HYBEのガールズグループマネジメント:成功と失敗、そしてその背景にある問題点
- 2024-12-31
HYBEのガールズグループマネジメント:成功と失敗、そしてその背景にある問題点
K-POP業界において圧倒的な存在感を誇るHYBE(旧Big Hit Entertainment)。しかし、その成功の裏には、ガールズグループのマネジメントをめぐる数々の問題点が指摘されています。 「HYBEはガールズグループに縁がない」という冗談めかした声も過去にはありましたが、その実態は「不運」ではなく、むしろマネジメント体制そのものに問題があるのではないでしょうか。本記事では、GLAM、GFRIEND、fromis_9、LE SSERAFIM、そしてNewJeansの事例を分析し、HYBEのガールズグループマネジメントの実態に迫ります。
GLAM:デビュー直後のスキャンダルとその後
HYBEの前身であるBig Hit Entertainmentは、2010年代初頭、資金力に乏しい小規模企業でした。そのため、最初のガールズグループGLAMのマネジメントはSource Musicと共同で行うことになりました。
2012年、シングル「Party (XXO)」でデビューしたGLAMは、大企業所属ではないにもかかわらず、まずまずの成功を収めました。しかし、デビューからわずか6ヶ月後、メンバーのTrinityがSuper Juniorのイトゥクとの「サセン(私生活を過剰に追いかけるファン)」騒動に巻き込まれます。この噂は確認されませんでしたが、アイドルとして許容される範囲を超えており、グループへの大きな打撃となりました。
さらに、2014年にはメンバーのDaheeが友人であるモデルのLee Jiyeonと共に、人気俳優Lee Byunghunを400万ドルで脅迫する事件を起こします。 この事件は大きな社会問題となり、Daheeは1年の懲役、Lee Jiyeonは1年数ヶ月の懲役が言い渡されました。 GLAMは事実上活動停止、契約解除という結果となりました。
HYBEは、Daheeの犯罪行為そのものには責任を負いませんが、デビュー前後のメンバーへの徹底的な調査不足、そしてスキャンダル発生後の対応のまずさが批判されました。Trinityのスキャンダル後、適切な対応を取っていれば、グループの存続は可能だったかもしれないという声も少なくありません。
GFRIEND:突然の解散とメンバーへの配慮の欠如
GFRIENDは、Source Music所属でしたが、2019年のHYBEによるSource Music買収により、HYBE傘下のグループとなりました。デビュー以降、高い人気を誇り、チャートでも成功を収めていたGFRIENDでしたが、2021年5月、突然の解散が発表されました。
衝撃的なのは、メンバー自身も解散を事前に知らされていなかったという点です。リーダーのSowonはインタビューで、「解散の知らせは青天の霹靂だった」と語っています。 SinBも番組で、発表の1ヶ月前に初めて解散を知ったと発言しています。
この出来事は、HYBEのコミュニケーション不足、そしてメンバーへの配慮の欠如を露呈しました。Source Musicはメンバーとの契約更新に合意できなかったと説明していますが、その背後には、より新しいグループの投入を優先したのではないかという憶測が飛び交っています。 実際、この時期Source MusicはSakuraとChaewon(後のLE SSERAFIMメンバー)の獲得を目指しており、GFRIENDの解散は、彼らをデビューさせるための戦略の一環であった可能性も指摘されています。
fromis_9:長い活動休止と最低限のサポート
fromis_9は、Pledis Entertainment所属でしたが、Pledis EntertainmentがHYBE傘下に入ったことで、HYBEの管理下に入りました。 fromis_9は、HYBE傘下になってからも活動自体は継続していましたが、カムバックの間隔が非常に長くなり、ファンの間では「次のカムバックが最後になるのでは」という懸念が広がっていました。
さらに、活動休止期間中のファンとのコミュニケーション不足も深刻な問題でした。メンバーによるコンテンツの更新も少なく、HYBEによるプロモーションも最小限にとどまっている印象です。 ひどい例では、ホームショッピング番組でのプロモーションもあったと言われています。 これでは、グループの人気低下を招くのは当然と言えるでしょう。 多くのファンが、HYBEのfromis_9への関心の低さを指摘しています。 その才能を考えると、勿体無いと感じるファンは多いでしょう。
LE SSERAFIM:剽窃疑惑とHYBEの対応
LE SSERAFIMは、HYBEの「最初のガールズグループ」としてデビューしましたが、その成功の裏には、複数の剽窃疑惑がつきまとっています。デビュー前から、ChaewonのTeaser動画がRolling StonesのMVと似ていると指摘されたり、リリースされた楽曲が他のアーティストの楽曲と酷似していると指摘されています。
「Antifragile」や「Unforgiven」は、Rosalíaの「Linda」や「Chicken Teriyaki」との類似性が指摘され、「The Hydra」シリーズは、Cobra Starshipの楽曲との類似性が指摘されています。 これらの疑惑に対し、HYBEは「流行を取り入れた」と反論していますが、一部の楽曲では、プロデューサーが同じであったことで、疑惑は沈静化しました。
しかし、最近のアルバム「UNFORGIVEN」収録曲「SMART」では、Tinashe、Doja Cat、Rema、Selena Gomezの楽曲との類似性が再び指摘され、大きな波紋を呼んでいます。 HYBEはこれについても特に反論していません。
NewJeans:成功の陰に隠された不遇
NewJeansは、HYBE傘下で非常に高い人気を誇るグループです。デビュー当初から、多額の予算とサポートを受け、複数のMVを制作し、独自のアプリもローンチするなど、恵まれた環境で活動しています。トレーニング期間中の借金もなく、デビュー直後から収益を得ている点も、K-POPグループとしては異例です。
しかし、Min Heejinとの訴訟を通じて明らかになったのは、NewJeansが当初HYBEの最初のガールズグループとしてデビューする予定であったにも関わらず、SakuraとChaewonの加入後にLE SSERAFIMが優先されたという事実です。 さらに、HYBEは、Min Heejinに対し、NewJeansのプロモーションを妨害し、LE SSERAFIMをMin Heejinのグループだと世間に信じ込ませるために、NewJeansに関する言及を禁止したという疑惑が浮上しました。
Bang Si-hyuk(HYBE創業者)はNewJeansの成功を特に評価せず、Billboardチャートにランクインしたことに対しても、特にコメントしなかったという話もあります。NewJeansのメンバーの両親は、Bang Si-hyukが会社でメンバーと遭遇しても、彼らの挨拶を無視したと非難しています。
さらに、HYBEはNewJeansに1年半の休暇を強いることを発表しました。理由として「グラミー受賞プロデューサーとのコラボレーション」を挙げていますが、勢いのあるグループをピーク時に長期休止させるという決定には、批判が殺到しています。メンバーの両親も、この休暇がグループの勢いを削ぐことを懸念しています。
ILY:1とNewJeansの類似性、そして深刻な剽窃疑惑
そして最後に、HYBEのミスマネジメントの被害者として挙げられるのがILY:1です。 このグループの楽曲や振り付けがNewJeansと酷似していると指摘されており、NewJeansのパフォーマンスディレクター、Kim Un-jooは、ILY:1の振付が完全にコピーペーストだと非難しています。 この問題は、韓国政府が振付の著作権に関するガイドラインの制定に乗り出すほど、大きな問題に発展しています。
この問題は、HYBEがMin Heejinのチームによる作品を、許可なく他のグループに流用しているという疑惑を浮き彫りにしています。ILY:1は剽窃グループとしてレッテルを貼られていますが、メンバーは全く関係ありません。
まとめ:HYBEのガールズグループマネジメントの課題
HYBEは、世界的に成功しているK-POPボーイズグループのマネジメントノウハウを豊富に持っていますが、ガールズグループのマネジメントに関しては、明確な課題を抱えていることが明らかです。 メンバーとのコミュニケーション不足、戦略の欠如、不透明な意思決定、そして繰り返し起こる剽窃疑惑は、HYBEがガールズグループに対して、ボーイズグループとは異なる対応を取っていることを示唆しています。
HYBEが今後さらにガールズグループをデビューさせる計画があるなら、これらの問題を真剣に受け止め、透明性のある公平なマネジメント体制を構築することが不可欠です。 さもなければ、今後のガールズグループも同様の苦境に陥る可能性が高いでしょう。 HYBEが今後、ガールズグループを成功に導くためには、単なる才能の発掘だけでなく、アーティストと真摯に向き合い、適切なサポート体制を構築することが最重要課題となるでしょう。