AI 以外の開発トレンド:ローカルファースト、WebAssembly、React Native の未来

AI 以外の開発トレンド:ローカルファースト、WebAssembly、React Native の未来

AI 以外の開発トレンド:ローカルファースト、WebAssembly、React Native の未来

皆さんはAIの進化に驚かされていることと思います。どこへ行ってもAI、AIですよね。しかし、AI以外にも開発技術は着実に進化を遂げており、今後ブームになるであろう技術が数多く存在します。この記事では、AI以外の注目すべき3つの開発トレンドを紹介します。

1. ローカルファーストなアプリケーション

「ローカルファースト」とは、ユーザーのデバイス(スマートフォン、Macbook、PCなど)を重視したアプリケーション開発のアプローチです。ネットワーク接続が不要、もしくはオフラインでも使用できる「オフラインサポート」が大きな特徴です。

ローカルファーストなアプリケーションのメリット:

  • オフラインでも利用可能: ネットワーク接続がない環境(飛行機内など)でも利用できます。
  • 高速なインタラクション: ネットワーク通信の遅延がないため、ユーザーの操作に対する反応が非常に速いです。タップや送信ボタンを押した際、UIへの反映が即座に行われます。
  • データのローカル完結: データのやり取りをローカルで完結させることで、ネットワークとのやり取りを最小限に抑えられます。

ローカルファーストとクラウドの連携:

ローカルファーストは、必ずしもネットワークに常時接続する必要がないという意味であって、クラウドとの同期を否定するものではありません。FigmaやNotionのように、ネットワークが復旧した際にクラウドサーバーとデータを同期するアプリケーションも多く存在します。

ローカルファーストを実現する技術:

ローカルファーストなアプリケーション開発は、容易ではありません。しかし、近年ではその開発を容易にするソフトウェアが数多く登場しています。その中で重要な役割を果たしているのが、CRDT (Conflict-free Replicated Data Type)というアルゴリズムです。CRDTは、競合のない複製データ型を意味し、FigmaやNotionなどの開発にも利用されています。

ローカルファーストの普及:

ローカルファーストは、2010年代後半から徐々に注目を集め始め、近年急速に普及が進んでいます。JavaScriptのライブラリであるYjsなどもその普及を後押ししています。

2. WebAssembly(ワズム)

WebAssembly(略称:Wasm)は、ブラウザ上で実行可能なバイナリ形式です。従来、ブラウザ上でプログラミングを実行するにはJavaScriptしかありませんでしたが、Wasmが登場したことで、Rust、Go、C++などの様々な言語で開発したコードをブラウザ上で実行できるようになりました。

WebAssemblyのメリット:

  • パフォーマンス向上: バイナリ形式で実行されるため、JavaScriptに比べて高い計算性能を発揮します。
  • 多言語対応: 多くのプログラミング言語に対応しており、開発者の選択肢が広がります。
  • ライブラリの相互運用: 異なる言語で開発されたライブラリを相互に利用することができます。

WebAssemblyの活用例:

FigmaなどもWebAssemblyを利用しています。例えば、Rustで開発した高速な計算処理をWebAssemblyでブラウザ上で実行することで、パフォーマンスの向上を図っています。さらに、SQLiteをWasm化してブラウザ上で実行することも可能になり、ローカルファーストなアプリケーション開発において強力なツールとなっています。

WebAssemblyの将来性:

WebAssemblyは、ブラウザだけでなく、サーバーサイドや様々なデバイス上での実行も目指した、Wasmerといった動きも活発です。一度開発したコードを様々なプラットフォームで再利用できるため、開発効率の大幅な向上に繋がります。

3. React Native の進化

React Nativeは、クロスプラットフォームのアプリケーション開発を可能にする技術です。一つのコードベースでiOS、Android、Web、デスクトップアプリケーション、さらにはVR/ARアプリケーションまで開発できます。

React Nativeの台頭とアーキテクチャ変更:

日本ではFlutterが人気ですが、欧米ではReact Nativeの方がシェアが高いです。最近、React Nativeはメジャーバージョンアップ(バージョン0.76)を行い、アーキテクチャの大幅な変更(リアーキテクチャ)を行いました。この変更は6年半もの歳月を費やした大規模なもので、パフォーマンスの大幅な改善に繋がっています。

リアーキテクチャによるパフォーマンス向上:

従来のReact Nativeでは、JavaScriptスレッドとUIスレッド間のやり取りに「ブリッジ」が必要でした。このブリッジがボトルネックとなり、UIの遅延やクラッシュの原因となっていました。しかし、リアーキテクチャによってこのブリッジが廃止されました。JavaScriptインターフェース (JSI) を導入することで、JavaScriptスレッドとUIスレッドが直接通信できるようになり、ネイティブアプリ並みの速度を実現しています。

Expoの進化:

React NativeのフレームワークであるExpoも、目覚ましい進化を遂げています。特に、React Server Components (RSC) の対応が大きな進歩です。RSCはサーバーサイドでReactを実行できる仕組みで、Next.jsなどでも利用されています。ExpoでのRSC対応により、開発体験の向上やパフォーマンスの改善が期待できます。

EaseDOMによるWebビューの簡素化:

Expoは、EaseDOMという新しい機能も提供しています。EaseDOMは、Webビューを非常に簡単に実装できる機能です。従来、Webビューの実装にはネイティブアプリ開発チームとWeb開発チームの連携が必要でしたが、EaseDOMを使うことでReactコードをそのままWebビューとして表示させることができます。スマホアプリでは、Webビューが広く使われています。EaseDOMによって、Webビューの開発が大幅に簡素化され、開発効率が向上します。

React Nativeの未来:

React Nativeは、クロスプラットフォーム開発において、パフォーマンスの問題を解決し、さらに開発効率も向上させています。EaseDOMのような革新的な機能も加わり、今後もReact Nativeの普及は加速していくでしょう。

まとめ:AIを超える次の波

この記事では、AI以外の3つの開発トレンドとして、ローカルファーストなアプリケーション、WebAssembly、そしてReact Nativeを紹介しました。これら以外にも多くの技術が注目されていますが、これらの技術は、今後Web開発において非常に重要な役割を果たすでしょう。より詳しい情報を知りたい方は、私のオンラインサロンに参加してみてください。

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