日本の住宅価格高騰と金利上昇:マイホーム購入を考える前に知っておくべきこと

日本の住宅価格高騰と金利上昇:マイホーム購入を考える前に知っておくべきこと

日本の住宅価格高騰と金利上昇:マイホーム購入を考える前に知っておくべきこと

はじめに:2022年12月の日本銀行の発表と住宅市場への衝撃

皆さん、こんにちは!リオです。今回は、固定金利VS変動金利、住宅価格、住宅ローンの最新状況について解説していきます。

2022年12月、日本銀行は衝撃的な発表をしました。それまで0.25%に抑えてきた長期金利の上限を0.5%に引き上げたのです。

これは、銀行、保険会社、証券会社などの金融機関、そして資産運用をしている個人投資家にとって、今後の資産運用戦略を考え直す必要が出てくる大きな出来事でした。お金の世界で生きる人にとって、このニュースに反応しないというのは、サッカー選手がボールを追いかけないようなもの。まさに大きなネタです。

しかし、このネタは投資家以外にも、一般の人々、特にマイホーム購入を検討している人々にも大きな影響を与えます。なぜなら、この金利上昇が、住宅ローン金利に影響を与える可能性があるからです。

最新の住宅価格市場:バブル寸前?

まず、金利の話に入る前に、最新の住宅価格を確認しましょう。

2008年から2022年の住宅価格の推移を見てみましょう。2010年の平均値を100とした場合、戸建て住宅は117、マンションは186。このレベルで価格が上昇しています。

  • 全国平均:
    • 戸建て住宅:過去12年間で1.17倍
    • マンション:過去12年間で1.86倍

値上がりのスピードは、コロナ禍以降(2020年以降)が顕著です。特にマンション市場は、バブル期の水準を超える勢いです。東京都23区で2022年11月に発売された新築マンションの平均価格は、なんと8530万円!前年同月比でプラス7.5%もの上昇です。

  • 東京都心のマンション市場:
    • 億を超える価格のマンションの割合:2010年約2% → 2022年約8%

オークションも珍しくなくなってきました。一方、戸建て住宅も2022年12月の首都圏の新築一戸建て価格は平均4424万円で、前年同月比プラス9.05%とこちらも絶好調です。主要都市圏はどこもこの2年間で1割から2割値上がりしている状況です。

まとめると、この10年で住宅価格は劇的に上昇し、特にマンションはバブルという声もあるほどです。 値上がり率は鈍化しつつありますが、戸建て住宅も依然として堅調です。

しかし、このうハウハ住宅市場トレンドは、もしかしたら天井を打つかもしれません。住宅価格の高騰もここまでかもしれないのです。

住宅価格高騰の背景:超低金利の時代

過去10年以上、住宅価格が上昇し続けた理由、それは超低金利です。もちろん、他の要因もありますが、主犯は超低金利です。

シミュレーションしてみましょう。住宅購入予算(本体価格+金利支払い分)が4000万円だとします。

  • 金利2%、35年ローン: 本体価格約2900万円の住宅を購入可能
  • 金利0.5%、35年ローン: 本体価格約3700万円の住宅を購入可能

金利が2%から0.5%に下がった場合、購入できる住宅の本体価格が800万円も増加します。しかし、消費者の負担額は4000万円で変わりません。つまり、買いやすさという観点では同じということです。

もちろん、買いやすさを決める要素は金利だけではありません。年収の伸びや住宅ローン減税なども関係します。年収が増えれば増えるほど買いやすいですし、減税制度が充実しているほど買いやすいと感じますよね。

まとめると、この10年間、住宅価格はめちゃくちゃ上がっているように見えますが、消費者の買いやすさはあまり変わっていません。なぜなら、超低金利や住宅ローン減税などでサポートされていたからです。逆に言えば、金利が急激に上昇すれば、買いやすさは激減します。そうすると、住宅価格の高騰もついにストップするかもしれません。

日本銀行と住宅ローン金利:固定金利と変動金利の違い

住宅ローン金利はどのように決まるのでしょうか?

住宅ローン金利には、大きく分けて次の2種類があります。

  1. 変動金利
  2. 固定金利

それぞれ、どのような金利で、何によって決まるのか見ていきましょう。

変動金利

変動金利では、住宅ローンの返済中に適用される金利が刻々と変化します。一般的に金利の見直しは半年ごとです。金利が変わっても、毎月の返済額は5年間変わりません。5年後の返済額はその時点の残高などから再計算されます。見直し後の返済額は、直前の返済額の最大1.25倍までという「125%ルール」があります。

グラフで見ると、青い線が金利、赤い線が返済額です。青い線がカクカク動いているのは、半年ごとに金利が見直されるからです。赤い線は5年間一定で、5年ごとに更新されます。

変動金利についてよくある誤解は、「毎月金利が変わり、支払い額も変わる」または「金利が急激に上がると返済額が2倍になる」などです。しかし、実際はタイムラグや125%ルールがあるので、そうではありません。

ただし、125%ルールを採用していない銀行もあるので注意が必要です。

「返済額が変わるのは5年後なのに、なぜ半年ごとに金利の見直しをするのか?」 という疑問を持つ方もいるかもしれません。それは、返済額は変わらないけれど、元本と金利の割合が変わるためです。例えば、

  • 金利見直し前:返済額10万円(元本9万円+金利1万円)
  • 金利見直し後:返済額10万円(元本8万円+金利2万円)

返済額は同じでも、元本部分の返済額が変わります。金利が上がると利息が増え、元本部分の返済が遅れます。逆に金利が下がれば、元本部分の返済が早くなり、後の返済が楽になります。

変動金利の上級者向け話題:日本銀行の政策金利の影響

半年ごとに金利が見直される変動金利は、具体的に何の影響を受けているのでしょうか?

それは、**日本銀行の政策金利(短期金利)**です。政策金利とは、日本銀行が一般の銀行にお金を貸すときの金利のことです。

例えば、日本銀行が5%の金利で三菱UFJ銀行にお金を貸したとしましょう。三菱UFJ銀行は、このお金を企業や個人に貸して利益を得るには、6%とか7%の金利を取らなければなりません。元々が5%ですからね。

このような金利では、お金を借りたがる企業や個人は少ないでしょう。お金を借りる人が減り、設備投資や消費も減り、景気は低迷します。

逆に、日本銀行が0.1%で三菱UFJ銀行にお金を貸した場合、0.5%とか1%で貸せば十分利益が出せます。お金を借りる人が増え、設備投資や消費が増え、景気は活発になります。

このように日本銀行は、一般の銀行にお金を貸す際の金利を調整することで、景気調整を行うのです。そして、住宅ローンの変動金利はこの政策金利の影響をモロに受けます。

固定金利

固定金利には、大きく分けて次の2種類があります。

  1. 全期間固定金利
  2. 当初固定金利

全期間固定金利は、融資時の金利が返済開始から終了まで固定される金利です。当初固定金利は、融資時からの一定期間金利が固定され、その後は変動金利になる金利です。固定期間は5年、10年、20年などから選べます。

固定金利は、変動金利よりも金利水準が高く、固定期間が長いほど金利が高くなるという特徴があります。全期間固定金利だとイメージが掴みやすいですね。グラフで見ると、金利が一定になることがわかります。返済額も利息負担額も、ローンを組んだ時点で完全に固定されます。変動金利のようなややこしいことはありません。

では、固定金利は一体何によって決まるのでしょうか?変動金利は政策金利(短期金利)の影響を受けていましたが、固定金利は長期金利である10年国債の利回りに影響されます。

固定金利と10年国債の利回り

10年国債とは、政府の借金のことです。政府が「10兆円欲しいな、金利1%で貸してくれるかな?」と言うと、三菱UFJが「ええで、金利1%なら7兆円分貸たるわ」と応じます。すると、みずほが「ほな、わしは3兆円分いただこうかな」と応じるわけです。政府は「すまんやで、ほなこれがお金借りしました」という証書、国債を発行し、「10年後返しますからよろしくやで」となります。

政府はなぜ金利1%で借金ができるのでしょうか?それは信用があるからです。市場の人々が「日本政府なら元本はちゃんと返ってくるし、利息も払ってくれる」と思っているからです。

日本銀行の政策変更と長期金利の上昇

2016年から2022年にかけて、長期金利の水準が0.25%以下になっていることがわかります。信じられないほどの超低金利です。

政府は、お金を使いたい時に民間の銀行に「金利1%ぐらいくれるなら貸してやってもええで」と頼みます。しかし、政府は「そんなに金利払いたくねえな、0.25%未満じゃないと嫌だな」と言います。すると民間の銀行は「えええ?そんな低金利でお金を貸すのは嫌だよ、うまみ無いじゃん」と言うわけです。

ここに、日本銀行が登場します。日本銀行と政府は別の機関です。日本銀行が「ほな、わしが買うたろか、わしはいくらでもお金が使えるからな」と言うと、政府は「わー、さすが日銀くん!ありがとう。じゃあ金利0.25%で1兆円借りるね」となり、国債が発行されます。

政府が発行した国債を買うかどうかを決めるのは基本的に民間です。利回りが良ければ買い、良くなければ買わない。そういう市場原理が働くのが健全な姿です。

しかし、今の日本では、どんな低金利の国債を発行しても、日本銀行が必ず買ってくれるのです。もし日本銀行が国債の購入をやめたら、こんな低利回りの債券いらないよという人が増え、金利がどんどん上昇します。

実際に、日本銀行が0.25%の国債の購入をやめた途端、国債の利回りは0.5%まで急上昇しました。これは、民間の人々が「日本政府の0.25%の国債なんていらない」と考えていたことの証です。

日本銀行が0.25%の国債の購入をやめて0.5%の国債を買うことにしたのは、シンプルに長期金利を上げたいからでした。昨年、円安が進行し、ドル円の為替相場は2022年10月に1ドル約150円までいきました。激しい円安によって輸入品の価格が上昇し、現在約40年ぶりのインフレが起こっています。円安の一因は、国内外の金利差です。アメリカで預金すれば金利が4%なのに、日本では0.25%。こうなるとドルを欲しがる人が増えるのは当然です。逆に、日本円を買ってくれる人を増やしたければ金利を上げればいいのです。

そのため、日本政府と日銀は長期金利を上げるために、0.25%での国債買い付けをやめて上限を0.5%にしたのでしょう。そして目論見通り長期金利は上昇し、アメリカでの利上げがピークに達しつつあることもあって、国内外の金利差は縮小。動画作成時点ではドル円の為替相場は1ドルあたり約128円と円高になっています。

まとめ:金利と住宅価格の未来予想図

固定金利は10年国債の利回りに影響される。10年国債の利回りが0.25%から0.5%に上昇したことで、住宅ローンの固定金利は上昇した。しかし、この固定金利上昇の影響を受けるのは、これから固定金利で住宅ローンを組む人で、既に固定金利で住宅ローンを組んだ人には影響はありません。

金利の話は難しいですが、金利について知ること はお金持ちを目指す上でとても大切なことです。

個人的な予測:日本の景気と金利の動向

日本は好景気ではありません。賃金が上がっていないからです。そのため、日本銀行がすぐに政策金利を上げていくことはないと予想します。今、金利を上げて景気を冷え込ませたら全て台無しですから。

変動金利が急上昇する可能性は低いと考えています。長期金利については、上昇する可能性はあっても、下がる可能性は低いかなと思っています。4月に日銀の総裁が変わります。そこで政策スタンスが変わるのか、変わらないのか、超注目のビッグイベントになりそうですね。

個人的な結論としては、これから住宅ローンを組む人は、固定金利より変動金利を選んだ方が有利になりそうです。変動金利は低金利のうちにどんどん元金を返済していけるからです。

住宅価格については、住宅ローン金利が上がっていくならば、ある程度の価格の下落は避けられません。しかし、人件費や建築資材、土地の仕入れ価格の高騰や供給数の絞りを考えると、急激に価格が下がる可能性も考えにくい。トータルで、住宅価格はこれくらいが高止まりするんじゃないかと思っています。これ以上バブルしそうじゃないけど、バブルが急に弾けそうな感じもない。これが個人的な感覚です。

金利や住宅価格の予想はあくまでも個人的な予想です。相場の世界は当たるも八卦、当たらぬも八卦。最終的な判断はご自身でお願いします。マイホームを購入するなら、失敗しないための知識武装は必須ですね。

これからもしっかり学んで行動して、ジェイの道を進んでいきましょう。終わりたいと思います。今日もありがとうございました!金利は大事!学ぼう!それでは今日も一日を気をつけていってらっしゃい!体調に気をつけてね!