「ジョジョ」以外の荒木飛呂彦作品を徹底解説!アニメ化の可能性と魅力を紐解く

「ジョジョ」以外の荒木飛呂彦作品を徹底解説!アニメ化の可能性と魅力を紐解く

「ジョジョ」以外の荒木飛呂彦作品を徹底解説!アニメ化の可能性と魅力を紐解く

「ジョジョの奇妙な冒険」で知られる漫画家、荒木飛呂彦先生。その独特な画風と世界観は、多くのファンを魅了し続けています。しかし、彼の作品は「ジョジョ」だけではありません。今回は、過去に連載された作品から、知る人ぞ知る隠れた名作まで、荒木先生の作品世界を深く掘り下げ、アニメ化の可能性や魅力について探っていきましょう。

まずはデビュー作から!『魔少年ビーティー』

荒木飛呂彦先生のデビュー作『魔少年ビーティー』は、1982年に『フレッシュジャンプ』で読み切り版が掲載された後、1983年に週刊少年ジャンプで10話に渡り連載されました。この頃から荒木先生はペンネームを本名の「荒木利行」から「荒木飛呂彦」に変更しています。

主人公は、トリッキーな方法で悪事を働く少年ビーティー。彼の相棒、ムギカリコウイチと共に様々な事件を解決していく物語です。

注目すべきポイント:

  • 少年漫画で許される「悪」: ビーティーは悪事を働く主人公ですが、いじめっ子や不正を働く大人を懲らしめるのが目的であり、時に犯罪すれすれの方法を用いることもあります。「悪には悪で制裁する」というテーマは現代社会でも通じる設定と言えるでしょう。
  • 名探偵シャーロック・ホームズのオマージュ: ビーティーはシャーロック・ホームズのような設定を持っており、少年が知性と工夫で悪事を成し遂げているように見せかけ、実は正義と友情を貫いています。
  • バディものの魅力: 2人で問題を解決していくバディものは、いつの時代も人気があります。ビーティーとムギカリコウイチの息の合ったコンビネーションは、読者に爽快感を与えてくれます。
  • 独特のセリフ回し: 「上級生や大人を相手に手玉に取り、さも当然のように罰を与える」というキメセリフは、荒木先生独特のセリフ回しセンスを感じさせます。ムギカリコウイチというキャラクターは、後のジョジョシリーズ4部に登場する広瀬康一のオマージュとも考えられています。
  • ジョジョへの伏線?: ビーティー自身も、ジョジョ1部のディオにキャラクター性が似ていると評されています。冷静沈着な様子や髪の色、眼の色など、初期のディオを彷彿とさせる要素が多く見られます。また、ビーティーが対峙する敵キャラクターも個性的で、後のジョジョシリーズの敵キャラクターの原型とも言える強敵が数多く登場します。例えば、敵国のスパイだと決めつける軍人風のおじさんや、デパートの裏支配者を自称する人物、家族ごと住み着いて家族を奴隷にし、一家が破産するまで搾取する少年など、強烈なキャラクターばかりです。
  • 連載の苦労: 1話目の完成から連載まで1年半もかかったことや、編集部の受けが悪かったことなど、連載の苦労も語られています。友情・努力・勝利を謳う少年ジャンプにおいて、この作品は様々な困難に見舞われたということです。
  • 短編ながら魅力的: 全10話という短い連載ながら、後年の荒木作品に通じる要素が随所に散りばめられています。

荒木飛呂彦先生の第2弾!『バオー来訪者』

1984年に週刊少年ジャンプで連載された『バオー来訪者』は、全17話で完結した短編作品です。

主人公は、寄生虫バオーによる寄生と人体改造により巨大生物に変身する17歳の少年、橋沢育郎。彼は超能力を持つ少女スミレと出会い、バオーの能力を狙う組織「ドレス」からの逃亡劇を繰り広げます。

注目すべきポイント:

  • 仮面ライダー的要素: バオーは、仮面ライダーのような変身ヒーロー的な要素も持ち合わせています。荒木先生自身、仮面ライダーやガンダムなどの主人公がネガティブな性格であることを好みではなかったと語っており、バオーは「ジョジョ的正義」をまとった仮面ライダーと言えるかもしれません。
  • 画風の変遷: 『ビーティー』と比較すると、画風が「ジョジョ」に近づいていることが分かります。より洗練された線と色彩表現は、荒木先生の成長を示しています。
  • SFバイオレンス作品の先駆け: 荒木先生の初のSFバイオレンス作品であり、スタンド能力のような特殊な力を操るキャラクターの戦闘は、後の「ジョジョ」シリーズへと繋がっています。
  • 遠隔地からの連載: 荒木先生は当時、故郷の宮城県から新幹線で東京まで通い、執筆や修正を行っていました。この時代にはFAXも一般的ではなかったことから、その苦労は想像を絶します。
  • バオーの能力: 育郎がバオーに変身すると、桁外れの身体能力と、様々な技(アームドフェノメノン)を得ます。その技の一つである「バオー・メルテッドインパルスモフェノメノン」は、体液を浴びせることで相手を溶かす強力な酸です。自身も溶けてしまうものの、排出される成分により再生します。「バオー・ディスキングハーデンセイバーフェノメノン」は手首の皮膚を高速化・突出させ、鋭利な刃物で相手を切り刻む技です。セイバーオフすることで刃の部分を飛び道具のように飛ばすこともできます。「バオー・シューティングビーズスティングアーフェノメノン」は髪を高速化して飛ばす技で、一定温度に達すれば発火させることも可能です。髪を武器に使う点はジョジョシリーズと共通しています。「バオー・ブレイキングダークサンダアフェノメノン」は体細胞から発生する電気の連鎖を体外に放出する技で、電圧は最大6万ボルトにも達します。さらに、再生能力や血液による生物回復能力も持ちます。
  • 超感覚: バオーの超感覚は視覚や嗅覚を超え、敵の悪意などを匂いで感じ取ることができます。
  • 変身中: バオーに変身している時は「バレッレレレレ!」と叫ぶのみで言葉による意思疎通は基本的にできません。しかし、獣化しているわけではなく、理性も保っています。
  • ラスボス「冒険」: ラスボスである「冒険」は、戦闘こそが全てであり殺戮を喜びとするインディアンの末裔です。その能力は地球最強と謳われ、物質を自在に振動させ、あらゆる物質を粉砕させることができます。
  • アニメ化: 実写版OVAが制作されており、独特なキャラクターデザインとバイオレンス描写が話題になりました。
  • ドレスとカズミ教授: ドレスはバオーの能力を利用しようとする秘密結社で、カズミ博士はドレスの研究者であり、バオーの生みの親でもあります。カズミ博士は様々な生物兵器を生み出しており、育郎を様々な危険に晒します。マンドリルの様な知能と残忍性を持つマーチンや、育郎の嗅覚を奪うアロマバット、生物を骨まで分解する液体などを用いた生物兵器が、育郎を襲います。
  • ストーリー: スミレをドレスから救い出すため、育郎はバオーに変身し、ドレス特殊工作部の戦闘員であるドルクなどと対決します。終盤には、冒険と激闘を繰り広げます。
  • 短編ながら高い人気: 短編ながら、独特の世界観と高い人気を誇り、劇場版アニメにもなっています。

短編ながら独特な魅力を持つ『ゴージャス アイリン』

1985年に週刊少年ジャンプの特別編集版、1986年には同誌の特別編集版『スーパージャンプ増刊号』に掲載された短編作品です。当初は連載予定でしたが、荒木先生自身が決断して中断、後に「ジョジョ」シリーズの連載へと移行します。

注目すべきポイント:

  • 連載中断の理由: 荒木先生は、当時「戦う女性を主人公にした長編少年漫画を描くのは抵抗があった」と語っています。
  • ジョジョへの影響: 主人公アイリン・ラポーナは現代アメリカの16歳のプロの殺し屋で、イタリア・シチリアなどで暗殺術を受け継いできた一族的血筋を引いています。彼女は悪用することなく正義のために殺しを引き受けていました。彼女の技は、メイクによる暗示で肉体を自由に変化させるというものです。「ジョジョ」シリーズの変身要素と通じる部分があります。
  • アイリンの必殺技: アイリンの必殺技「ダンス・マカブル・ワワバサイミン術」は、香水の香りやダンスの動きを使って相手に暗示信号を送り、精神を支配するものです。「動くな」と暗示すれば体を動かせなくなり、自分の手足を切るよう命令すれば従ってしまうという、強力な能力です。
  • 第二話の悲劇: 第二話では、アイリンの両親を殺した黒幕が登場し、唯一の身寄りの執事が殺害されます。黒幕はファンタズムタブーという背中に描かれた入れ墨を自在に操ります。入れ墨の本物は、3本目の腕とその無数の触手であり、これは現在ではアニメ化が難しい表現と言えるでしょう。
  • アニメ化への可能性: サスペンスやキャラクターデザイン、そしてジョジョへの繋がりなど、アニメ化の可能性は十分にあると言えるでしょう。ジョジョ1部の冒頭でディオが読んでいる本のタイトルが「ゴージャスアイリン」であることや、ジョジョ4部のアニメのエンディングで本棚に置かれているなど、多くの伏線が張られています。
  • ゲームへの登場: ゲーム『Eyes of Heaven』にも、「ゴージャス アイリン」というオペラの宣伝ポスターが登場しています。また、ジョジョ6部主人公の徐倫もアイリンの名前から来ているという説もあります。

死後の世界を描く『デッドマンズ・キラー』

1999年、オールマン12号と14号に掲載された短編作品。ジョジョ4部で登場した吉良吉影の死後、幽霊となった彼が幽霊専門の殺し屋として活躍するスピンオフ作品です。

注目すべきポイント:

  • 吉良吉影の死後を描くスピンオフ: 荒木先生お気に入りのキャラクターである吉良吉影を主人公に据えたスピンオフ作品。幽霊殺し屋になった吉良吉影は、帽子とスーツスタイルで本編と変わらない外見をしています。ただしスタンド能力や記憶は失われています。
  • 幽霊の行動制限と精神的成長: 幽霊である吉良吉影は行動が制限されているものの、心の平和を目指すという姿勢は健在です。行動制限にイライラする姿は、読者に共感を与えます。
  • 屋敷の幽霊と清掃員: 吉良吉影は依頼を受けて、屋敷の幽霊という存在の清掃員として霊体を掃除します。この屋敷では過去に56件の自殺や変死が発生しており、多くの霊が住み着いています。
  • 清掃員の目的: 無数の卵から生まれた恐竜のような生物の霊を掃除するのが目的です。この世から魂が消えないように霊体を掃除するのが彼の目的です。
  • 独特の世界観: 死後の世界を舞台にした、荒木先生ならではの独特な世界観が魅力です。死後も心の平和を求めて精神的に成長しようとする吉良吉影の姿は、一見残酷な描写の中に、人間的な深みを感じさせます。
  • アニメ化への可能性: 短編ながら、吉良吉影という人気キャラクターを主人公にした作品であり、映像化への期待は高いです。

その他の荒木飛呂彦作品とアニメ化の可能性

上記の他にも、荒木先生には多くの作品があります。

  • 初期の読み切り作品: 『武装ポーカー』『アウトローマン』『ヴァージニアによろしく』など、初期の読み切り作品にも、独特な世界観やキャラクター性が見られます。これらの作品も、独特な世界観とキャラクターは映像化に適しています。
  • 『船の上で繰り広げられる猫と少年の物語「ドルチダイハードザ・キャット」』: 独特な設定と、荒木先生らしい独特な絵柄は魅力的です。
  • 『変人偏屈列伝』: 実在の人物を描いた作品ですが、荒木先生独自の表現で描かれています。

これらの作品は、まだアニメ化されていませんが、荒木先生のファンとして、いずれ映像化されてほしいと願う作品ばかりです。

まとめ:荒木先生作品の魅力とアニメ化への期待

荒木飛呂彦先生は、「ジョジョの奇妙な冒険」だけでなく、数々の魅力的な作品を生み出しています。今回紹介した作品は、どれも「ジョジョ」につながる要素が多く見られ、それぞれに独特の面白さがあります。短編作品も多いですが、それだけに凝縮された世界観が魅力です。

もしこれらの作品がアニメ化されれば、「ジョジョ」ファンだけでなく、新たなファン層を獲得する可能性も高いでしょう。「バオー来訪者」はすでにアニメ化されていますが、現代の技術でリメイクされたり、他の作品がアニメ化されることで、荒木先生の作品への関心はさらに高まるでしょう。

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