ADHDの人の独特な考え方：5つの特徴と成功への道筋

ADHDの人の独特な考え方：5つの特徴と成功への道筋

皆さんは、ADHD（注意欠如・多動性障害）の人の思考パターンをご存知でしょうか？ ADHDは単なる「落ち着きのない」状態ではなく、独特の思考プロセスを持つことを理解することが、ADHDの人との良好な関係を築き、そしてADHDを持つ人自身の人生をより豊かにする鍵となります。本記事では、ADHDの人の考え方の5つの特徴を具体例を交えて解説し、その理解を深めていきます。 さらに、ADHDの特性を活かして成功を収めた人物の例も紹介し、ADHDを持つ人々が抱える可能性のあるネガティブな側面だけでなく、ポジティブな側面についても深く掘り下げていきます。

1. 連想ゲームのような思考：話題が次々と飛んでしまう

ADHDの人は会話中に話題が次々と飛んでしまうことがあります。これは、会話の内容とは関係なく、頭の中で新しい話題が連想ゲームのように次々と湧き上がってくることが原因です。

例えば、共通の友人との飲み会の楽しかった話から、突然「最近の小麦粉が高いよね」という話題に変わるケースがあります。相手にとっては全く繋がりがない話題の急変に驚くでしょう。しかし、本人の頭の中では、友だちと飲みに行って、帰りにラーメン屋に寄って、そこで食べたラーメンの値上げをきっかけに小麦粉の高騰を連想したという、自分なりの筋書きがあるのです。本人にとっては繋がりがある話題の流れでも、相手には理解しづらいものです。

このように、常に話題が飛び交う会話は、相手を疲れさせてしまう可能性があります。一つの話題を話している最中でも、頭の中では連想ゲームが止まらず、新しい話題が次々と湧いてくるのです。

注意: この症状が強い場合、例えば、次々と話題を変えてマシンガンのように話す場合は、躁鬱病の可能性も考えられますので、専門家への相談が重要です。

2. 遅刻したくないのに遅刻してしまう：時間の管理が難しい

遅刻癖は、ADHDの人によく見られる特徴です。何度失敗してもなかなか改善しません。

ADHDの子供を観察していると、外出時間が迫っているにもかかわらず、準備をせずにのんびりと他のことをしています。出発するよりも、今やっているゲームや遊びに意識が集中してしまい、外出のことがどこかへ飛んでしまうのです。

大人のADHDの人も、同様の理由で遅刻します。「何を着ていこうか」「忘れ物はないか」と迷っているうちに、そこに意識が集中し、肝心の出発時間を逃してしまうのです。

ADHDの人は、悪気があって遅刻しているわけではありません。彼らの時間管理の難しさ、集中力の持続性の低さを理解することが重要です。

3. 目先のことが優先で、長期的なことが考えられない：衝動買いしやすい

ADHDの人は家計簿をつけられず、お金の出入を把握することが苦手です。欲しいと思ったものは、借金をしてでも買ってしまってしまう衝動買いがよくあります。

今月の生活費があと1000円しか残っていないのに、欲しいバッグを見つけたら、カードで借金して買ってしまいます。普通の人なら、今月の1000円でどうやって生活するかを最優先事項としますが、ADHDの場合、欲しいものを見つけたらそれが最優先事項となるのです。

「欲しい」という気持ちが頭を占領し、残金1000円のことなどどこかへ飛んでしまいます。結果として、借金を増やし後悔はするものの、その後も衝動に負けてしまい、同じ失敗を繰り返すことがあります。

しかし、ADHDの人の中には、この衝動性が行動力につながり、事業を成功させる人もいます。スティーブ・ジョブズのような著名な経営者の中には、ADHDの人が含まれているのも、この特性が関係していると言えるでしょう。

4. 興味のないことは手に付かない：学習や仕事への影響

学校では、好き嫌いに関わらず全ての教科を平均的に学ばなければいけません。ADHDの人は興味のないことには高いハードルを感じ、「できない」と感じてしまいます。

頑張ってやろうと努力しても、全く頭に入ってきません。そのため、学校の成績にもムラができてしまいます。大人になってからの仕事も同じです。興味のないことにはやはり「できない」と感じ、尻込みしてしまいます。無理やりやろうとしても集中できず、イライラを感じたり、投げやりになったりする人もいます。重要なことが先延ばしになるという問題も起こりえます。

5. 余計なことを言ってしまいやすい：衝動的な発言

強い感情が湧いてきて、理性で抑えられないことがあります。言うべきでないことを言ったり、手が出てしまうこともあります。後悔はしますが、後の祭りです。

例えば、職場で上司の指示に「はい」と言って済むことを、「それは違います」と余計なことを言ってしまい、職場の評価が下がってしまうケース。些細なことで「私は悪くない」と反発してしまい、大ゲンカに発展するケースも。頭では「それは大変な結果になる」と分かっているのに、言葉が先に出てしまうのです。

6. 集中しすぎると他のことが入ってこない：過集中と感覚過敏

何かに集中しているときは、声をかけられても反応しないことがあります。これを「過集中」と呼びます。頭の中では今やっていることだけを考えているのです。疲れているのにそれを感じることなくやり続け、終わった後にどっと疲れを感じ、数日寝込んでしまうことすらあります。

2002年に韓国では、オンラインゲームに集中しすぎ、80時間寝食を忘れてゲームに没頭し、エコノミー症候群で突然死した24歳の青年がいました。これは極端な例ですが、ADHDの人の過集中は、時に危険な状態を引き起こす可能性を示唆しています。

逆に、興味のないことには全く集中できません。感覚過敏はADHDの人にも見られることがあり、光や音の刺激、頭の中に浮かぶイメージが、注意や思考の流れを阻害します。重要な作業中でも、ちょっとした物音で集中が途切れたり、「そういえばドラマの新作いつ配信されるんだっけ？」「夕食何食べよう」といった考えが浮かんで手が止まったりもします。

ADHDの理解と共存：成功への道筋

ADHDの人の考え方の5つの特徴を紹介しました。今回説明した内容は、全てのADHDの人に当てはまるわけではありませんが、「そう言えば、こんなことあったな」と共感できる項目があるかもしれません。

どれも不注意や衝動性が抑えられないという脳の構造から来ていますが、人間関係で損をしている人がたくさんいます。「我慢すればいいものを…」「余計なことを言ってしまい仕事で失敗した」「離婚した」といった話をよく耳にします。

しかし、自分の特性を理解することで、改善も期待できます。そして、ADHDの人の「思いっきり」の良さから大成功を収める人もいますので、「禍福は糾える縄の如し」と捉えましょう。

ADHDの特性を理解し、適切なサポートを受けながら、自分の強みを活かして人生を豊かにする道を歩んでいきましょう。