あなたは知らない?違法とされたMinecraftサーバーの実態とMojangの対応

あなたは知らない?違法とされたMinecraftサーバーの実態とMojangの対応

あなたは知らない?違法とされたMinecraftサーバーの実態とMojangの対応

Minecraftの世界は広大で、公式サーバー以外にも数えきれないほどの独自サーバーが存在します。しかし、その中にはMojang(Minecraft開発元)の利用規約(EULA)に違反し、運営が違法とされるサーバーも存在するのです。この記事では、NFTサーバー、薬物サーバー、そして大人向けサーバーなど、様々な違法Minecraftサーバーの実態と、Mojangの対応について詳細に解説します。

1. NFTとブロックチェーン技術を使ったMinecraftサーバー:Crittersの事例

2021年、NFTと暗号通貨ブームを背景に、Minecraft内でブロックチェーン技術を活用した収益化を試みるサーバーが登場しました。「Critters」はその代表的な例です。

Crittersは、プレイヤーがゲーム内で暗号通貨(BLOCKまたはEthereum)を獲得できるサーバーでした。その仕組みは、仮想土地を購入し、その土地でプレイすることで仮想通貨が自動的に生成されるというものでした。

仕組み

  • 仮想土地の購入:暗号通貨で仮想土地を購入する必要があります。
  • 仮想通貨の生成:土地を所有することで、プレイ中に仮想通貨が自動的に生成されます。

Crittersの落とし穴:高額な参入障壁

一見魅力的なCrittersですが、大きな問題がありました。それは、参入障壁の高さです。Crittersに参加するには、「Critters Collection NFT」を購入する必要があり、2022年2月時点で約3000ドル(約1ETH)もしました。

もちろん、NFTを他のプレイヤーからレンタルすることも可能でした。レンタルした場合、レンタルしたプレイヤーの収益の3分の1がレンタル者に入ります。Discordでは、プレイヤーが1日8~10時間プレイし、積極的に収益を得ようとしている様子が見られました。

動画内で行われた計算によると、Critters NFTを4つレンタルすることで、1時間あたり約8ドルのBLOCKを獲得できたとのことです。しかし、レンタルするNFTの数が増えるほど、1時間あたりの収益は減っていくという、収穫逓減の法則が適用されました。

Crittersの盛況と終焉

動画では、Crittersがピーク時には700~800人の同時接続プレイヤーを記録していたことが示唆されています。プレイヤーはゲーム内アイテムをリアルマネーや暗号通貨で売買しており、土地の取引も盛んに行われていました。土地の価格は0.25ETH(約800ドル)にも達していました。プレイヤーは、土地にパークールコースなどを設置することで、プレイヤーを呼び込み、収益を増やそうとしていました。

しかし、2022年7月、MojangはNFT、暗号通貨、ブロックチェーン技術のMinecraftへの統合を公式に禁止しました。その理由は、NFTが希少性と排他性を生み出し、Minecraftのガイドラインや精神に反する可能性があるためです。また、投機的な価格設定や投資マインドが、ゲームプレイそのものへの集中を阻害し、投機行為を助長するとの懸念もありました。

この声明によって、Crittersを含む多くのNFT Minecraftサーバーは閉鎖を余儀なくされ、現在では運営が違法とされています。

2. 薬物サーバー:MC Drugsとその変遷

2010年代前半から中期にかけて、Minecraftには「薬物サーバー」が存在していました。これは、ゲーム内で薬物を栽培・製造・取引するサーバーです。

薬物サーバーの種類

  • Minecraft経済サバイバルサーバー
  • Minecraft刑務所サーバー
  • Minecraftファクションサーバー(最も一般的)

ファクションサーバーでは、プレイヤーは様々な薬物をゲーム内で入手し、効果を得ることができました。ゲーム内の小麦、カカオ豆、ネザーウォート、サトウキビなどが、現実世界の薬物に見立てられて使用されていました。

これらのサーバーはファクション形式が多かったため、競争が激しく、プレイヤーは隠された基地を作り、栽培した薬物を売買したり、PvP(プレイヤー対プレイヤー戦闘)で使用したりしていました。

MC Drugsの事例

2012年8月に開設された「MC Drugs」は、薬物サーバーの代表的な例です。警察署やカジノなどの施設も設置され、階級システムも存在していました。

しかし、2022年9月、MC DrugsはMojangからのブラックリスト化の脅威を受け、サーバー名を「MC Labs」に変更し、薬物関連の要素を全て削除せざるを得ませんでした。カジノやギャンブル要素も削除されました。

Mojangからの指摘は、アダルトコンテンツに関する規約違反でした。Mojangは、薬物関連の要素は以前からEULA違反であったものの、それまでは黙認していたとサーバーオーナーが明かしています。

現在、MC Labsは「ケムズ」と呼ばれる物質の生産・販売をテーマに運営を続けており、30~50人のプレイヤーが毎日プレイしています。

3. 大人向けサーバー:HornyCraft、Troll Master Card Server、Dokcji Server

Mojangは18歳以上向けのMODやサーバーの運営を厳しく禁止しています。過去には「Jenny Mod」や「Kidnap Mod」といったMODが問題となり、Mojangは制作者に削除を迫っています。これらMODを使ったサーバーもブラックリストに載せられ、厳しい措置がとられています。

特に「Vampire Castle」というサーバーでは、Mojangからのメールや法的脅迫まであったと言われています。一部ユーザーはMODを改変し、Mojangの認証を回避することで、ブラックリストを回避しようと試みました。

しかし、これらの大人向けサーバーは、情報が非公開であるため、詳細な情報を得ることは困難です。

この記事では、情報提供者であるDokcji氏からの情報を元に、以下の3つの主要な大人向けサーバーについて解説します。

  • HornyCraft (HC):イベント時には最大50人の同時接続プレイヤーを記録
  • Troll Master Card Server:日平均10~30人のプレイヤー
  • Dokcji Server:日平均10~30人のプレイヤー

これらのサーバーは、Discordで年齢確認を行い、18歳以上であることを確認してからプレイを許可しています。通常サーバーのMODに加え、大人向けのMOD(主にJenny Mod)を使用しています。

DokcjiサーバーはMojang Enforcementから一度ブラックリストに載せられたものの、IPアドレスの変更で回避しています。一方、HornyCraftは数十回ブラックリストに載せられ、毎日新しいIPアドレスがブラックリストに載せられることもあったと伝えられています。

これらのサーバーは通常、収益化されていないため、ウェブサイトやオンラインストアを持たず、公開の連絡先メールアドレスもありません。Mojang Enforcementは、ストアフロントに公開の連絡先メールアドレスを設けることを義務付けています。そのため、報告を受けたこれらのサーバーは、警告なしに即座にブロックされます。

4. その他の違法とされるMinecraftサーバーの事例

Mojangは、以下のようなサーバーの運営も禁止しています。

  • リアルマネーによるペイアウトを行うサーバー:過去には「The Arkon」というサーバーが、ファクションゲームモードで上位プレイヤーにリアルマネーを支払っていたため、Mojangから削除を命じられました。
  • アンバンを販売するサーバー:例えば、「ViperMC」のようなサーバーが、過去にbanされたプレイヤーにアンバンを販売していたため、Mojangから対策が取られました。
  • 海賊版Minecraftユーザー向けのサーバー:Minecraftの利用規約では、正規に購入したユーザーのみがサーバーへのアクセスを許可されています。しかし、多数のクラックサーバーが問題なく運営されていることから、この規約は徹底的に施行されていないと考えられます。

5. MojangのEULAと現実のギャップ

Mojangはギャンブルを禁止していますが、クレートや宝箱といった、実質的なギャンブル要素は許容しています。この点について、Mojangの対応には矛盾点があると指摘する声もあります。

また、カジノのようなゲーム内ギャンブルの運営は、たとえリアルマネーが使用されなくても禁止されています。これは「シミュレートされたギャンブル」として、Mojangから厳しく取り締まられています。

まとめ:Minecraftサーバーの闇とMojangの揺るぎない姿勢

この記事で紹介した事例以外にも、MojangのEULAに違反するMinecraftサーバーは多数存在する可能性があります。Mojangは、これらのサーバーに対し、断固たる姿勢で対応していますが、抜け道を見つけ、運営を続けるサーバーも存在しているのが現状です。 Minecraftの世界は、公式のルールと、それを回避しようとするユーザーたちの駆け引きが常に存在する、複雑な世界なのです。 そして、その闇の部分を知ることは、より安全で健全なMinecraft環境を維持するために必要不可欠な知識と言えるでしょう。