとみており、来年春には2.8%から5%程度の増益で着地すると予想しています。
市場もこの状況をある程度理解しており、日経平均は徐々に実力水準を反映する動きを見せています。
トランプ氏の再選と市場への影響
トランプ氏が再選した場合、市場に大きな影響を与える可能性があります。関税の増額など、政策によって市場が乱高下する可能性もあるでしょう。
しかし、FRBは政治への配慮はあまりせず、着実に金融政策を実行するとみられています。
結論:2025年の見通しと投資戦略
井出氏の結論は、来年も市場は安定しないということです。
- 政治的な変動や予想外の出来事が起きる可能性があるため、短期投資家はやりがいのある1年になるでしょう。
- 長期投資家にとっても、大きく変動する局面で安く買えるチャンスが何度もくる可能性があります。
- 日本株は、実質賃金の上昇や企業業績の堅調さを背景に、4万円台に落ち着くと予測されます。
- 米国株は割高感が残っており、大規模調整のリスクがある一方で、ソフトランディングの可能性も高いです。
したがって、投資戦略としては、積み立て投資や分散投資が有効です。市場の乱高下を冷静に見極め、チャンスを逃さないようにしましょう。
特に、短期投資家の方は、市場の変動に冷静に対処する必要があります。長期投資家の方は、割安なタイミングで投資するチャンスを捉えることができるでしょう。
この音声ファイルに基づいた記事は以上です。