不屈の魔王:FakerとT1の栄光と苦悩の物語(2020-2023)

不屈の魔王:FakerとT1の栄光と苦悩の物語(2020-2023)

不屈の魔王:FakerとT1の栄光と苦悩の物語(2020-2023)

李相赫(Faker)、League of Legends(LoL)界のレジェンド。その名を冠するチーム、T1(旧SK Telecom T1)と共に歩んできた、栄光と苦悩に満ちた2020年から2023年までの物語を紐解きます。

2020年:頂点からの転落

2020年の春、T1は韓国リーグ(LCK)で3連覇を達成、韓国最強の座を不動のものとしていました。しかし、世界を襲ったCOVID-19パンデミックは、LCKそして世界を隔離状態に陥れました。T1は、その状況下でも強さを維持し、韓国最強のロスターとしての地位を揺るぎないものとしていました。

LCKスプリング2020優勝

しかし、喜びは長くは続きませんでした。夏のシーズンでは、T1はまさかのトップ4入りすら果たせず、世界選手権(Worlds)への出場を逃したのです。Fakerを含むT1の選手たちにとって、Worlds出場を逃すことは考えられない出来事でした。3年連続国内タイトルを獲得し、2019年Worldsでは準決勝に進出していた彼らにとって、この結果は大きな後退を感じさせるものでした。

2021年:世代交代と再起

T1とSK Telecom T1の間には強い歴史がありました。2010年代中盤、Fakerのデビューから2016年にかけて、T1の選手たちは瞬く間に有名になり、まさに伝説となりました。しかし、2017年の敗北以降、T1はかつての強さを維持することができませんでした。

2010年代中盤のT1:Fakerを中心とした黄金時代 2017年以降の苦戦:ロスター刷新の必要性

そこで、2020年末までにT1はFaker以外の全メンバーを若手選手に交代させるという、大胆な世代交代を決断しました。SK Telecom T1はT1へと名称変更され、チームの方針も変化しました。スター選手獲得よりも、若手育成、スカウティングに重点を置くようになったのです。

この変化の大きな要因となったのは、DRXのGriffinとDamwon Gamingといった新興勢力の台頭です。彼ら若手選手たちは、新たな視点と衝撃的な戦術でLCKに旋風を巻き起こしました。T1は、自チームのアカデミーシステムに所属する若手選手たちの育成に力を入れ始めました。

こうして、アカデミーから昇格したGumayusi、Zeus、Onerに加え、DRXからカリスマ的なトップレーナーであるKeriaを獲得し、チームの刷新は完了しました。

2022年:王者復活への道

2022年、T1は勢いを取り戻します。

LCKスプリング2022優勝:18勝0敗という圧倒的な強さ

彼らはスプリングシーズンでは無敗で優勝。これはLCK史上初のことでした。約3年ぶりの国内タイトル獲得は、彼らの復活劇を鮮やかに物語っていました。

MSIでは、決勝でRNGに敗れましたが、その戦いぶりは圧倒的なものだったと評されています。グループステージを無敗で突破し、Rumbleステージでも2位という結果を残しました。

しかし、彼らの苦悩は続きます。夏シーズンはGen.Gに敗れ、再びWorlds出場を逃しました。何度かWorlds決勝まで近づきながらも、その壁を越えることができない、というジンクスに再び苦しむこととなりました。

MSI2022決勝敗退 LCKサマー2022決勝敗退

この頃のT1の状況は、Fakerがチームを「繋ぎ止めている」状態に例えられるほどでした。Fakerが不在となった時、チームの弱さが露呈したのです。

2023年:伝説の再燃

2023年、Worldsへの切符を懸けた戦いが始まります。T1はWorlds2022において、必ずしも優勝候補とは見なされていませんでした。若手選手たちの経験不足と、勝負どころでの脆さが懸念材料でした。しかし、それは彼らにとってむしろ有利に働きました。

Worlds2022での躍進:下馬評を覆す快進撃

T1はグループステージをトップで突破し、準々決勝でRNGを圧倒しました。準決勝ではJDG戦で、Fakerは過去の敗北の再来を懸念されました。

5戦目、マッチポイント。Fakerが4度目のタイトル獲得に王手をかけていました。しかし、ここでまさかのつまずきを見せます。

Worlds2023準決勝:JDG戦

しかし、チームメイトたちがその不足を補い、信じられないほどの活躍を見せます。特にZeusとOnerの活躍は特筆すべきです。

最終的に、決勝はDRXとの激闘となりました。この試合は、LoL史に残る名勝負として語り継がれるでしょう。互角の戦いの中、Fakerは苦戦しますが、チームメイトたちが持ち前の力を発揮します。

Worlds2023決勝:DRX戦での死闘

最終的に、T1は勝利し、Fakerは4度目の世界王者に輝きました!7年ぶりの優勝、そしてSKT時代からの歴史を繋ぐ快挙です。

Fakerという存在

Fakerは単なるミッドレーナーではありません。彼はLeague of Legendsというeスポーツの象徴であり、多くのプレイヤーが憧れる存在です。彼の成功は、LoLというゲーム自体の成長と深く結びついています。10年以上、このeスポーツの頂点に君臨し続けている彼の存在は、多くのプレイヤーを魅了し、ゲームを支え続けてきました。

Fakerは、自身のキャリアにおいて5回、ベストオブファイブで敗北を喫しています。そのたびに、歴史が繰り返されるかのように感じました。特に2017年のWorldsでの敗北は、大きなトラウマとなりました。しかし、彼は何度も立ち上がり、復活を遂げてきました。2023年のWorlds優勝は、過去のトラウマを乗り越え、新たな伝説を築いたことを証明するものです。

まとめ:不屈の精神

FakerとT1の物語は、勝利と敗北、栄光と挫折、そして世代交代という、多くの要素を織り交ぜたドラマです。彼らの歩みは、多くのプレイヤーたちに勇気と感動を与え続けました。Fakerは、単なるゲームプレイヤーではなく、不屈の精神と揺るぎない意志を持つ、真のレジェンドなのです。この物語は、これからも語り継がれていくでしょう。

Fakerの言葉:「チームのために戦う」

彼の発言からもわかる通り、Fakerは常にチームを第一に考え、勝利を目指して戦い続けています。その姿勢こそが、長年に渡って彼が頂点に立ち続けられる理由なのです。 彼の存在は、League of Legendsというゲーム、そしてeスポーツ界全体にとって、計り知れない価値を持つのです。