IEブラウザの衰退と消滅：その歴史と理由を徹底解説

IEブラウザの衰退と消滅：その歴史と理由を徹底解説

かつてインターネット閲覧の代名詞であったInternet Explorer（IE）ブラウザ。しかし、2022年6月をもってサポートが終了し、歴史の幕を閉じました。本記事では、IEが隆盛を極めた時代から衰退、そして消滅に至るまでの歴史を紐解き、その背景にある理由を徹底的に解説します。

IEブラウザとは何か？その誕生と隆盛

まず、IEブラウザとは何か、そしてその隆盛の秘密を紐解きましょう。

IE（Internet Explorer）とは、Microsoft社が開発・提供していたウェブブラウザです。 Windowsに標準搭載されていたため、世界中で広く利用され、インターネット黎明期においては、圧倒的なシェアを誇っていました。

レームとマリサの会話からわかるように、多くのユーザーにとって、IEは初めてのブラウザ体験だったという人も多いでしょう。

レーム：ブラウザって何だっけ？

マリサ：WindowsならIEでしょ！

ウェブブラウザの基礎知識

ウェブブラウザとは、簡単に言うとウェブサイトを見るためのソフトウェアです。パソコンやスマートフォンなどのデバイスを通じて、ウェブサーバーに接続し、HTMLなどのプログラミングコードを読み解き、私たちが閲覧できる形に変換する役割を担っています。

WindowsならIE、MacならSafariといった具合に、各OSには標準でブラウザが搭載されています。 IEはWindowsに標準搭載されていたため、ユーザーは特別な操作をすることなく、すぐにインターネットの世界に飛び込むことができました。 この点が、IEの初期の成功に大きく貢献したと言えるでしょう。

IEの登場以前：Netscape Navigatorとの覇権争い

IEが登場する以前、ウェブブラウザ市場を席巻していたのは**Netscape Navigator（NN）**でした。NNは世界で初めて広く利用されたウェブブラウザの一つであり、1996年時点では世界シェアの8割を占めていました。

しかし、MicrosoftはIEをWindows 98に標準搭載するという戦略に出ました。これは、IEを事実上の標準ブラウザとして確立し、NNを圧倒的な勢いで追い抜くための布石でした。この戦略は成功し、IEは瞬く間にシェアを拡大し、ウェブブラウザ市場の覇権を握ります。

IEの衰退：技術革新とセキュリティ問題

IEのシェアが9割近くを占めていた時代、ユーザーはIE以外のブラウザを使用する必要性を感じませんでした。しかし、時代の流れとともに、IEの脆弱性が顕著になっていきます。

新しいブラウザの台頭

2005年以降、Firefox、Opera、Safari、Google Chromeなど、次々と新しいブラウザが登場しました。これらのブラウザは、IEにはない様々な機能を搭載し、操作性や軽快さ、カスタマイズ性の向上を図り、IEの優位性を脅かしていきました。

IEは、市場を支配したことで、積極的なアップグレードを怠り、保守的な機能追加が目立つようになっていきました。 これは、セキュリティ上の問題を抱え込むことにも繋がっていったのです。

セキュリティホールとウィルス問題

IEは、その世界的なシェア故に、セキュリティホールを狙ったウィルス攻撃の標的となりやすくなりました。2010年代には、メモリ破壊ウィルスによる偽サイトへの誘導や不正ファイルの実行といった問題が発生し、ユーザーの信頼を大きく損ないました。

マリサ：IEさん、狙われてるなあ…

ユーザーからの離反

セキュリティ問題の多発に加え、IEのインターフェースの古さ、操作性の悪さ、互換性の問題など、ユーザー体験の悪さもユーザー離反の一因となりました。開発者にとっても、IEは使いづらいブラウザとして認識されるようになり、ウェブ開発の現場においても、IEへの対応は後回しになる傾向が強まっていきました。

IEのサポート終了とその後

このような状況の中で、Microsoftは2022年6月15日、ついにIEのサポートを終了することを発表しました。これは、IEの時代が完全に終焉を迎えたことを意味します。

Microsoftは、IEの後継としてMicrosoft Edgeを推奨し、企業など、依然としてIEを使い続けている組織に対しても、Edgeへの移行を強く促しました。

クリッス・ジャクソン氏：IEを使い続けることで、企業は技術的な負担を抱えることになる。

しかし、依然として日本企業の中にはIEを使い続けているところが存在します。特に銀行や薬局などの機関システムでは、IEしか対応していないものが多く、IT投資に消極的な企業が多いという現状があります。

このため、サポート終了後も、IEを使い続ける企業は、セキュリティ上のリスクを負うこととなり、早急なブラウザの切り替えが必要となっています。

IEの衰退から学ぶこと：市場競争と技術革新の重要性

IEの興亡は、市場競争の激しさ、技術革新の重要性を改めて浮き彫りにしました。 IEは、一度は市場を圧倒的に支配したものの、時代の変化に対応できず、最終的には消滅という道を辿りました。

この教訓は、あらゆる企業、そして技術開発者にとって、常に革新を追求し、ユーザーニーズに応え続けることが、いかに重要であるかを示しています。 市場のトップに立ったからといって、安穏としていては、いつか時代に取り残されてしまうという戒めとなるでしょう。

IEは、多くのユーザーにとって懐かしい存在であり、インターネットの歴史を語る上で欠かすことのできない存在です。 その歴史と、消滅に至った理由を理解することで、現代のインターネット社会をより深く理解できるのではないでしょうか。 そして、常に変化し続けるテクノロジーの世界で生き抜くヒントを得ることができるでしょう。