ITZYの沈黙:かつての4世代先駆者グループの衰退と、その理由を探る
- 2024-12-30
ITZYの沈黙:かつての4世代先駆者グループの衰退と、その理由を探る
かつてK-POPシーンを席巻し、第4世代ガールズグループの先駆者として称賛されたITZY。デビュー当初の爆発的な人気は、今や影を潜め、その地位は揺らいでいます。2019年の華々しいデビューから、数々のヒット曲をリリースしながらも、近年は目覚ましい成功を収められていないITZY。一体何が起きたのでしょうか?本記事では、ITZYの現状を分析し、その衰退の背景にある要因を多角的に探ります。
デビューの衝撃と華々しい初期の成功
2019年2月、ITZYはデビューシングル「DALLA DALLA」で鮮烈なデビューを飾りました。**「ガールクラッシュ」**というコンセプトは、当時としては新鮮で、瞬く間に注目を集めました。
- YouTube再生回数の記録更新: デビュー曲「DALLA DALLA」は、先輩グループの記録を塗り替え、YouTubeで大きな話題に。
- 音楽チャートでの圧倒的な成績: 2019年、K-POPガールズグループの中でも最高のチャート成績を記録し、アジア全域でチャートを席巻しました。
- スターダムへの急上昇: デビュー曲の成功により、ITZYは瞬く間にスターダムへと駆け上がりました。
デビューからわずか5ヶ月後には2ndミニアルバム「IT’z ICY」をリリース。タイトル曲「ICY」も大きな成功を収め、音楽チャート、アルバム売上、YouTube再生回数において、高い人気を証明しました。 続く2020年3月には「WANNABE」をリリース。これもまた大きな成功を収め、わずか5日間で5000万回再生という新人グループとしては驚異的な記録を達成しました。リュジンによる印象的なハンドジェスチャーの振り付けは、瞬く間にバイラル化し、自己主張をテーマにした歌詞も多くの共感を呼びました。
さらに、2020年8月リリースの「Not Shy」は、ミュージックビデオが1ヶ月10日で1億回再生を突破。デビューから1年足らずで、ITZYは新人グループとして圧倒的な成功を収め、その名をK-POPシーンに刻み込みました。 2020年はITZYにとって、まさに成功の1年と言えるでしょう。SNSを席巻し、1周年記念も盛大に祝われました。 デビュー当時、第4世代を牽引するガールズグループは多くありませんでした。ITZYは、その高い実績とメディア効果によって、K-POPシーンをリードする存在だったのです。
衰退の兆候:失われた勢い
しかし、2021年半ばから、ITZYは徐々に勢いを失い始めました。
- 2021年の低調な成績: 2021年にリリースされた「Mafia in the morning」と「Loco」は、以前のような成功を収めることができませんでした。
- ライバルグループの台頭: aespa、IVE、NewJeansといった強力なライバルグループの出現も、ITZYの地位を脅かす要因となりました。これらのグループは、新鮮な音楽性や魅力的なビジュアルで、若い世代のファンを魅了しています。
- 低迷するチャート成績: 2022年のカムバック曲「Sneakers」と「Cheshire」も期待されたほどの成果を上げることができず、デジタルチャートでのパフォーマンスは、以前のヒット曲「Loco」を下回る結果となりました。 「Sneakers」の初日のリスニング数は784,901回にとどまり、「Loco」の1,238,882回を大きく下回りました。 さらに、Spotifyチャートでもトップに食い込むことができず、ITZYの勢いの衰えを改めて示す結果となりました。 「Cheshire」のMV初日再生回数は660万回と、ITZYの過去の記録と比較すると著しく低い数値でした。
ITZY衰退の5つの理由
ITZYの現状を鑑みると、その衰退にはいくつかの要因が考えられます。
1. JYPエンターテインメントの消極的なマネジメント
JYPエンターテインメントはITZYの現状を認識しているにもかかわらず、具体的な戦略を欠いています。ITZYへの投資は不足しており、クリエイティビティに欠け、グループへのリソース配分も減少しているように見えます。 2022年2月には新ガールズグループNMIXXがデビュー。このデビュー発表によって、ITZYがJYPの戦略における主要プロジェクトではないことが明確になりました。
JYPは、2019年ITZYのデビュー当時、TWICEがグループとして最大の収益源であり、日本市場での安定した売上と韓国での高い人気を誇っていました。TWICEは現在もJYPの収益に大きく貢献しています。ITZYのデビューは、JYPが新たな収益源を確保するための戦略の一部だったと考えられます。
JYPはTWICE、NMIXX、NiziU、そして今後デビューする新ガールズグループなど、多くのガールズグループを擁しています。そのため、リソースは各グループに分散され、ITZYは十分な投資を受けられない状態にあると言えるでしょう。
2. JYPの試行錯誤戦略の失敗
JYPはITZYを従来のガールズグループとは異なるグループとして位置づけ、「ガールクラッシュ」コンセプトを前面に押し出しました。これはTWICE、miss A、Wonder Girlsとは大きく異なる戦略でした。しかし、このアプローチは市場に飽和状態となり、MAMAMOOやBLACKPINKといった強力なガールズグループが台頭する中で、ITZYの独自性が薄れてしまった可能性があります。
さらに、ITZYのボーカル能力は、ダンススキルと比較して相対的に低いと言われています。メインボーカルのリアは、グループの楽曲に合わせるために、自分の声域を調整する必要があり、そのポテンシャルを十分に発揮できていない可能性があります。このボーカルの弱さは、長期的な成功を阻害し、新規ファンの獲得を困難にしていると考えられます。
また、2020年初頭からのCOVID-19パンデミックも、ITZYの積極的な海外進出を阻害する要因となりました。
3. 不十分なプロモーション戦略
JYPは、ITZYのプロモーションにも力を入れていません。メンバーの個人活動を許可せず、演技、司会、バラエティ番組出演、ソロプロジェクト、ラジオDJなど、他のJYP所属アーティストが活動している分野への進出を許していません。
多くのK-POPグループは、特定のメンバーを前面に押し出し、ファン層の拡大を図ります。ITZYにおいてはリュジンとユナにそのポテンシャルがありますが、JYPはそれを活かしていません。結果として、グループ全体の知名度向上に繋がる機会を失っていると言えるでしょう。
4. 音楽の革新性の欠如
2022年以降、ITZYは強力なタイトル曲を生み出すことができませんでした。aespaの「Girls」やIVEの「Love Dive」といったヒット曲に対し、ITZYの楽曲は話題性や人気において劣っています。多くのカムバックにもかかわらず、楽曲は平板で、歌詞も空虚だと感じるファンも少なくありません。
頻繁なカムバックは、音楽のマンネリ化を招き、ブレークスルーとなる要素に欠けています。結果的に、聴衆はITZYの新作に期待感を抱かなくなり、カムバック発表にも反応しなくなっています。
5. メンバーのスキル面における課題
ITZYのメンバーはダンススキルに長けていますが、歌唱力、ラップスキルにおいては、必ずしも高い評価を得ているわけではありません。デビュー当初から、ボーカルの不安定さや、ラップスキルの低さについての指摘がありました。メインボーカルのリアのボーカルランクは、デビュー当初の平均から低い評価にまで落ち込んでいます。ユナの歌唱力も弱点だと指摘されています。リュジンとイェジのラップスキルについても、高い評価は得られていません。
ダンスに秀でたメンバーが多いことはグループの魅力ですが、ダンスだけではアイドルグループとしての成功を約束するものではありません。 しかし、近年はライブでの歌唱力に改善が見られ、着実にスキルアップしている点は評価できます。
6. 強力なライバルグループの台頭
ITZYの低迷には、aespa、IVE、NewJeansといった強力なライバルグループの台頭も影響しています。特にaespaは、デビューからわずか2年で、ITZYが築き上げてきた実績を上回るほどの成功を収めています。
IVEもデビューから急速に人気を獲得し、音楽番組で最速で1位を獲得するなど、ITZYにとって大きな脅威となっています。さらにNewJeansも、デビュー以来、高い人気を維持し、ITZYの地位を揺るがす存在です。ケプラー、アイドル、LE SSERAFIMといったグループも、ITZYにとって無視できない競合相手となっています。
未来への展望:再起の可能性
音楽性、プロモーション戦略、メンバーのスキル、そして競合グループの台頭など、ITZYを取り巻く状況は決して楽観視できるものではありません。しかし、ITZYにはまだ可能性が残されています。
もしJYPエンターテインメントが、ITZYの課題を真摯に受け止め、適切な戦略を立て、メンバー育成にも力を入れるならば、ITZYは再び輝きを取り戻すことができるでしょう。スキル向上、適切な戦略、そしてファンダムMIDZYの期待に応えることができれば、ITZYは必ず復活し、第4世代ガールズグループとしての地位を確固たるものとするでしょう。
まとめ:ITZYの未来は?
かつて第4世代ガールズグループの先駆者として、華々しいデビューを果たしたITZY。しかし、現在は苦戦を強いられています。その原因は、JYPエンターテインメントの消極的なマネジメント、試行錯誤戦略の失敗、不十分なプロモーション、音楽の革新性の欠如、メンバーのスキル面における課題、そして強力なライバルの台頭など、多岐にわたります。
しかし、ITZYには潜在能力と過去の成功実績があります。JYPがこれらの問題を克服し、適切な戦略を立てれば、ITZYは再び人気グループとして復活する可能性を秘めているでしょう。 あなたは、ITZYの未来をどう見ますか? 再び輝きを放つ未来を信じますか? それとも、衰退の一途を辿ると考えていますか? あなたの意見をコメント欄で聞かせてください。