2TB RAMに挑戦!Chromeタブの限界はどこだ?
- 2025-01-12

2TB RAMに挑戦!Chromeタブの限界はどこだ?
はじめに:前代未聞の2TB RAM環境
皆さん、こんにちは!今回はとんでもない挑戦に挑みました。なんと2テラバイト(2TB)ものRAMを搭載したPCで、Google Chromeのタブ限界に挑戦!一体、どれだけ多くのタブを開けるのか、その結果をレポートします。 これは、ただ大量のRAMを搭載しただけではありません。サーバーグレードのマザーボードや、特殊なメモリモジュール、そして高度な技術を駆使した実験なのです。ワクワク感が止まらないでしょう?
驚愕のメモリ構成:128GBメモリモジュール × 16
この挑戦を可能にしたのは、SK Hynixの協力によるもの。なんと、128GBという巨大な容量を持つメモリモジュールを、16個も使用しました。一般的なPCでは考えられない規模です。このメモリモジュール1本だけでも、多くのPCのRAM容量を上回ります。 2TBという容量は、まさに桁違い!
メモリモジュールの技術的解説:ロードリダクションとシリアルモード
一般的なサーバー用DIMM(Dual In-line Memory Module)は、メモリチップがCPUのメモリコントローラーと並列で接続されます。容量を増やすには、チップを増やすか、チップを二重に積層する(ダブルスタッキング)方法があります。しかし、CPUのメモリコントローラーは接続可能なランク数に制限があるため、限界があります。
そこで使用したのが、「ロードリダクションDIMM (LRDIMM)」です。これは、メモリコントローラーとシリアル接続することで、多くのランクを効果的に処理し、容量を増大させながらパフォーマンス低下を防ぐ技術です。
LRDIMMには、ECC(Error Correction Code)のためのチップと、メモリバッファチップが追加されています。これにより、クアッドランクDIMMをデュアルランクDIMMのように、もしくは8ランクDIMMをクアッドランクDIMMのように動作させることが可能になります。
技術的な詳細:
- LRDIMM (Load Reduced DIMM): メモリコントローラーの負荷を軽減する技術
- ECC (Error Correction Code): エラー検出・訂正機能
- メモリバッファチップ: メモリコントローラーとメモリモジュール間のデータ転送を効率化
SK Hynix Gold S31 SSD:信頼性の高いストレージ
ブートドライブには、SK Hynixの最新のGold S31 SSDを使用しました。 SK HynixはメモリだけでなくSSDも製造しており、信頼性とパフォーマンスの高さを誇る製品です。 このSSDは、SK Hynixが設計・製造した高品質のコンポーネントを使用しているため、安定した動作が期待できます。
システム構成とベンチマーク
今回の実験に使用したシステム構成は以下のとおりです。
- CPU: AMD EPYC 64コアプロセッサ (SMT無効)
- RAM: SK Hynix 128GB DDR4 ECC REG LRDIMM x 16 (合計2TB)
- SSD: SK Hynix Gold S31 SSD
- マザーボード: ギガバイト製サーバーグレードマザーボード (16スロット)
- OS: Windows 10 Pro
システム起動には、メモリトレーニングに10分ほど要しました。起動後、システムは2,977,152MBのメモリを認識し、29,333MHzで動作していることが確認できました。
Chromeタブの限界に挑む:予想外の展開
では、いよいよChromeタブの限界に挑戦です。最初は順調にタブを開いていきましたが、タブの数が数百を超えてくると、システムの応答速度が徐々に遅くなってきました。
予想外のCPUボトルネック:Chromeのメモリ効率
興味深いことに、メモリ使用率は比較的低いままでした。200個のタブを開いた時点で、メモリ使用率はわずか10GB程度、使用率は1%に過ぎませんでした。しかし、CPU使用率は急激に上昇し始めました。
これは、Chromeがメモリ効率が良い一方で、CPUリソースを大量に消費する性質があることを示しています。単にタブを開くだけでなく、各タブのレンダリングやスクリプト実行など、多くの処理がCPUに負荷をかけているのです。
タブ数増加とシステムパフォーマンス:徐々に低下
タブ数をさらに増やしていくと、5000タブを超えた辺りから、システムの応答性が著しく低下。タブの読み込みに時間がかかるようになり、動画再生など高負荷な処理は非常に困難になりました。
さらに、システムの反応速度の低下は、Chromeだけでなく、全体的なシステムパフォーマンスの低下を引き起こしました。簡単な操作である右クリックですら、30秒近くかかってしまうまでに。
メモリ使用率は低いまま:システムの限界
最終的に、6000を超えるタブを開いた時点でシステムはほぼフリーズ状態に。メモリ使用率は10%程度にとどまっていました。これは、メモリ容量自体は十分であったものの、CPUやシステム全体の処理能力が限界に達したことを示唆しています。
結論:物理的限界ではなく、ソフトウェアとアーキテクチャの限界
この実験から、2TBのRAMを搭載したシステムであっても、Chromeのタブ数の限界は、メモリ容量ではなく、Chrome自体やWindowsのソフトウェア、そしてシステムアーキテクチャに制限があることが明らかになりました。
6000個を超えるタブを開くと、システムが完全にフリーズしてしまい、実用的な範囲を超えてしまうことを実証しました。これは、単にメモリ容量の問題だけでなく、CPU処理能力やシステム全体のボトルネックが原因と考えられます。
まとめ:2TB RAM環境の実用性とChromeの限界
2TBのRAMは、非常に大容量であり、多くのタスクを同時に処理することが可能です。しかし、Chromeなどのアプリケーションの性質によっては、メモリ容量が豊富であっても、CPUやシステム全体の性能が限界に達し、実用性が制限される可能性があることを示しました。
この実験を通して、大容量メモリ環境の潜在能力と、同時にソフトウェアやシステムアーキテクチャの限界を改めて認識することができました。
謝辞
最後に、今回の実験に協力していただいたSK Hynix社に深く感謝いたします。2TBもの大容量メモリと、Gold S31 SSDを提供していただき、この挑戦を実現することができました。 特に、メモリ使用率が低くてもシステムの応答速度が低下したことにより、メモリ容量よりも、CPUやシステム全体の処理能力、ソフトウェアの限界が明らかになったという結果に驚きました。
この実験が、皆さんにとって少しでも興味深いものになっていれば幸いです。 次回もお楽しみに!