Minecraft 史上最悪? 2b2tサーバーを震撼させた伝説のチーター「Popbob」事件の全貌

Minecraft 史上最悪? 2b2tサーバーを震撼させた伝説のチーター「Popbob」事件の全貌

Minecraft史上最悪のサーバー? 2b2tの混沌と伝説のチーター「Popbob」

皆さん、2b2tというサーバーをご存知でしょうか?「世界最悪のアナーキーサーバー」と呼ばれ、荒らし、チート、ハッキング…その全てが許されてしまうMinecraftサーバーです。現在まで長い歴史が続いており、その歴史は数々の伝説的な出来事を刻んでいます。

2b2tの定義:自由と敵意の狭間

一言で言えば、2b2tは「全てが自由」な世界です。しかし、その自由を侵害する者は、全てが敵となります。ルールが存在しない、まさに無法地帯と言えるでしょう。 この独特な環境が、数々のドラマ、そして悲劇を生み出してきたのです。

FacePunch戦争と、その後の動乱

以前、このサーバーの成り立ちから最初の戦争、「FacePunch戦争」までお話しましたが、その最後に皆さんに質問しましたよね。「もし、皆さんが神様の力を手に入れたら、一体何に使いますか?」

FacePunch戦争では、FacePunch共和国が国を建国するという、無秩序なサーバーにおいて前代未聞の行動に出ました。当然、このルール無視の行動は、他のプレイヤー、特に「嵐」と呼ばれるグループから反発を受けます。

嵐VS FacePunch軍の大戦争は、嵐側のプレイヤー「LookToTheBan」がFacePunch側にスパイとして潜入していたことで、FacePunch共和国は壊滅。しかし、サーバー維持費の支払いの問題など、サーバー運営自体が危ぶまれる状況の中、プレイヤーは着実に増え、2b2tは再び混沌へ戻っていきました。

バルキリアの台頭とアスガルド要塞

時は2013年。この無秩序極まりない2b2tサーバーでは、再び異変が起きていました。それは、以前滅ぼされたはずのFacePunch共和国の理念を受け継いだ「バルキリア」と呼ばれる軍勢が、秩序の構築を宣言し、急速に勢力を拡大していったことです。

当然、アナーキーサーバーである2b2tで秩序を築くことは、既存の自由を侵害することになります。嵐たちはこれを許しません。

しかし、バルキリアはFacePunch戦争でも使用された「複製バグ」という、アイテムを増殖させるバグを巧みに利用。常にフル装備で戦闘に参加し、拠点で積極的なリクルートを行ない、仲間を増やしていきました。

更に、主要メンバーが全員2b2tの古参メンバーだったという事もあり、非常に強力な存在として君臨。嵐たちを逆に駆逐し、拠点ごと潰していったのです。

バルキリアの要塞「アスガルド」

そして2014年、バルキリアはついに2b2t史上最高の拠点と呼ばれた場所を見つけ、山そのものを改築して「アスガルド」と呼ばれる巨大な拠点を作りました。

しかも、その拠点はバルキリアのリーダー及び幹部しか座標を知らないという徹底した秘密性がありました。複製バグによって揃えられた最強の装備、あらゆる場所から集められた最強の軍隊、そして、メンバーの上層部しか知らない最強の城。誰もがバルキリアには勝てませんでした。

伝説のチーター「Popbob」の登場とアスガルドの陥落

誰もがバルキリアには勝てない…と、たった一人を除いて。

結論から言いましょう。この最強の拠点、アスガルドはたった一夜で完全に破壊されました。一体どんな軍隊が攻めてきたのでしょうか?それとも、これまで戦ってきた数多くの嵐たちが全員一致団結してアスガルドを襲撃したのでしょうか?

いいえ。たった一人です。

その人物とは… Minecraft史上初のチーター、「Popbob」の登場です!

このレジェンダリープレイヤーの登場によって、2b2tの歴史は大きく動き出すのです。

2b2tにおける戦争とチート:見える戦争と見えない戦争

この時点までの戦争におけるメイン兵器は、複製バグによるアイテム増殖でした。ダイヤの剣を増やしたり、ダイヤの防具を増やしたり、食い物を増やしたり…つまり、既存のアイテムを増やすだけ。極端な言い方をすれば、「見える戦争」だったのです。

しかし、Popbobは「見える戦争」の枠を大きく超えていきます。彼が登場する前に、2b2tで考えられる戦闘は、銃で撃ち合う、剣で殴り合う、爆弾を投げるなど、想像できる範囲内のものだったはずです。

Popbobが使用したチート「Thunderbolt Exploit」

Minecraft史上最初のチートは一体どのようなものでしょうか?どんなプレイヤーも一発で殺せる武器でしょうか?絶対に死なない体?それとも空を飛ぶ?

残念ですがPopbobが保有した力は、そんな可愛いものではありませんでした。

冒頭で皆さんに聞いた質問を覚えていますか?「もし神様の力を手に入れたら一体何に使いますか?」

Popbobの回答はこうです。「虐殺と破壊

彼が作り出したチートは、全てのプレイヤーの位置を特定するというものでした。

恐怖の支配者「Reign of Terror」

仮に皆さんが殺人鬼に追われているとしましょう。おそらく皆さんは「ヤバい!どこか逃げなきゃ!安全な場所へ…」と思うでしょう。

しかし、Popbobは、どこかに逃げても絶対にプレイヤーの位置を特定して追いかけてきます。その時に感じる感情は、間違いなく怒りや悲しみではなく、恐怖です。

遠く離れた場所に拠点を作れば、ひとまず安心…ここなら絶対敵は来ないだろう、バレないだろう…そんな2b2t、いや、Minecraftの常識はここで全て崩壊します。

Popbobのチートと背筋を凍らせる行動

2014年時点、ネザーハイウェイすら出来ていない状況でPopbobが特定し破壊したアスガルドの座標は、なんとX: 254119、Z: -146181という驚異的な距離でした。どれだけ遠く隠れたとしても、必ず見つけ出して徹底的に破壊する。

Popbobはこの恐ろしい悪行を繰り返し、他のプレイヤーから「Reign of Terror(テラーの支配)」と呼ばれるようになりました。

驚くべきことに、Popbobはバルキリアに何か恨みがあったわけでも、バルキリアが国を作ったから悪い、というわけでもありませんでした。単に、自分の快楽のためにアスガルドを潰し、他のプレイヤーやその建築物を全て破壊したのです。全て自己満足のためだったのです。

Popbobが使用したチートの詳細とサーバー管理者との関係

Popbobが使用したチートは「Thunderbolt Exploit」と呼ばれており、発生した雷の座標を特定するという内容でした。Minecraftでは、雷はプレイヤーがいる場所にしか発生しないというメカニズムがありました。Popbobはこのメカニズムを悪用し、雷が発生するたびに自動的にその座標が送られてくるようにしました。

送られてきた座標データを元に、彼はひたすら監視と記録を繰り返しました。プレイヤーを特定し、破壊するためだけに、時間を費やし、チートを駆使して特定したのです。

Popbobの驚愕の正体と裏切りのプラグイン

驚くべきことに、Popbobは正真正銘の善人でした。彼は2011年に2b2tに参加し、古参メンバーとして普通に建築もしていたらしいのです。建築好きな一面もあり、イカタウンと呼ばれる拠点の建築にも手伝っていたそうです。

しかも、2011年12月には、より良い2b2tサーバー維持のために、サーバー管理者であるHouseMasterにプラグインを自作してプレゼントしていたのです。HouseMasterもこの行為を受け入れて、そのプラグインを使用していました。

皆さんはここで、「昔は良い人だったのに、なぜ急に悪に落ちてしまったのか?」と考えるかもしれません。

Popbobの裏切りと「バックドア」

安心してください。Popbobは私たちを裏切りませんでした。サーバー管理者用に作ったと自称していたそのプラグインには、相手コンピュータに不正に侵入するための入り口、いわゆる「バックドア」が仕込まれていたのです。

ITに詳しい方ならもうわかると思いますが、これは立派なサイバー攻撃の一種ですね。PopbobはHouseMasterがそのプラグインを使うと見抜き、バックドアによってクリエイティブモードの能力を獲得。看板ブロックの設置、モブのスポーンエッグ、豚のスポナー…その全てを自由自在に操りました。

Popbobの「優しさ」と2b2tの終焉

更に驚くべきことに、Popbobは、このバックドアを速やかに嵐の仲間と共有しました。「これも俺が作ったものだから、俺だけのものではない。」と。便利で良いものは仲間(嵐)と共有するのです。

これにより、全員がクリエイティブモードを持つというとんでもない事態が発生。当然、異変に気付いたサーバー管理者は、速やかにこのプラグインの使用を停止させました。しかし、ここでPopbobとHouseMasterの信頼関係は完全に崩壊します。

Thunderbolt Exploitと2b2tの恐怖

2014年に戻りましょう。Popbobが作ったThunderbolt Exploitによって、あらゆる拠点が破壊され、どこに行っても特定されるというストレスを生み出しました。大量のプレイヤーがこれを理由にサーバーから去っていきました。

2b2tはルールのない無秩序なサーバーですが、誰もが暗黙のルールを理解していました。しかし、誰もPopbobの暴走を止められず、サーバー管理者HouseMasterに苦情として大量のメッセージが送られる事態に発展します。

Popbob事件のその後とMinecraft史に残る伝説

ある海外プレイヤーは、いつものように拠点で釣りをしていたところ、Popbobが現れ、そのままPK(プレイヤーキル)。気が付くと自分の拠点はなくなっていたという恐ろしい事件も発生しました。

最終的に、サーバーはゲームである以上、遊ぶ人がいなくなれば成立しないため、HouseMasterは雷の一時的な使用禁止を決定しました。

冒頭でも述べましたが、2b2tは10年以上も歴史があり、数々の戦争や建築の歴史があります。しかし、一貫して、プレイヤーの行動に対し、神(サーバー管理者)自ら一時的とはいえ禁止を行った例は、このPopbob事件が最初で最後となります。

たった一人で最強の王国を、バルキリアを滅ぼし、しまいには神までも巻き込んだ最強最悪のプレイヤー、Popbob。しかし、ある事件をきっかけに、サーバー全体の嵐、一般プレイヤーを敵に回すことになります。

そして、新たな問い…

今回はここまで。

では最後に皆さんに質問を一つしましょう。もしゲームの出来事が現実世界にまで影響してきたら、皆さんはそのゲームを続けられますか?